4月23日付けで財務省に対する私が行なっていた異議申立てについて、審査会からの答申が出された。結論は、申立てが認められず、私の負け。答申の内容等については別の機会に紹介しようと思うが、今回の申立てで初めて「口頭意見陳述の不承認について(通知)」なるものを受け取った。ちょうど、私が通知を受け取る10日ほど前に、「不承認通知が来たけど、これってあり!?」と知人から朝8時の通勤途中に電話があり、「法律の規定は不承認とできる規定になっているんだよね」と説明したばかりだったが、そのときは、自分も同じものを受け取るとは思わなかった。

 情報公開・個人情報保護審査会設置法第10条第1項は、「審査会は、不服申立人等から申立てがあったときは、当該不服申立人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会がその必要がないと認めるときは、この限りではない」と定めているので、原則機会を与えるが、例外も認める内容になっている。「詳解情報公開法」(総務省行政管理局編)で示されている解釈によれば、認めない場合として不服申立人等の意見を全面的に認めるときや、同一の行政文書の開示・不開示の先例が確立している場合などが例示としてあげられている。知人のケースは、同種の行政文書に関する答申が過去に出されているので、不承認になったと思われる。

 そこで私のケースを見ると、例示には当てはまらない。通知に示されていた理由は、「本件については、不服申立人からの異議申立書及び意見書により不服申立ての趣旨、内容が明確にされており、事件の迅速な解決の観点から、情報公開・個人情報保護審査会設置法第10条第1項ただし書の規定により、不服申立てに係る対象行政文書の開示・不開示の審査に当たって、改めて不服申立人の意見を聴取する必要はないと認められるため」とある。不承認やその理由の当否はともかくとして、今回、カチンときたのは不承認通知の時期だ。

 答申は4月23日付で出されているが、不承認通知は4月19日付でそれぞれ出されている。クリアリングハウス事務所の住所を連絡先としているため、不在などで配達証明で送られてくる書面の送達が2通とも4月25日となり、私が内容を確認したのは4月26日のこと。不在だったことなどを差し引いても、答申と不承認通知の間には4日間しかない。私は、審査会に提出した意見書で、さらに意見を述べたい旨の意思表示を明確にしていたが、先の理由で不承認となったばかりか、答申が出る前に書面ですら意見を述べる機会を奪われた形になった。口頭での意見陳述を希望する場合は、申立人としては何らか述べたい意見があるということ。ということは、口頭陳述は不承認としても、追加意見書の提出などの代替的な手段での意見表明は認められるべきであると思うが、私に送られてきた不承認通知からは、審査会の運営がまったくそうしたことを考慮していないと理解せざるを得ない。

 別に、今回の件でどうこうしようとは思わないが、審査会(担当は第4部会)の対応としてきわめて不適切だし、スタンスとしては問題があるので、とりあえず審査会事務局に電話。こうした不承認についての判断権は審査会にあるので、事務局の職員にあーだこーだと言ってもはじまらないのはわかっているけど、いくつか確認しておきたいこともあったし、カチンときていたので何だかいろいろ話した。電話で応対した事務局職員には運が悪かったと思っていただくとして、審査会の運営としてきわめて不適切なので、対応を求める申入書を送ることとして、電話を切った。

 そして、作成したのが、以下の申入書。まだ審査会事務局には到着していない。これがどのように処理されるのかはよくわからないが、回答を求めているので少し気長に待つしかない。過去にも小さなものでも運用について改善の申入れは各方面に行ってきているが、比較的申し入れた内容から運用が改善し、継続的にその状況が続いているものから、回答がないものもある。一年以上音沙汰がないものもあるので、連絡をしなければという件もある。この辺は、ひたすら地道にやるしかないよなあと思いつつ、ちょっとむなしくもある。
 
 口頭意見陳述の不承認手続に関する申入れ

 それにしても、今回の不承認の理由は、ちょっとこれからの意見書の書き方を変えようかと思わされた。審査会の委員という答申を出す側の立場を経験して以来、特に意見書は手持の情報から答申を起案する時と同じように思考をめぐらせ、答申を書くとするとこの辺が論点で、どういう主張が成立するか、などど考えて書く癖がすっかりついてしまっている。意見書で完結しているつもりはなく、特に資料等をつけて別に口頭で説明したいこともあるのだが、それなりにきっちり書いてしまうと陳述できない確率が高まるということなのかなあとも思う。口頭意見陳述をしたい理由をもっとはっきり書けば良いのか、意見書で一部については頭出しだけして、詳細は陳述したいとでもすると良いのかなんて考えてしまうが、どうしたものでしょうか。
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by clearinghouse | 2007-04-30 23:45

 先週金曜日、ひっそりと統計法の全面改正案が全会一致の賛成で衆議院総務委員会を通過した。改正法案といっても、現行の統計法とはまったくの別物で、共通する条文を探すのが難しいほど。そのため、現行法と改正案の新旧対照表も法律そもののでは作られていない。

現行の統計法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO018.html

統計法改正案
 http://www.soumu.go.jp/menu_04/pdf/166_070213_5_03.pdf

 基本的な方向としては、これまでかなりざっくりとした法律だった統計法の諸規定について、詳細に規定したのが改正法案。また、これまでの指定統計と承認統計などに分けられていたものを、基幹統計と一般統計にわけ、これまでは各省庁で重複等もありながら実施されていた統計について、計画的に必要な統計を整備しようという内容になっている。また、調査票の二次利用についても、総務省令で定めるものにするなど、基準が示されている。さらに、民間の統計情報の利用についても、調査票を匿名化して利用できるように規定を整備している。

 ざっと見たところでは、秘密の漏えい等などについても罰則が強化され、また、これまであいまいだった調査票の扱いや目的外への利用についても現行法より明確になっている点は、制度として良くなっている。しかし、民間が調査票を利用する際の匿名性がどのようなものなのか、調査票とは別に作成される、例えば国勢調査でいう世帯名簿のようなものの扱いがどうなるのか、さらには明確に行政情報の利用を統計調査で行なうことを規定しており、どのような形、どのような範囲で利用することとなるのか、不透明なところもある。また、国勢調査に対する問題として調査項目が大きいが、そうしたものについての議論は別にして、申告義務の「強化」が行なわれているため、実際の調査に当たっての影響も懸念される。これら疑問に思う点については、一部、国会でも質問をしてもらったが、おそらく懸念はそのまま残るだろう。

 「国勢調査」が超季節ものと言われ、国勢調査実施の時期は非常に高い関心もあり、統計制度に関する問題意識も高まるが、終わってしまえば過去の話。しかし、次回の国勢調査は、統計法の改正、業務の民間開放、統計情報の二次利用、民間提供など、これまでとは異なる中での調査となる。季節物とはいえ、その間のつなぎの時期に制度や仕組みは変わっていく。何とかしなければというよりも、状況をフォローするだけで精一杯なところが、つらいところ。
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by clearinghouse | 2007-04-17 02:02

ごあいさつ

 私事になりますが、すでにこのブログでも何回か触れている通り、3月31日をもって、わたくし三木は情報公開クリアリングハウス室長を辞し、また有給スタッフとしても退職いたしました。現在は、かねてから兼務していた「理事」が、私のクリアリングハウスでの肩書きになります。これに伴い、このブログの扱いがまだ確定していないため、暫定的にタイトルを「情報公開クリアリングハウス事務局日誌」から「情報公開クリアリングハウス理事日誌」へ変更し、またプロフィールも一部変更いたしました。

 さて、きわめて個人的なことなのでこのブログで書くことではないとは思いますが、いろいろな方になぜ事務局を去るのかや、辞めてどうするのかをとにかく聞かれるので、ここに少しだけ書いておこうと思います(そのうち、私事なので消すかもしれません)。私が事務局を去ることは、一年以上前から決まっていた規定路線で、だいぶ前から決まっていたことであること、理事として留まっていることからもおわかりの通り、大変円満な退職です。現在は、4月に新設された獨協大学地域と子どもリーガルサービスセンターの事務局職員になっております。ここは、法科大学院に付置された子どもの権利救済機関で、法律事務所が併設され、地域に根ざした法律家の養成を進めるとともに、法科大学院の地域貢献を目的としている、日本では他に例のない、まったく新しい組織です。今月から、ここで事務屋な日常を送っております。

 情報公開制度や個人情報保護制度に仕事として関わること11年、それ以前から数えれば15年、この世界に頭までどっぷりと浸かってきましたが、腰くらいまで浸かった日常になります。すでに、情報公開や個人情報保護がライフワークの域に入っているので、かかわりがなくなることは私自身にとってもありえないことであります。ただ、かかわり方が変わることになります。とは言っても、1月から週の半分は大学で勤務しており、この3ヶ月は並行して多くのことをしなければならない期間となり、また、2006年度は外部での仕事が非常の多かったこともあって、残務が山のようにあり、当面はクリアリングハウスの仕事も相当程度、こなさなければならならず、相変わらず事務所には大学での勤務後に来ているのと、しばらくは土曜日はクリアリングハウスで仕事をすることになります。

 何で、子どもの問題なのか、ということはこの数ヶ月、何十回と聞かれてきたことですが、自分の中では情報公開や個人情報保護にかかわることとあまり基本的な視点は変わらないものと映っています。情報公開制度や個人情報保護制度に対しては、常に普遍的な人々の権利利益を保障するものとして、そして、充実した救済制度を設けることで権利保障を確かなものにし、皆が基本的な権利利益を享受できるものとしてとらえてきました。そのために、制度を作る、改善する、使う人を支援する、権利侵害に対しては争うことを支援するなどしてきました。要は、個人の本来の権利を社会的に保障することを考え、特に情報公開や個人情報保護にかかわるチャンスがあり、焦点をあててきたというところです。子どもの権利救済も、基本的にはこれまでのいわば社会観、世界観の延長線上にあり、焦点の当たっているところが違うということと、より厳しい状況が待っているということが違う点だと考えています。縁があって声をかけていただき、自分の社会観、世界観の延長にあること、そして少し違う分野で仕事をして、社会観、世界観を広げたかったこともあって、この選択をしました。

 どういう社会で生きたいかを考えるとき、自分の中では普遍的な価値があるように思います。それをどう表現していくかで、自分の中で焦点を当てるものが違ってくることもあるし、自分の関わるチャンスのあるテーマの中で選択していくことになるのだろうと思います。とはいっても、引き続き、情報公開クリアリングハウスでもいくつかの事業は担当し、また、個人的にもまだまだ取り組みたいテーマがたくさんあるので、できる範囲でできることを行なっていきたいと考えております。在職中、多くの方に支えられ、ご協力いただいたことを感謝するとともに、引き続き、お付き合いくださいますようお願い申し上げます。
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by clearinghouse | 2007-04-04 00:14