特定秘密保護法案の問題は構造的な欠陥

 昨日あたりから、特定秘密保護法案について「知る権利」や「報道の自由」への配慮に関する規定を設けるなどという話が出ている。また、礒崎首相補佐官が、「原発(の情報)が特定秘密になることは絶対にない」と明言するなど、世の中で出ている反対の声の表面だけをすくいあげて、さも世の中の懸念に配慮するとでもいうような情報が流れ始めている。

 <菅官房長官>「知る権利」前向き(毎日新聞 2013.9.18)
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130918-00000043-mai-pol

 礒崎首相補佐官、特定秘密保護法案「原発情報は対象にならず」 (日経新聞  2013.9.19)
 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO59891960Z10C13A9PP8000/


 「知る権利」「報道の自由」への配慮はあった方が良い。原発情報は対象にならないというのも良い。でも、これらは特定秘密保護法案の本質的な問題からはかけ離れている。知る権利等への配慮は、内部に閉じて誰も検証できない特定秘密保護制度の解釈運用指針に多少考慮されるかもしれない。刑事訴訟になった場合には解釈や適用をめぐって多少の意味があるかもしれない。しかし、こういうことで法案の問題点が解消されるわけではないことは明らかだ。

 「いちからわかる特定秘密保護法案~特定秘密保護法案は秘密のブラックホール?」でまとめたとおりだが、この法案は構造そのものが知る権利の保障や政府のアカウンタビリティを果たすという視点が全くないものであり、そのことが知る権利や報道の自由への侵害につながるということが問題なのだ。要は、知る権利や報道の自由などとの関係でいえば、決定的な欠陥を含んでいるのだ。

 構造的な問題とは、秘密の範囲や保存期間、秘密指定の解除、歴史的文書としての永久保存などを管理・監察・監督する仕組みが全くないということだ。特定秘密保護法案がなくても、自衛隊法に基づく防衛秘密があったり、情報セキュリティ基準などで秘密指定と同様の扱いをされている「秘密」や「非公開」情報は存在している。これまでずっと問題になってきているのは、実は法制度があるか否か以上に、こうした「秘密」や「非公開」となっている領域・文書について、それを適正化する、合理化する、不必要な秘密や非公開は作らない、秘密・非公開文書を重点的に歴史的文書として残していく、というメカニズムがないということだ。だから、非公開範囲や、秘密として内部に抱え込まれる範囲も広がりやすいまま、放置されてきている。

 問題は、特定秘密保護法案だけではなく、そもそもの構造に問題がある上に、特定秘密保護法案というふたがさらに閉められようとしているということなのだ。一度秘密指定されると、出口のないブラックホールに秘密が吸い込まれる、そういう構造が法的に正当化されようとしている。

 そのことを問題にせずに、「知る権利」等々への配慮を明記する、原発情報は特定秘密にならないなんてことでお茶を濁そうというのは、あってはならない。その問題に向き合えないとするならば、そのこと自体が知る権利等への根本的な理解を欠いている政府と国会という証明に他ならない。もう少し良識があって欲しいし、そうでなければならないと思う。
 
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by clearinghouse | 2013-09-19 16:33