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「口利き」の内部文書

 あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 新年早々ですが、この1月よりクリアリングハウスのフルタイムスタッフからはずれ、今年度いっぱいは週に2、3回の勤務になります。これまでもフルタイムスタッフとはいっても仕事の内容、勤務時間ともに自由裁量があまりにも大きかったので半分個人事業者のような感じでしたが、一応、平日はそれなりに事務所にいる体制から変更になりますので、一部ご不便をおかけすることになるかもしれません。今年度いっぱいで「室長」からも、有給スタッフとしてもはずれ、これからしばらくクリアリングハウス事務局は過渡期に入りますので、ご容赦ください。(あー、この話を出す時は、「円満退職」と加えるようにと言われておりました(^^;)。一年前に決まっていて当会の今年度の事業計画にも退任について書かれているくらいなので、大変円満です。それに、理事をずっと兼任しておりますので、理事会で辞めろと言われない限り理事としては残りますし・・・。まあ、ほとんどライフワークですし、まだしなければならないこともありますので。)

 さて、年の初めから気になるニュース。

松岡農水相秘書がNPO審査照会 大臣の会見と矛盾
http://www.asahi.com/national/update/0101/TKY200612310224.html
朝日新聞 2007年01月01日14時33分
 出資法違反容疑で福岡県警の家宅捜索を受けた資産運用コンサルティング会社「エフ・エー・シー」(エフ社)=福岡市=の関連団体「WBEF」のNPO法人申請をめぐって、松岡農林水産相=衆院熊本3区=の秘書から、審査状況について照会を受けたとする内部文書を内閣府が作成していたことがわかった。この文書は、福岡県警にも押収されている模様だ。

 このニュースが気にとまったのは、事件の内容もさることながら、「また出た」という既視感を覚えたからだ。

 「鈴木宗男事件」の時に内輪で何度も話題になっていたのが、リークされ、あるいは公にされてきた鈴木議員による「口利き」や「圧力」を記録した内部文書のことだ。それも私たちの関心は、議員による口利きや圧力を記録した文書が、内部文書として一定範囲で共用されるような形態でどれほど残っているのだろうか、という点だった。実際、外の人間にはどの程度このような文書が作成されているか、作成されているとするとどのような利用実態にあるのかはよくわからない。しかし、この事件の際に明らかされたような文書が日常的に作成されているのであれば、これは大変重要な行政文書であり、また、政策決定や意思決定のアカウンタビリティという観点からは本来は作られていなければならない文書ということもできる。そして、もし、特定の人についてのみ作成されていたとすれば、それはそれで問題であるはずなのだ。

 ところが、私たち、というより私個人はいろいろと取り組む手がかりがあったにもかかわらず、問題像を少し大きな視点でくくって良い問題提起の方法を考える余裕がなく、やり過ごしてしまい、世間ではあの事件の中でその辺はあまり関心がもたれることなく、事件の登場人物やリークされてくる情報などの面白さに踊らされて事件そのものが消費されていった感がある。

 そして、今回も国会議員による「口利き」を記録した内部文書の存在が発覚。こういう情報の存在が明らかになることは重要だが、登場人物といい、タイミングといい、何だか既視感。それに「口利き」がどう記録・文書化されているのかは未だによくわからない。今回も「たまたま」なのか、それとも何らかの意図が働いているのか、あるいは日常的に作成されているのか。これって、本当は本質的に非常に重要な問題。

 いわゆる公職者等からの「口利き」の文書化は自治体で進み、情報公開請求により公開されているところ、一定範囲は公表しているところがあり、口利きの文書化についてはルール化がされつつある。ルール化しても記録されない「口利き」もあるだろうが、それでも不当な圧力に対してはそれを排除するような取組みが進めらている。手法は別にして、そろそろこういうルール化が国でも必要ではないかとも思うし、さてどうしたものかとも思う。
by clearinghouse | 2007-01-04 23:55