東京都の公文書管理についての都議会文書質問

 東京都議会では「文書質問」というものがあるそう。国会だと質問主意書というものがありますが、それとは少し異なるようで、「答弁」ではなく「回答」を執行部がするのだそう。

 2011年第4回定例議会で、公文書管理について文書質問がされていたと資料をいただきました。都議会のHPなどで文書質問は公開されていないようなので、もったいないのでここに掲載。質問と回答のみ掲載で、立派な前置きがあるのですが、ここでは割愛。

 文書質問は5問なされていて、公文書管理法の施行を受けて、都の公文書管理のルールや公文書館の位置づけなどについてなされています。都の回答は、少し不誠実かなと思います。ただ、公文書管理については既存のルールを見直す必要性はないという立場のよう。歴史文書の保存、管理の問題も熱心とは言えず、政策的なレベルでルールを具体的に整備をしようという意識はなさそうです。都知事は歴代作家出身者がいるので、もっとこうした問題に対する感度はあってもよいのかなと思いますが、そうもいかないのでしょうか。

 国の公文書管理法は、各省庁のルールがばらばらだったことや、文書の誤廃棄や紛失などの問題があったからできたので、東京都ではそういう問題がないのでやる必要はないという当時の認識です。が、 この文書質問後に、東京オリンピック招致活動の支出書類の紛失→発見という問題があったりで、この認識は少し変えてもらう必要がありそうです。


2011年第4回定例都議会文書質問 公文書管理について
 山内玲子(都議会生活者ネットワーク・みらい)


【質問1】
 公文書管理法の施行に伴って、東京都では公文書管理のあり方についてどのように検討が行われたか伺います。

【回答】
 平成23年4月に施行された公文書等の管理に関する法律は、これまで国において文書管理の運用が各省庁任せであったことなどにより、不適切な文書管理が行われていたことを踏まえ、まちまちだった各行政機関での文書管理について統一的なルールを定め、適切な文書の管理体制の確立を目指すために制定されたものです。
 一方、都では、すでに平成11年に制定した情報公開条例において、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、文書の発生から廃棄までを統一的なルールで統制するため、文書管理規則等を整備しています。
 今後とも、こうした文書管理の仕組みを適切に運用していきます。



【質問2】
 情報公開条例では「実施機関」に入っている教育委員会、公営企業管理者、警視総監や地方独立行政法人などが、文書管理規則ではその対象となっておらず、この規則はとのすべての機関や外郭団体に及ぶものではありません。  
 文書管理と情報公開は、民主杉の根幹をなす車の両輪ですから、文書管理についても、情報公開条例と同様に共通の考え方が必要ではないかと考えます。文書管理規則は、非常に細かく規定が示されており、そのままで共通にすることは難しいと思いますが、公文書管理法に示された目的規定を踏まえ、都の公文書全体を貫く考え方を示す必要があると考えますが、見解をうかがいます。

【回答】
 都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠なものであり、適切な文書管理は、情報公開制度を相まって、都民にとって、都政に関する情報を迅速かつ容易に得ることや、都政への参加を進めるために重要であると考えます。
 これを受けて、情報公開条例において、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、実施機関は、規則等で定めるところにより、公文書の適正な管理に関する定めを設けなければならないものとされています。
 これに基づいて、各実施機関は、文書管理規則に準じた規則等を定め、適切な文書管理を行っています。
 また、監理団体に対しては、監理団体指導監督要綱等において情報公開の推進を求め、それに必要な文書管理がなされるように指導を行っており、それぞれの団体において、文書管理に関する規程が整備され、適切な運用がなされています。


【質問3】
 保存期間と廃棄について伺います。文書管理規則に基づいてそれぞれの文書の保存期間は各局で定めることになっており、計画策定過程の文書についても同様です。例えば、環境基本計画策定については、成果物は長期保存ですが、①庁内議論に関する文書②審議会の議事録及び資料③パブリックコメントなどの資料が存在します。②や③はホームページで長期間公開していますが、公文書としては局の文書保存期間表により3年または軽易なものは1年未満となっています。また、現在策定されている「2020年の東京(仮称)」は、都の基本的な計画となるものですが、策定過程に審議会やパブリックコメントはなく、7月に「策定方針」が発表され、各局から事業案が出されたとのことです。この場合は①策定方針が長期②各局の事業案及び庁内議論に関する文書は1年未満となっています。このように、長期保存である計画の策定過程文書の保存期間が短いことは問題であると思います。一貫した公文書の管理という視点から、あらためて①庁内議論に関する文書②審議会の会議録および資料③パブリックコメントについて、保存期間の考え方を伺います。
 さらに、保存期間が過ぎて、公文書館から引き継ぎの求めがない場合、廃棄の判断は誰がするのか伺います。引き継ぎを求められても局内におかれる場合もあると聞いていますが、その判断についてもお聞きします。

【回答】
 文書の保存期間は、文書管理規則に基づき、法令等の定め、当該文書の効力、重要度、利用度、資料価値等を考慮し、都が執行すべき事務事業に係る基本的な方針及び計画の設定に関する起案文書については長期とし、また、基本的方針、計画等に関する重要なものに関する資料文書については3年などとする基準が定められています。
 この基準に基づき各局で定められた文書保存期間表に従って、お尋ねの文書についても適切に保存期間が設定されているものと考えています。また、保存期間を満了した文書については、廃棄されることになりますが、公文書館長が必要と認めた文書については、公文書館への引継ぎの対象となります。
 なお、保存期間を超えて保存する必要があると主務課長が認める文書については、局の庶務主管課長の承認を得て、引き続き当該文書を保存することができます。


【質問4】
 文書総合管理システムは、都の所有する公文書を調べるための目次のように使うことができます。インターネット検索もできるため、市民も容易にアクセスできます。ところが、起案文書名となっているため、これを見ただけでそれが必要な文書かわかりにくく、システムに記録されていない文書も多くあります。上記3で例示した文書については、環境基本計画に関するものは「東京都環境基本計画の改定に係る東京都環境審議会への諮問について」という文書しか記録されておらず、「2020年の東京(仮称)」については「「2020年の東京(仮称)」及び「実行プログラム2012(仮称)」策定に向けた事業案等の作成について」という提出文書が2つの局にあるだけです。このシステムでは、意思決定過程の内容がわかる文書が見つかるのは困難です。
 そこで、上記3で保存期間を伺った文書についてのシステム記録に関する考え方を伺います。

【回答】
 文書管理規則において、文書の管理は、原則として文書総合管理システムにより行うものとされており、主務課長は保存期間が1年以上である文書については、件名、文書番号、保存期間等の文書管理上必要な事項をシステムに記録するものとされています。
 したがって、お尋ねの文書についても、各局で定められた保存期間に応じて適切にシステムへの記録が行われているものと考えます。


【質問5】
 東京都公文書館は、条例設置ではなく、組織規程に基づいて設置されていま。これまで、東京都公文書館は公文書館法に定められたもの以外に修史事業の仕事もしていることから「公文書館法に基づく条例設置」とはしないということでした。しかし、東京都公文書館の役割を見ると、「都の公文書や庁内刊行物などを系統的に収集・保存し、これらの効率的な利用を図る」ことが重要な役割ですから、地方自治法に定められた「公の施設」と位置づけられていないのがなぜなのか疑問です。公文書館法に基づく公文書館としないとしても、自治法に基づく公の施設にあたると思います。いずれにしても、条例による設置が必要になります。
 公文書管理法にあわせて国立公文書館法が改正されました。改正国立公文書館法には、目的に「公文書関東の管理に関する法律の精神にのっとり」とあります。公文書管理法の精神とは、法1条に示された目的規定にほかなりません。
 文書管理規則の対象に入っていない教育委員会、公営企業局、警視庁や独立行政法人などは公文書館に引継ぎがされません。教育庁の文書をはじめ、今年100周年を迎えた都営交通や上下水道なども含めて、東京全体の公文書が一体的に公文書館に収められていくことが大切ではないかと思います。
 こうしたことを考え合わせると、公文書館のあり方を見直す必要もあると考えますが、見解を伺います。

【回答】
 公文書館法(以下「法」という。)に基づく公文書館は、現用文書を除く歴史的文書保存し、利用に供すること等を目的として設置されるものであり、地方公共団体が法に基づく公文書館を設置する場合は、条例で定めなければならないとされています。
 しかし、都における公文書館は、長期保存の現用文書及び都政資料を保存するとともに、都政に関する修史事業を行うことを主な目的として開設されたものであり、法に基づく公文書館とは性格を異にすることから、行政の内部組織として組織規程に基づき設置されています。
 また、公文書の保存については、各実施機関ごとに規則等に基づき適切な取り扱いを行っているものと考えています。
 今後とも、公文書館は、都における公文書類及び史資料の保存及び利用並びに都政史料の編さんというその役割を的確に果たせるよう努めていきます。
 
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by clearinghouse | 2012-11-29 17:02