特定秘密の基準づくり―情報保全諮問会議は何をするのか?

※タイトルの会議名称を間違えていたので修正しました。

 1月17日に情報保全諮問会議が開催されました。特定秘密保護法に規定されている、特定秘密の指定・解除、適性評価の統一基準について意見を聴くことになっている「有識者」により構成されているもの。メンバーは以下の通りです。

 座長 渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長兼主筆
 主査 永野秀雄・法政大人間環境学部教授
    宇賀克也・東京大大学院法学政治学研究科教授
    塩入みほも・駒沢大法学部准教授
    清水勉・日本弁護士連合会情報問題対策委員長
    住田裕子・弁護士
    南場智子・ディー・エヌ・エー創業者

 諮問会議の資料は以下に掲載されています。

 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jyouhouhozen/index.html

◆プロセスの検証可能性

 この諮問会議については人選と会議・議事録の公開についていろいろ批判などなどされていますが、基準策定のプロセスの公開性・検証可能性からすると、会議・議事録の公開よりもっと違う問題があるように思います。それは、「資料6 今後のスケジュール(イメージ)」を見ると、基準の閣議決定まで開催が予定されている会議は3回だけ。第1回はすでに終わりましたから、残るところは2回が今のところ予定されていて、第2回では素案の検討を終えて、その後パブリックコメントを実施する予定になっています。

 この第1回から第2回の間に、政令素案・運用基準素案の検討が行われるというフローで、この間に「有識者から意見を聴きつつ素案を作成」となっている。個別に有識者に意見を聴いていくということが予定されているようなのです。素案の作成という起案段階をすべて会議で行うのは現実的ではないとは思いますし、素案を事務局が座長や主査と相談して作成をして作成して会議で検討されるということはよくあることではあります。しかし、この方法では会議の公開や議事録の公開だけを求めていれば、素案の検討経過が検証可能になるとはとても言えないということになります。

 第1回から第2回の間に行われる有識者から意見を聴くということを、どのように行うのか、このプロセスはどのように記録されるのか、更にはこの時点で有識者にはどのような情報が提供されて意見を聴くことになるのかなど、プロセスの検証可能性をどの程度フローに埋め込んで予定を組んでいるのかを、まずははっきりさせてほしいです。今のフローだと、基準策定の実質的検討は会議では行われないということだけは、よくわかるとしか言いようがない。

 また、不測の事態(非公開や秘密としなければならないことが言及されるとか)を回避するために、会議非公開はこの場合許容される必要性はあるかもしれません。しかし、議事録は会議の内容次第では公開とできるものもあるはず。相場観でいえば議事録作成に1カ月、情報公開請求をすると決定まで1カ月という時間を考えると、もはやパブリックコメントなどに間に合うタイミングで情報が公開される可能性は限りなく低い。これも何とかしてほしい。

 ただ、批判の対象が会議非公開や議事録がすぐに情報公開されないことだけになってしまうと、特定秘密という問題そのものに向き合っていることにならないので、基準としてどんなことが想定されるのかについて、私なりに特定秘密保護法の規定から想定できる範囲をちょっと整理してみます。

◆特定秘密の指定と解除基準

 諮問会議の「資料7 今後の検討事項」には運用基準関係として以下の事項の検討が予定されています。

 ・指定の対象となる事項の細目
 ・指定の有効期間の基準
 ・適性評価の実施基準
 ・適性評価に関する個人情報の管理方法
 ・公益通報者の保護  等

 ここでは特に指定と解除の基準について整理してみます。特定秘密保護法18条第1項は「特定秘密の指定およびその解除…の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定めるものとする」、と規定しています。そして、第4条第7項では「第3条第1項に規定する要件を欠くに至ったときは、有効期間内であっても、政令で定めるところにより速やかにその指定を解除するものとする」と規定されています。「基準」とはどのようなものかはこの間明らかになっていませんが、この二つなどを読み合わせると、指定の基準が解除の基準にもなるということになると思います。というのも、秘密指定解除は、指定期間の満了が基本で、もう一つが指定する条件を満たさなくなったときの2パターンしか法では想定できないからです。

 そうすると、秘密指定の基準とは①どのような場合が特定秘密の指定の対象となるのかと、②指定を継続する期間、の2点になると思われます。これが特定秘密の要件を欠くとは何かの基準=解除の基準となると考えられる。ただ、では、期間や秘密の要件の基準が具体的にどのようなものが想定されるのか、というのは正直未知数。情報公開法では処分に関する審査基準というものが設けられていて、非公開規定の審査基準というものもありますが、これは文言の解釈が中心。各省庁ごとに基準が策定されているので、それぞれの省庁で具体的にどのような事務事業や情報類型が該当するのかが書かれている場合がありますが、これで指定基準のようなものといえるかどうかといえば、ちょっと違う。そうすると、①文言解釈とともに、②特定秘密の分野・事項ごとの何かの基準、③秘密指定期間の判断のための基準、についてどのくらい具体的に統一的な基準が定められるのか、ということになるのだと思います。

 別の視点としては、指定基準に特定秘密に指定してはいけないネガティブリストを設けるというものです。例えば、違法行為、不適正な行政活動、人権侵害行為、汚職行為、失敗の隠ぺいなど、そもそも秘密指定をすることが隠ぺい行為となり、公共の利益を損なうものなどをかかげるというものです。こっちはわかりやすい話ではあります。いずれにしても、特定秘密についてどの程度の実態を諮問会議が把握して検討できるのか、というところがカギなのかなとも思います。が、資料を見ても諮問委員会の有識者に対する守秘規定がどうなっているのかわからないので、実際にどの程度の秘密に近い情報を把握するのか、形式的にもわからな。、秘密を知る官僚にどこまで突っ込んで話ができるのか、というところが結構重要かもしれないです。

 この続きはまた。
 
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by clearinghouse | 2014-01-20 21:39