行政透明化検討チーム 一人反省会 審査会の巻

 行政透明化検討チームの一人反省会の2回目。1回目は、ぐだぐだとこちらに書いています。今回は、審査会について。ざっくり言うと、今回の改正検討の中でもっとも議論が甘かったのは、実質議論をしなかった情報公開制度の大きな部分は、審査会のことだったと思う。

 今回の情報公開法改正議論では、情報公開・個人情報保護審査会については、今の諮問機関から裁決機関にするという大きな方向転換については議論の対象になったけど、それ以上は項目上は取り上げられていない。審査会に関係するものとしては、不服申し立てを受けた処分庁が、審査会にその申し立てを諮問するまでの期間を定めるということだけ。情報公開法全般は、これまでの運用を踏まえた改正を検討しましたが、審査会についてはその運用をふまえた検討はしなかった。

 そもそも、審査会に関しては、検討すべきこととしては、法の規定ではなく運用レベルの問題が多いという面もあったので、法改正という限定がつくと、そもそも検討から外れてしまうのかもとも思います。でも、審査会のあり方は、いろいろ課題があったと思っています。

 審査会での審議の流れを考えると、いくつかのポイントがある。まずは、①行政機関が出す理由説明書があって、②それに対する申立人の意見書がある。③審査会は、不開示になった行政文書を直接見て審査するインカメラ審理を行い、④その時に行政機関を呼んで説明を求めたりしている。⑤その際、複数の不開示事由が適用されていて、文書の量が多いと、どの部分がどの不開示事由に該当するのかなどをインデックス化した資料を作成する。これをヴォーンインデックスと通称で呼んでいる。⑥そして場合によっては申立人の意見陳述を行って、最後に答申を出すということになる。

 課題を挙げるといろいろある。まずは①。行政機関の理由説明書は十分な説明をしていないものが結構ある。正直、申立人として何を反論しろというのか、というレベルのこともある。申立人はそれでも②の意見書を出す(出さないこともある。私は一度、あまりにもひどい理由説明書だったので、頭にきて抗議の意味も込めてあえて出さなかったこともあるし。その件は訴訟でも争っているので、そう割り切れたということもありますけど)。審査会はどのように行政機関の理由説明の不十分さを埋めているかと言えば、③や④で補っている。行政機関に具体的な立証や説明を求めているという意味では、審査会の大きな仕事ではあるけど、ここでやり取りされたり行政機関が主張、説明したことは申立人には知らされることはないので、何を言われていても反論できず。

 それで、申立人にとって自分の主張を述べる機会は、⑥の意見陳述だけなのに、今はほとんど認められない。要は、審査会に対して意見陳述をしたいといっても、必要ありません、と拒否されてしまうのです。また、⑤は法が定めるヴォーンインデックスではなく、ヴォーンインテックス的なものを作っているだけ。このヴォーンインデックス的なものがいったい何ぞや、ということははっきりしないけど、審査会が参照する何かは作られているよう。

 実際運用状況をみると、申立人の意見陳述はこれまでの運用でだんだん減って今はやっていないに等しい。

 平成13年度  49件
 平成14年度  112件
 平成15年度  72件
 平成16年度  63件
 平成17年度  10件
 平成18年度  1件
 平成19年度  8件
 平成20年度  3件
 平成21年度  2件

 ヴォーンインデックスの作成状況はこんな感じ。

 平成13年度  3件
 平成14年度  24件
 平成15年度  4件
 平成16年度  3件
 平成17~21年度  0件 

 平成17年度から、意見陳述が減り、ヴォーンインデックスは実績がなくなってしまった。行政透明化検討チームのヒアリングで、平成17年度以降、何か運営上の変更があったのか審査会事務局長に質問したが、そういうことはないとの返答だったけど、何だか??な感じがぬぐえない。

 そういう疑問もあるけど、要は、審査会としての権限はヴォーンインデックスに関してはあまり行使していない、申立人の機会行使(意見陳述)は蹴る、行政機関の理由説明が不十分であってもそこは審査会さえ不十分さを補充できればよいというのが、この間の一貫した運用なので、申立人に最低限の機会保障がされているのかという点では、とても疑問がある。実のところ、申立人の機会保障なんてどうでもよい、というような運用と見るしかないと思う。

 しかも、審査会に諮問されてから長期間、審査会で審議をしていることもある(長いと3年とか)。審議中は、申立人はよく進行がわからないし、何の機会も与えられないので、ひたすら待つしかない。出てきた答申を見ると、何度も行政機関を呼んで審査会が話を聞いた経過が書かれている。やっぱり審査会は行政機関の方を見ているんだという視線がそこから生まれる。という状況かなと思う。

 じゃあ、これらについて何を改善すればということになると、ここに書いたことは、ほとんど審査会の裁量の範囲のことなのです。どういう権限を行使するか、誰にどういう機会を与えるかは、審査会が決めることになっている。だから、規定の問題よりも運用の問題になるとまとめられるのだけど、情報公開法では行政の裁量的判断を極力限定する方向で議論をしているのに、審査会ではあるべき審査会のあり方なんてまったく議論にもならず、裁量の範囲で行われている今の運用が適当なのか、その裁量は妥当なのか、という議論もなかった。というより、そういう話をしても、無視されるとうか、スルーされてしまうのでありました。そして、審査会としても標準処理期間を設けてはどうかという提案を、申立人が審査の大枠の期間が予見できるようにと思ってしてみましたが、一蹴されてしまったのでありました。

 結局残ったことは、行政透明化検討チームの有識者メンバーの二人が審査会の現委員であるということと、審査会は一生懸命やっているんだという趣旨のお言葉。そして、行政機関の裁量は問題になるけど、審査会の裁量の妥当性は問題にならないらしいということ。なので、これからは審査会の運用面で申立人の機会保障をどう高めていくのか、というところで、ユーザーサイドは一仕事しなければならないということなのだと思います。これから頑張らねばと反省してみました。

 ところで、誤解されるといやなので最後に一言。審査会がなすべきことをまったくしていないとか、救済機関として役に立たないとか、そんなことを言うつもりは毛頭ないです。ただ、私も県の審査会の委員をして答申を書いていたことがあるので、そういう立場でそれなりに一生懸命自分の役割を果たそうとすると、その一生懸命さ、非公開の議論のなかで内向きな感じに陥りやすい心情が、何となくわかるような気がするのですよ。それに自分が気付いたときに、私はそういう自分がかなり嫌になりましたし。だから、内向きになる審査会の自己都合的な部分は、やはり申し立てる側が自らの機会の保障を求めていくしかないのかなと思ってしまうのは、私だけでしょうか。
 
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by clearinghouse | 2010-08-03 23:50 | 行政透明化検討チーム