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聞けば聞くほどわからない SPEEDI

 遅ればせながら、今年もよろしくお願い申し上げます。

 SPEEDIに関連する情報公開請求をしたため、昨年末に文科省と若干のやり取りをする機会がありました。話を聞いていると、これまで世の中に出回っている情報との関係で何が何だか整理がつかなくなるような話なので、自分のためにもちょっと整理。

 そもそも、SPEEDIの運用はとても分かりにくい。原子力災害の場合の運用に関しては、以下の3つの計画や方針などがある模様。

・防災基本計画(平成17年7月 中央防災会議)
 http://www.bousai.go.jp/keikaku/050726_basic_plan.pdf

・「原子力施設等の防災対策について(防災指針)」(原子力安全委員会)
 http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai220823.pdf

・「環境放射線モニタリング指針」(原子力安全委員会)
 http://www.nsc.go.jp/shinsajokyo/pdf/100327_kankyo_monita.pdf

 また、12月26日に出された「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の中間報告の257ページからも運用に関する説明があるので、これらを斜め読みしてちょっと勉強してみた。

 で、そのうえで文科省とのちょっとしたやり取りを振り返ってみた。説明だと、「防災基本計画」により10条をうけて1ベクレルの放射性物質の放出があったと仮定して、単位量放出についてのSPEEDIの予測結果が出されていて、それは関係機関に一斉送信されていたので、文科省にもそれが届いていたということ。これは、事故調査・検証委員会の報告と一緒。ただ、その結果はメールの添付ファイルで受信していたそう。

 SPEEDIは、専用の受信端末があるというような説明をあちこちで見かけていたのでなんで??と思って事故調査・検証委員会の中間報告を見ると、
「福島県庁及びオフサイトセンターへの送付については、3月11日に発生した地震により、SPEEDIの計算結果のデータを送付する回線が使用できなくなったため、SPEEDI予測結果が送付できない状況にあった。福島県庁においては、SPEEDIの受信端末は県庁庁舎に設置されていたが、地震により県庁の庁舎が被災し、そこでの活動が困難であたっため、受信端末自体も使用できない状況となった。そのため、原子力安全技術センターは、オフサイトセンターに対しては、衛星電話回線を使用して、3月11日以降に行われた単位量放出を仮定した計算結果の写しをFAXで送付した。他方、福島県庁においては、地震直後からインターネット解散が使用できたため、3月12日夜から、原子力安全技術センターから電子メールで前記のSPEEDI計算結果が送付された。」(259ページ注)

とある。福島県庁とオフサイトセンターは端末で結果を送付できませんでした、としかないので、霞が関は回線が生きていて受信端末が稼働していたと読める。でも、文科省は結果の受信について、メールで受けていたと私には説明をしました。端末で受けるという話はどこに行ったのか??というか、なぜ文科省は受信端末で受けずにメールの添付で受信しているのか?この受信端末とやらがわからないのと、通常どういう形での受信になるのかもわからないので、話がよくわからない。

 しかも、いつ受信したのかというデータは、担当が変わったのでメールの受信履歴はあるかどうかわからないんだそう。こういうデータって、一職員個人あてに送られるものなのでしょうか??担当者にあてて送られたとしても、結果を受け取る部署としてのアドレスにも送られるものなのではないかと思うけど、この辺の経緯もよくわからない。今、調べていますということだったので、何か出てくるかも。でも、いろいろ聞いても、電話をかけてくる職員は、文書を持っている原課でなかったりするので、よくわからないままだったりする。確認して連絡をもらうことになっているけど、いまだに私の頭の中はクエスチョンマークだらけ。

 しかも、この仮定の単位量によるSPEEDIの予測結果以外に文科省と原子力安全・保安院がそれぞれ独自に放出源情報を出して、SPEEDIの計算を行っている原子力安全技術センターに計算を依頼しているのですが、原子力安全・保安院が依頼して出た予測結果の一部が、文科省にも送られてきているとのこと。この保安院分の予測結果については、それを受信した記録が残っているよう。ただ、それは保安院が依頼して作成された図形が42あるというメモが見つかったという話でした。

 そして、原子力安全技術センターにSPEEDIの予測計算を文科省独自の放出源情報で依頼をしているのですが、その依頼内容は口頭で伝えたので、記録なしという説明も・・・。でも、文科省のHPを見ると、その放出源情報が公表されている。記録がないのに、どうしてHPに情報が出ている??

 ちなみに、経済産業省がSPEEDIの予測結果の受信について私に説明した内容は、SPEEDIの受信端末はあるが、それは何とかセンターというところにあって、文科省の職員しかその端末の操作ができないので、経産省の中にはあるが、経産省では情報が独自に確認できない、ということ。ちょっとちょっと!と思ったのでいくつか質問をしたところ、電話をかけてきた職員は情報公開窓口担当の職員で詳細が分からず、確認してまたかけます、ということでした。が、いまだに電話なし。どうなっているんでしょう??

 それで、私が聞いた話を丸めると、経産省はSPEEDIの結果を受信する専用端末はあるが、経産省の職員が操作できず、文科省から人が来て操作するので、経産省が管理しているものではない。一方の文科省は、予測結果は受信端末ではなくメールの添付ファイルで受け取っているので、受信端末があるかどうかも不明で、あったとしても端末での受信状況がわからない、といったところでしょうか。

 福島原発事故の情報公開請求をしていると、ほかにも話がくい違うことがいろいろ。こちらもそれなりに慎重に話をかみ砕いて呑み込むようにしていて、はなからごまかされないように気を付けていますが、それでもこの段になってまだ情報公開請求をすると要領を得ないのはどうしてでしょう?正直、情報公開請求をしていると、これまでなされた説明の数々は、やはり信用できないと思ってしまいます。事故調査・検証委員会の中間報告もどうなんでしょうね。

 とりあえず、これまで私が聞いたSPEEDIに関する説明について、何か知っている方は是非教えてください。
 
by clearinghouse | 2012-01-08 01:02