秘密保全法制有識者会議議事録不存在の不服申立てで答申が出た

 秘密保全法制の検討を行った有識者会議の議事録を公開請求したところ、不存在となっていた件で、不服申し立てに対する情報公開・個人情報保護審査会の答申が12月11日付で出されました。ちょっと面倒なことになっています。

(ちなみに、以下の内容はかなり行政手続に関する細かい話を含むので、そういうことに関心のない方は読み飛ばすことをお勧めします)

秘密保全法制のための法制の在り方に関する有識者会議等の議事内容が分かる文書の開示決定に関する件(平成24年(行情)諮問第67号)
 
 答申は、処分は取り消すべきであるという内容なのですが、議事録が存在するから決定を取り消せというものではなく、決定が不適法なので取り消せというものなので、文書の存否そのものは判断していないものです。発端は、有識者会議は議事概要は作成しているがそれ以外の記録は作成していない、あるはメモ等があっても廃棄したというのが政府の決定なのですが、通知が「開示決定通知書」で処分の内容は「開示することとしました」と書いてあるのに、不開示理由が書かれていて行政文書として保有していないと書かれていた殊にあります。

 推測するに、事務処理の過程で開示決定通知書の書式をそのまま何も考えずに使って、不開示理由だけ書き加えたのだろうと思います。ただ、処分として変な形で来たので、議事録不存在の不服申し立てをしたときに、そもそも不適法な処分であることと、不存在であるならこれこれこういう理由で処分は違法だという2つの内容で争う形で申立書を作って送ったわけです。まあ、この申立書を見れば行政職にある人ならだれでも、まずいことになったことはわかるわけで、すぐに処分を行った内閣官房から電話がかかってきて、通知が誤っているので差し替えたいという申し出がありました。

 そこで、私個人の打算が働き、担当者の話の限りでは「処分の取消」ではなく「通知の差し替え」をするつもりのようだと思われたので、要は申立書で争っている不適法な処分の部分の争いはそのまま残ることになります。取り消しをせずに差し替えているので微妙だなと思いつつも、不適法な処分が争いの中心になると、いったんその不適法な処分を取り消して再度不存在決定が出て、それに対して不存在処分の取り消しを求める不服申し立てをしなければならくなるので、面倒なことになる。なので、とりあえず差し替える通知を送ってもらって、あわよくば審査会の答申は1回で済ませられないかと頭の中で計算をしたわけです。

 だから、しれっとして申し出を受けて差し替えを受けたけど、処分は取り消されていないということを前提に、審査会の処理の仕方にあとは委ねようと思ったのですが、甘かった。審査会では通知の出た経緯や差し替え前の通知も確認して、差し替え前の処分が「結論と理由とが齟齬するという重大な瑕疵があり、違法であるので、取り消すべきである」と答申したところです。また、差し替えについては「本件決定通知書の結論は開示決定であり、不開示通知書は不開示決定であるので、本件通知書を不開示通知書に差し替えることは、原処分を審査請求人に不利益に変更するもので許されない」というお言葉も。

 さらには付言で、「当該瑕疵が通知書の差し替えで治癒されると軽々に判断しており、本件通知書によって行政処分がなされているとの認識が不十分であり、開示決定等通知書の重要性に対する理解も不十分と言わざるを得ない」「今後、法の趣旨を正しく認識し、開示請求及び不服申立てに係る手続の適正化を図ることが強く望まれる」とおしかりの言葉が続き、また理由付記も不十分との指摘もされています。

 まったくおっしゃる通りで、個人的な思惑で打算的に一度の争いで済ませられないかと浅知恵を働かせるのは、やはりよくないということが、個人的には今回の教訓であります。答申を書いた審査会は第2部会で行政法学者がいらっしゃるという部会で、処分という手続の重みを考えると、当然の判断です。

 ただ、電話があった時点で、内閣官房に取消をした上で処分をといっていれば、この答申で不存在の妥当性の判断まで行っただろうにと思う一方で、そうするとこんなへんてこな決定をしてくる処分庁に対する注意喚起にはならないから審査会には載せたいといした下心と、どうすれば一番良かったかと、考えてしまう答申でございます。

 一つ言いたいことがあるとすれば、公文書管理委員会に特定歴史公文書等の利用制限処分の不服申し立てをしたときは、理由付記の違法性で処分取り消しをしつつ、開示・不開示も判断するということをしてくれていまして、それはそれで2度手間にならずに助かったということがありました。情報公開・個人情報保護審査会でもこういう柔軟な運用のかのうせいがないものでしょうかと思うところです。

(ここ↓にあるのが私が不服申立てをした案件の答申です)
 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/fufukutou/2011.html

 こんな話は、行政職と一部の行政法などにお詳しい法律関係の方しか興味ない話かもしれませんけど。
 
by clearinghouse | 2012-12-12 17:23