秘密保全法制をめぐる議事メモ廃棄 

 各紙が、3月16日の官房長官会見で、秘密保全法制有識者会議の議事メモを廃棄したと説明したことを報じています。発端は、東京新聞3月16日朝刊の記事。それによると、福島みずほ参議院議員が3月上旬に確認したところ、後日廃棄したとの回答があったということが、記事が出た経緯のようです。これについて、官房長官が午前の会見で答え、それが後追い記事になっていました。

 最後に会見内容をざっとおこしたものをのせておきましたが、長官会見の説明は、2012年3月6日付で私に郵送されてきた、秘密保全法制有識者会議議事録不存在についての不服申立てに対する「理由説明書」に書いてあるものそのまま。おそらく、福島議員が内閣官房の職員に確認を試みた辺りに、この理由説明書の起案が行われていたのではないかと思います。

 理由説明書を引用すると、
「処分庁の職員が記録した上記のメモは、当該職員が議事要旨の案文を作成するに当たって参照するために作成したものであり、当該職員は単独で使用しており、他の職員に提供するなど組織的に利用されている事実はない。また、議事要旨の内容が確定し、ホームページに公開された時点で、上記メモについては役割を終えることから、随時廃棄されている」

という内容。官房長官も会見で、まったく同じ内容を説明しています。すでに、私の不服申立ては情報公開・個人情報保護審査会に諮問されていますので、出てきている理由説明書に対する意見書を月末までに書かなければならないので、思案中です。

 ただ、以前に法務省が司法試験委員会の議事内容を録音したものを、個人メモと称して不存在としたことがありました。この件も私が当事者ですが、情報公開・個人情報保護審査会も、裁判所もいずれも公文書であると判断された過去があります。

司法試験委員会の議事内容の録音テープ等の不開示決定に関する件(平成20年(行情)諮問第440号) 

 かいつまんで背景を説明すると、司法試験委員会も新司法試験の合格者数を検討した会議の議事概要しか作成していなかったので、録音物を情報公開請求したところ、録音物は一人の職員しか用いていないので、組織的に用いられていないということを理由に行政文書ではなく個人メモと判断され、不存在という決定になったというものです。これに不服申立てをし、情報公開・個人情報保護審査会の答申が出ました。そこでは、雑駁にまとめると、

 ①司法試験委員会が非公開の会議で、録音をとることは職務上の行為であること
 ②非公開会議の録音をしているので、それは組織として許可されたものであること
 ③だからそれは組織的管理がされているか組織的管理がされるべきものであること
 ④録音物は担当職員一人しか用いていないけど、そもそも議事概要を作成するという所掌事務を
  確実に遂行するためには、組織的に用いられるべきものであること

なのであるから、行政文書に該当するという判断となりました。

 今回は「メモ」ということなので、録音物と同じように判断されるかわかりませんが、非公開の会議であればメモを勝手に取って、私物として管理を委ねるということはあるはずがないと思うので、ここはメモも含めて行政文書、という判断くらいは答申で欲しいところです。ただ、廃棄したということ、そして議事概要公表後に随時廃棄、としているので、まだ残っているという主張にはなかなかハードルの高い状況設定をされてしまいました。

 ただ、これも以前の答申のように少し意味のある判断が取れるよう、少し主張について工夫をしてみたいと思います。


<3月16日午前 官房長官会見>
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5948.html?t=60&a=1

〇秘密保全法案に関して、有識者会議の議事録未作成が確認されたが、メモも廃棄されていたという一部報道がある。その事実関係と、公文書管理法上適正かどうか見解を

有識者会議においては各有識者が率直な意見交換ができるよう、会議終了後に発言者名を付さない形で議事要旨を公表することが第1回会合で決定。議事要旨の案文を作成するに当たって、それに伴ったメモについては議事要旨の内容が確定し公表された時点で随時廃棄をされていたと聞いている。いずれにしても、政府としては公表されている議事要旨、配布資料に合わせて、報告書で十分に判断することが可能。

〇公文書管理法のガイドラインで、メモについて法律立案の基礎となった国政上の意思決定が記録されているものについては、今回はこれにあたらないと言う考えか。

個人のメモとして作成されているものは、公文書管理法上の行政文書ではないことはその前に書いてある。その中身について、そういうことがあるならそうだが、廃棄されたのはそういう判断ではなかったということだ。
 
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by clearinghouse | 2012-03-17 23:03