また渋谷区 情報公開請求文書を書き換えて開示

 昨年末にも渋谷区の情報公開条例の運用問題の報道について以下のエントリーをしましたが、また問題。

 公開請求者の公文書利用方法を問題に非公開 http://johokokai.exblog.jp/15680832/

 今回は、情報公開請求があった後に、請求対象文書を書き換えて開示を実施したというものです。
東京・渋谷区教委:給食情報、書き換え開示 「記載に不備」と釈明
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110119ddm041040168000c.html
 書き換えられたのは区立笹塚中の08年度の「給食の記録」。食材の量や栄養価、価格などが日ごとに記録されている。09年10月に市民団体「渋谷オンブズマン」の久保田正尚代表(54)が情報公開請求した。区教委は「事務処理に時間を要する」として開示日を1カ月余り延長し、同年12月に開示した。
 ところが、この文書は保護者からの情報公開請求に対し、同年7月に開示された同じ08年度の「給食の記録」と食材の量やカロリーなど記載内容が異なっていた。また、当初の文書にあった給食担当教諭ら2人の印も省かれていた。

 聞いている話だと、09年7月に一度開示されていた文書と同じものを別の人が09年10月に開示請求したところ、別物が開示されたというもの。記事によると、最初の情報公開請求後に不備や誤りが指摘されて訂正作業を進めていたので、開示請求を受けて書き換えたわけではないというのが、区教委の説明のようです。書き換えも、一部書き換えたという程度のものではなく、書式から違うし、手書きが多いものからパソコンで作成された文書になっているとか、原本の修正という程度のものではないようです。

 この問題、言わずもがなですがいくつかの問題が含まれている。そもそもの問題として、給食の記録で「栄養価計算に不正確な点があった」ということや不備があったということは、単に記載ミスなのかそもそもの業務に問題があったのか次第でまったく別の問題になる。記載ミスであったとするならば、業務は適正だったけど正確な記録がなされていないという点で、業務の記録に足る文書作成ができていないので、まったく説明責任を果たさないし、業務の正当性を証明する証拠がないということになる。一方、複数の記録や資料をを突き合わせるとつじつまが合わなかったり、計算が合わないので、設定されている基準に合わせて書き換えているということになると、不当な業務が行われていた上に、それを適正な業務を行っていたかのように見せかけるために文書を改ざんし、虚偽の公文書を作成したということになります。この件は、どちらなのかというのは極めて重要な意味を持つ問題のように思います。

 情報公開制度の問題は、もっとはっきりしている。要は、情報公開制度は請求した時点で現に存在している文書を対象にして、文書が特定され開示・不開示が決定されることになるので、ミス等が指摘されている文書であっても、開示請求がされたらその時点で存在しているものを開示決定すべきでしょう。しかも、過去に一度開示決定をしているものなので、すぐに判断できる文書であるにもかかわらず、決定期限を延長し、その間に書き換えを行い作業終了後に書き換えた文書を開示している。書き換えではなく差し替えと言った方が正しいかなと思う。

 開示された文書の欄外には「平成21年(09年)12月訂正」と記されているようなので、訂正された文書であることはわかるので、この点は以前に起こった東北厚生局の同種の書き換え事件ではそういうものがなかったので、まだましか。この比較対照もかしいけど。東北厚生局の場合は、書き換え後の文書をいったん開示し、その後に開示する文書を誤っていましたと決定がしなおされ、書き換え前の文書が開示されるという道をたどっていますが、この件は1年以上前の開示請求ですがそういうことはおこなわれていないようですね。

 こういう話を聞くにつけ、一歩間違うと情報公開制度もご都合主義的な運用になるのがさもしいと思うところ。開示請求された対象文書に、誤りがあったりそのまま開示すると問題になるかもしれないというものは、請求後に全面的に書き換えて新たな内容の公文書を作成してそれを開示するけど、おそらく不存在事案については、たとえ作成・取得ができる内容のものであってもそれは絶対しないでしょう。

 情報公開条例を運用していくことで、こういうことが不信感や対立の源になっていくわけだから、しっかりしてほしい。結局、お互いにいいことは何もないわけなんだから。にもかかわらず、行動様式が請求者に喧嘩を売っているようなものが多いのは、なぜなんでしょうね。
 
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by clearinghouse | 2011-01-20 23:21