公明党の特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチーム

 公明党「特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチーム」の座長である大口善徳議員が、法案に関する内閣情報調査室とのやり取りなどをHPで公表していることを、知人から教えてもらいました。すっかり見落としていました。

  特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチームでの論議(報告1)
  特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチームでの論議(報告2)
  「知る権利」明記を検討―特定秘密の指定基準で―有識者会議の設置も―秘密保護法案党PTで政府

 9月27日付の内閣情報調査室からの質問事項に対する回答を見ると、特定秘密のマネジメントに関連する部分の現状としては

①特定秘密について統一基準を策定し、策定に当たっては有識者からの意見を聞くことを検討
②公文書管理法の適用については、現在検討を行っている
③特定秘密の保護とともに閣議等の議事録を作成し30年保存して、保存期間満了後に国立公文書館に移管すべきという指摘に対しては、関係当局と協議すべき事項
④情報公開法を改正してインカメラ審理手続きを導入することへの見解として、関係当局と協議すべき事項

となっています。また、罰則等については

①取得行為について「特定秘密の保有者の管理を害する行為」に関する罰則は、不正競争防止法やマイナンバー法でも「管理侵害行為」の罰則があるので、構成要件の明確さは欠くことはない
②「違法行為を伴う取材ではない」という基準は、西山事件の最高裁判決「取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する」ような態様であるものの場合には、正当な取材の範囲を著しく逸脱するものは、処罰はあり得る
③特定秘密の漏えいの結果の重大性が量刑に影響を及ぼすことがあると考えられるが、漏えいの結果が及ぼす重大性については、外形立証によってこれを立証することはできる

とのこと。また、国会との関係については、

①国会に特定秘密を提供する場合は秘密会・秘密会議を想定。議事録の取扱いは各議院規則等で定められるものと考えている
②特定秘密を知る議員が本来は知りえない議員に相談をすることについては、特定秘密を提供すると漏えいになるが、国会において講じられる保護措置の具体的な内容等については国会の手続及び規律に関する事項

と書面で回答しています。この書面での回答を受けて、口頭で確認したものの記録が「報告2」です。それによると、

①特定秘密の統一基準は、有識者会議を設置し、議事要旨等も公表する
②特定秘密文書の管理については、「廃棄につき特別の定めをしない方向」
③公文書管理法に基づく廃棄に当たっての総理大臣の同意を要件として国立公文書館への移管をすることについては、「そういった方向で関係省庁と調整している」

ことが確認されたようです。

 特定秘密については、現行の防衛秘密が公文書管理法の適用を受けず、秘密指定されたまま公文書館へ移管する仕組みもなく、どんどん廃棄されている可能性がある状況に対して、何らかの対応をするようではあります。防衛秘密が野放図な仕組みとして作られ、運用されていたことは大きな問題ですが、特定秘密保護法案という段階でそれが秘密を管理する方向に議論を向かわせたことは、一つの収穫になるのかもしれません。

 ただ、公文書管理法の適用をどのようにするのかはかなり微妙な問題。公文書管理法の改正を本来はすべき話であるのかもしれません。というのも、公文書管理法は確かに、行政文書の廃棄に当たっては総理大臣の同意を必要とし、歴史的に重要な文書が廃棄されないようにする一種のゲートキーパーの役割を持たせています。しかし、実際に廃棄文書のチェックは、私たちもインターネット上で検索することのできる「行政文書ファイル管理簿」のファイル名等によって行われています。そうすると、今の公文書管理法の仕組みだと特定秘密もファイル管理簿に搭載をすることになるのか?という問題と、廃棄を認めるか否かの審査段階でそれが特定秘密か否かという情報までは行かないので、特定秘密という重大性を考慮する仕組みには、公文書管理法を素直に読むとなっていないのです。

 気になるのは、口頭での質問に対する回答で、「廃棄につき特別の定めをしない」「廃棄・移管は公文書管理法のルールに則る方向で調整をしている」と内閣情報調査室が説明をしている点です。要は、公文書管理法のうち、管理の基本的な部分は適用除外とし、廃棄については特別秘密保護法案として特別なルールを設けないので、公文書管理法の適用を受けます、と言っているのだと思います。そうすると、行政文書ファイル管理簿に特定秘密は搭載せず、特別秘密を管理する今の防衛省が行っているような管理システムは作ることになるのかなと思います。そして、特別秘密としての廃棄・移管の審査ができるプロセスを別途設けるということになるのだろうかと思います。

 ただ、気になるのは礒崎陽輔首相補佐官が自身のHPで今日、特定秘密保護法案についての記事を更新していますが、その中の以下の記載。

 秘密保護法案の疑問に答える
 5年の期限があることで指定について再考させる機会を与えることになります。特定秘密の指定解除後、文書保存期間が満了すれば、歴史的価値のある文書については、国立公文書館に引き継いで、供覧されることになります。

 個人的な見解としていますが、公文書館への移管は秘密指定が解除され、かつ文書の保存期間が満了したものは移管をすると言っています。移管されるのは秘密指定解除がされてからということになるということです。そうすると、秘密指定をされたまま保存期間をむかえたものは、内閣情報調査室の説明だと廃棄か否かの審査を経て、歴史的に残すべきものは公文書館に移管をするとしていますが、これは秘密指定解除ができるのものだけ移管をし、解除できないものは廃棄を認めず各行政機関にずっと抱えさせるつもり、と解釈することも可能です。

 特定秘密文書のライフサイクルを客観的に検証できるようにしないと、普通は特定秘密の中身に触れることのできないわけですから、お話にならないということになります。ここをもっと明確にはっきりとさせてほしいと思います。特定秘密保護法案が問題になっていますが、自衛隊法に基づく防錆秘密、MDA法、特別管理秘密、省秘などさまざまな秘密が政府には残念ながらあります。秘密や非公開がないのが一番いいのですが、現実は秘密や非公開の領域の検証がルールとしても運用としても実態としても検証ができない状況にあり、これを放置したまま秘密が問題だというのは、どうかと思います。特定秘密保護法案という問題とともに、秘密は民主的に管理をされ、時間軸を長くとってアカウンタビリティを果たす仕組みや、情報公開を広げる仕組みについてもっと議論をしてもよいのではないかと思います。
 
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by clearinghouse | 2013-10-01 21:18