国立公文書館に激しく脱力 何なんだこれは

 生業は8月が超繁忙期で、しばらくこのブログも放置していましたが、やっと落ち着いたところで、今回は怒りの更新。

 ずっと現用文書の情報公開制度を使ってきたので、あまり歴史文書の利用には縁がありませんでしたが、このたび公文書管理法が施行されてから初めて、国立公文書館に特定歴史公文書等の利用請求を行ってみました。

 感想は、「何なんだこれは(怒)」の一言で収めておかないと、収拾がつかなくなりそうな気分でございます。20年前の情報公開制度の諸問題をそのまま体現しているかの運用。

 私が今回利用請求をしていた特定歴史公文書等は、一部利用制限がされました。決定通知書が送られてくるのですが、利用制限の理由の記載は「公文書管理法第16条第1号イ」というように、条文の中身ではなく番号のみ。はっきりいって、こんな理由付記だと行政機関であれば行政手続法第8条違反で、利用制限の処分そのものが不適法で取り消されるレベル。訴訟で争っても、最高裁の判例をかんがみれば私勝てると思う。残念ながらというか、国立公文書館としては好都合というべきか、独立行政法人なので行政手続法が適用されていないので、処分が理由付記の不備をもって取り消されるかどうかは定かではない。

 行政機関に対する情報公開請求では、いまどきはよほど劣化した運用を行っていない限りあり得ないレベルです。しかも、どのような内容が利用制限されているのかも一切記載なし。複数の利用制限事由を適用していても、条文数のみ。利用制限対象となった内容は一切不明。まあ素敵、とっても素敵(怒)、という気分でございます。

 しかも、実際に閲覧できるのは利用請求をした特定歴史公文書等の原本なのですが、閲覧時は袋でとじられており、どういう文書かを知る手がかりは一切なし。こんなので、決定通知書には不服申し立ては裁判についての教示があるなんて、お笑いです。だって、利用制限がされているのは何かという内容がまったくわからないのに、争えますなんて・・・。
 
 さらに脱力というか怒りを覚えたのは、特定歴史公文書等の写しの交付を求める段階。特定歴史公文書等は、写しの交付までに時間がかかる。これは仕方がないかなと思っているのですが、私が写しを入手したいのは、一部が利用制限されているもの。利用制限部分はところどころ袋でとじられているので、写しが作成された時に、どこに利用制限の部分があったのかわかるようになりますか?と閲覧室の職員に尋ねたところ、「業者さんが作りますから・・・」といわれて、激しく脱力。要は、写しは交付されるけど、どこに利用制限されているか部分が入っているかわからない形で出てくるようです。

 この職員に文句を言っても仕方がないので、まあまあという感じなので念を押して確認しかしませんでしたけど。でも、情報公開制度では絶対にあり得ない、というかそういう写しが交付されたとしたら、しかも閲覧をせずに写しの交付を受けたら、「情報隠し」なんて怒られて大問題になるかもしれないというレベルの話です。本当に、どんな運用になっているんだ(怒)、ということですよ、本当に。

 そして駄目押しが最後に。2010年度の公文書管理委員会で、国立公文書館の利用規則案が検討されたので、その会議を傍聴していた私は、その時点の記憶で今回、国立公文書館の利用をしていました。そのため、実際に行ってみて激しく脱力というか、怒り心頭になったのが、写しの交付の方法です。

 私は、紙媒体の特定歴史公文書等だったので、紙にコピーをしてもらうつもりでいました。公文書管理委員会に提出されていた利用規則案では、紙のコピーは1枚40円。業者が写しを作成するので、かなり高額ですが、その頭で利用請求対象文書のコピーを考えていました。

2010年度 12月14日開催 公文書管理委員会(第5回)
 資料18 独立行政法人国立公文書館利用等規則案

 ところが、実際に国立公文書館で手続をしてわかったのは、紙媒体の特定歴史公文書等を紙媒体でコピーをとる方法が、実際の運用段階で除外されていたということでした。紙媒体の文書は、スキャニングをしてデータ化するか、マイクロフィルムかするか、いずれかの方法でしか写しが交付されないことになっていました。そのため、紙文書の場合、スキャニングされた文書をデータで写しの交付を受けようと思うと、1コマ70円+CD-R(1枚300円)かDVD-R(1枚500円)を支払うか、スキャニングしたデータをプリントアウトしてもらう方法で1枚110円支払うかのいずれかしか選択肢がない。マイクロフィルムだと、フィルムで写しの交付を受けると1コマ60円、紙にそれを出力してもらうと1枚120円の手数料が必要。

 要は、紙媒体の文書が大多数でありながら、紙文書の写しの交付を受けようと思うと、1枚につき70円とか異様に高額な手数料を支払わされるという規則になっていました。

独立行政法人国立公文書館 写しの交付に係る手数料表
 http://www.archives.go.jp/guide/pdf/kouhu.pdf

 誰も何もこれまで言わなかったのか??と思いますよ。多分、研究利用とかが多いので、費用がかかっても自分のお財布が傷まないような利用の仕方をしている人が多いのかも。閲覧室でいろいろ質問をしている私に対し、その横で当たり前のように写しの交付申請をしている人がいるのを見て、そう思ってしまいましたよ。

 ふと疑問に思って、外交史料館や宮内公文書館の写しの交付手数料を調べたところ、いずれも紙媒体の文書を紙媒体にコピーができる手数料設定がされていました。外交史料館が1枚40円、宮内公文書館は1枚10円。業者を利用しているかどうかで金額設定が異なってるのですが、多数を占める紙文書については紙媒体でのコピーを認めている。国立公文書館は、何でこういうことになったのか??そもそも、情報公開を進めようとか、特定歴史公文書の利用を進めようとか、そういう発想があるとはとても思えない。

 これまで特定歴史公文書等の利用請求をしてきた人たちは、何も言わなかったのでしょうか。何も言う人がいなかったとすると、それも信じられない。人が良すぎるとかそういうレベルの問題ではなく、浮世離れしすぎている。

 というわけで、こういうことは受け入れがたい性格なもので、こんなところで吠えていても仕方がないからひそかに宣戦布告。当の国立公文書館からすると私ごときに吠えられても屁でもないでしょうけど、何もしないでこれでよしとはとてもいえないので、調べる、意見を言う、争うの三点セットくらいはやろうと思って、早速一部手をつけました。ああ、疲れる・・・
 
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by clearinghouse | 2011-09-02 19:36