昨日帰国をして、ちょっと一息つきました。行きも帰りもLAで乗り継ぎだったのですが、短時間の乗継なのに、なぜか入国しなければならないということで、しっかり両手の人差し指の指紋と顔写真を撮られてみました。とても不快、という一言に尽きますね。日本も、同じようなことを入国にあたって外国人にしているんだけど…

 さて、日本にいなかった間に、鳥取県の情報公開条例改正については、進展があったようです。11月14日に開催された教育委員会で、公開情報の使用制限をする改正から、適正利用に関する責務規定に同趣旨の規定を入れる方向に、条例改正の内容を変更するというものです。すでに、教育員会で配布された資料が鳥取県のWEB上で公開されています。

 http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/306347/gian1.pdf

 資料によると、修正案は以下のようなものが考えられているようです。
【開示を受けた者の責務】
○全国学力調査に関する情報のうち学校又は学級ごとの結果の開示を受けた者は、当該情報の目的及び第4条(適正使用)の規定の趣旨に基づき、次の責務有するものとする。
・特定の学校や学級を識別できる方法で公表し、又は不特定多数の者に提供しないなど、児童等の心情に配慮すること
・学校の序列化や過度の競争が生じないよう配慮すること
 基本的には、何も変わっていません。むしろ、公開を受けた請求者に対して従前の案は条件づけをして開示を行うというものであったのを、公開を受けた側の請求者に責任を委ねて判断をさせるということにしているので、直接的な制約から恫喝的な制約に変わっているきらいがあり、悪質さが増している感さえします。本質をゆがめていることには何ら変わっておらず、学力テストの結果の公開を実施する県の責任を放棄し、請求者を通じてその情報が広く公表されることの責任は請求者に負わせるのは、はっきり言って「汚い」と思わずにはいられません。

 情報公開条例に基づく公開請求に対し、学力テストの市町村別、学校別、学級別結果の公開を行うということは、県としては条例に定める不開示事由に該当しないと判断しているのであって、それが広く公にされても支障がない=不開示事由に該当しないと判断しているにほかなりません。しかし、県というより県教委は広く公にされると支障があると判断しているので、公開情報の公表・提供による影響への配慮を求める、つまりは公表することによる支障はあるとしているので、まったく理屈に合わないことをしようとしているしか言いようがありません。以前にも書きましたが、八方美人としか言いようがない状況です。

 そもそも、個人的にが学力テストの情報公開をめぐる昨今の状況は、文部科学省による政策的な失敗によるものといってよいと考えています。文部科学省は、学力テストの実施にあたって実施要領で、結果については市町村名や学校名の公表を禁止し、情報公開請求があっても不開示として取り扱ってほしいと要請をしていて、それは繰り返し行われています。そして、結果の公開等の取り扱いについては、結果を都道府県、市町村がそれぞれ公開することまでは禁止をしていないので、それぞれの判断に委ねています。

 学力テストの結果については、市町村別、学校別等の結果の公開に消極的な市町村教育委員会が多く、その取扱いは学力テストの実施の是非そのものの議論と切り離せないほどだったと思われます。学力テストの実施を市町村に強制できない文科省としては、市町村別結果等を非公開とするなどの配慮をして、協力してもらいやすい条件を作ってきたともいえると思います。しかし、情報公開条例を制定している都道府県や市町村としては、文科省の要請や公表を禁止した実施要領は法的拘束力のある指示でも何でもなく、それをもって結果の非公開はできないという当然問題に今になっていきあたっています。情報公開制度がある以上は、仮に教育委員会が非公開としても、不服申し立て、訴訟でそれが争われれば、文科省の力は何ら及ばないことです。

 要は、文科省は空手形を切り、情報公開条例の実施機関である都道府県や市町村が、条例の規定との関係で今になってから約束であったことに気づいたということなのでしょう。正確にいえば、この懸念は都道府県を中心に以前から存在し、報道等によると、一部の都道府県は当初、市町村別や学校別の結果などを受け取らない方法を模索していたこともありました。鳥取県もその一つでした。結果的に、それはできないということになり、都道府県が市町村別や学校別の結果等を受け取り保有をしています。逃げ場はなく、情報公開条例の規定に基づき、個別に判断をしていくしかないのです。仮に公開することで支障が生じると判断するのであれば、それをとことん貫いて司法判断にゆだねるしか道はありません。

 しかし、こうした状況を見ていて考えずにはいられないのが、結局学力テストがテストを受ける子どもたちや保護者、地域という学校の主要なプレーヤーの存在を考えずに実施されていることが、今般の結果の取り扱いをめぐる様々な問題や議論のもとにあるのではないかということです。市町村別や学校別等の結果を非公開とすることは、学校にかかわる主要なプレーヤーである各教育委員会や学校の管理職・教員にとっては特にそれでも構わないと思うかもしれません。しかし、そのに通っている子どもやその保護者、地域という他の主要プレーヤーは、学力テストの結果については蚊帳の外です。学力テストの結果を知りたいという情報に対するニーズがさまざまな形で出てきてもおかしくありません。

 学力テストの結果について、どのように子どもや保護者、地域などを含めて生かしていくのかという視点が決定的に欠けていたことが、今に至るまでの様々な問題・議論の根にあるように思います。つまり、実施を主導した文科省の政策的な判断の誤りがあるのだと思います。そろそろ、結果を公開を念頭において、どのように結果を踏まえて子ども、保護者、地域などと今後について議論をし、過去について反省をするのかという情報の使い方に議論を移すべき時ではないのでしょうか。

 情報は、公開されていないものが世に出れば、さまざまな議論のもとになることは当たり前のことです。こうした議論が行われることが、民主的な社会には必要だからこそ、情報の公開がその基本的な権利として市民に保障される必要があるというのが、情報公開制度をめぐる議論のルーツではなかったのかと思うわけです。正直、学力テストの公開という個別の問題で、情報公開条例がとばっちりを受けてその原則をゆがめるような改正が検討されているなんて、迷惑この上ない話です。というわけで、もう少しこの問題では頑張らないといけないと思うところです。
 
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by clearinghouse | 2008-11-19 00:00

 
 アップするのを忘れていた。10月30日の鳥取県教育委員会の委員協議会での配布資料↓。入手しているので、必要な方はどうぞ。

 委員協議会資料(平成20年10月30日)
 
 鳥取県条例改正に関する過去記事は以下のとおり。

 鳥取県情報公開条例改正案 パブリックコメント開始
 鳥取県 学力テストの公開をめぐり、公開情報の使用制限をする情報公開条例改正検討

 明日からメキシコへ行ってきます。でも、プレゼン用資料がまだできていないというおそろしい事態に陥っております・・・。skype経由でいろいろ飛んできています。
 
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by clearinghouse | 2008-11-10 22:37

 
 公開情報の使用制限を含む鳥取県の情報公開条例改正案のパブリックコメントが始まった。学力テストの結果公開をめぐり、公開をする代わりに一定の場合には使用を制限する条件をつけるというもの。締切りは11月20日。

 私は、学力テストの公開の問題は情報公開条例の制度の問題ではないと思う。条例の解釈運用に関する判断の問題だ。学校別データなどを公開することに支障があると考えるのであれば、それでとことん判断として貫けばよいこと。それで仮に公開すべきという司法判断が出れば、それはその判断が誤りだったというだけのことだ。それを八方美人になるから、こういう発想になる。やっていいことと悪いことの区別くらい、つけて欲しい。

http://www.pref.tottori.jp/kyouiku/koukou/pubcom/pub_com.html

 鳥取県教育委員会がパブコメを行っている。改正条例案を提案するのは、知事になる。実施機関である県教委の意思は最大限尊重されるべきものだと思う。しかし、条例案を提案することになる知事ではなく、県教委が行っていることの意味を考えずにはいられない。

 県教委によるパブコメは、下記のような私の中では異例ともいえる形で行われている。要は、条例改正案について意見を聞きたいという以上に、学力テストの結果の公開範囲についての是非の意見聞きたいということではないか。また、意見の聞き方として、同じではないが似たような課題があるであろう、鳥取県の行っている県基礎学力調査の公開等についての言及がないままに意見を聞いている。県教委の会議資料では、「県基礎学力調査の公表とのバランス」を課題として掲げていたにもかかわらず。
パブリックコメント 全国学力・学習状況調査係る情報公開条例の改正について

問1 検討中の素案では、市町村ごとの調査結果及び学校ごとの調査結果(1学校1学級で児童生徒数が10人以下の場合を除く)を開示することとしていますが、調査結果を開示する場合、どのレベルまで開示するのが妥当だと思いますか。(複数回答可)
 1. 市町村ごとの調査結果
 2. 学校ごとの調査結果(1学校1学級で児童・生徒数が10人以下の場合を除く)
 3. その他(                                      )

問2  検討中の素案では、児童生徒の健全な育成のための教育的配慮の観点から、開示した情報の使用に制限を付けることとしています。その場合、「特定の学校または学級を識別できる方法による公表、提供をしてはならない」という制限を付けることも考えられますが、調査結果を開示する場合、公文書の使用にこうした制限を付ける事に賛成ですか反対ですか。賛成・反対どちらにも当てはまらない場合は「3 その他」を選んでご意見を記入してください。
 1. 賛成
 2. 反対
 3. その他(                               )

問3  問2で 「1 賛成」 と回答された方は、その理由をお答えください。(複数回答可)
 1. 児童生徒の健全な育成のため、教育的配慮が必要
 2. 序列化や過度な競争が生じないようにすべき
 3. その他(                                      )
 4. 理由無し

問4 問2で 「2 反対」 と回答された方は、その理由をお答えください。(複数回答可)
 1. 県情報公開条例の目的(県民の知る権利の尊重)に反する
 2. 憲法に定められた表現の自由(による知る権利)に反する
 3. その他(                              )
 4. 理由無し

問5 検討中の素案に対して、その他のご意見があれば、自由に記述してください
 これについて、鳥取県知事は以下のようなコメントをしている。

情報公開を問う:学力テスト成績非開示 データ使用制限、知事「微妙な球だ」 /鳥取(毎日新聞 08.11.7)
http://mainichi.jp/area/tottori/archive/news/2008/11/07/20081107ddlk31100641000c.html
 平井知事は県教委が開示の方向で議論を進めていることについて「全国でも最先端のことをやっている」と強調。使用制限について「事前に発表する内容を消すわけではない」として憲法が禁止する「検閲」にはあたらないとした。また、県教委が罰則を設けない方針を固めていることを挙げ、「憲法の論議には至らないのでは」と述べた。だが、「違憲ではない」と明言することは避けた。
 また、県教委が「教育的配慮が必要と認められるとき」に使用制限を付けるとした点について、「あいまいかも。もう少し言葉が必要かと思う」と述べ、「教育的配慮が例えば市町村教委に対する配慮であればおかしいかも」とクギを刺した。

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by clearinghouse | 2008-11-08 19:45

 
 すでに記憶もすっかり薄れていたけど、そういえば4月に衆議院の情報公開取扱い事務規程が施行されたおり、どんなものを請求すると面白いかなあ~という話を、何人かとしていました。今日、夕刊に掲載になったという連絡をもらうまで、すっかり忘れていた(..;)

 知りたい!:画廊「国会」ハウマッチ? 所蔵450点、5000万円級も(毎日新聞 08.11.6)
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081106dde001010078000c.html

 わはは。やっぱりたくさん持っていた。いや、持っていることは国会に傍聴などに行っているのでよくわかっているんだけど、ウワサで昔聴いたことがあるのは、開かずの間のようなお部屋に大量の絵が眠っているらしいという話。ほんとかどうかは知りませんが、記事によると
ほとんどが議事堂内の議長室や議員控室にあるが、一部は正副議長公邸などにも飾られている。
ということなので、開かずの間はないのでしょう。気になるのは、
ただ関係者によると、購入は昭和50年代から平成の初めごろに集中しており、公費の使い方が厳しく論議されるようになったここ十数年は寄贈のみという。
とあるところ。要は、厳しくなる前は結構無茶していたんじゃないの、と思わずにはいられない。ただ、絵画の購入金額は非公開となっているので、いくらで買ったかは不明。記事のタイトルの「5000万円」というのは、鑑定してもらうと大体これくらい、というもの。規程では、非公開などの判断に不服がある場合は苦情が申したてられ、苦情審査会がそれを審査することになっているので、申し出も行われているけど、
審査会は「市場価格より安価と思われるので、購入額を公にすると、その画家の評価が下がる」などの理由で衆院の判断を追認した。
ということだ。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_annai.nsf/html/statics/osirase/toushin.pdf/$File/toushin.pdf

 これが苦情審査会の記念すべき諮問第1号で、唯一の答申のようです。審査会のメンバーを見ると、国の審査会委員経験者で固めているよう。答申が出たのは7月で、最高裁判事になった藤井龍子さんのお名前もある。絵画の購入金額といえば、過去に自治体で不服申立てや裁判があったような気がするが、健忘症がはなはだしいのですぐに思い出せず。気になるので、後で調べてみよう。
 
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by clearinghouse | 2008-11-07 01:43

 
 10月16日開催の最後の会議から、座長一任で最終調整がされていた公文書管理の在り方等に関する有識者会議の最終報告書「『時を貫く記録としての公文書管理の在り方』~今、国家事業として取り組む~」が、11月4日付で発表された。

http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/koubun/index.html

 最終回の有識者会議の傍聴はできなかったけど、中間報告時の会議は傍聴。そのためか、内閣官房から、最終報告発表についてメールでお知らせがきた。とっても助かる!

 ざっと目を通しているけど、今は時間がないというか、おやすみなさいの時間なので、内容についてはまたあとで。
 
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by clearinghouse | 2008-11-05 01:26

 
 鳥取県では、学力テストの市町村別・学校別のデータの情報公開請求に対し、県教委は不開示→請求者から不服申立て→審査会が公開を求める答申→しかし県教委は答申に従わず不開示維持→情報公開訴訟提起、となりかなり問題になっている。10月には県議会が開示を求める決議を行い、不開示を維持したい県教委と一部の市町村教委VS情報公開請求者、県議会という様相を呈してきた。

 この一連の流れから、県教委は情報公開圧力の高まりに抗することは困難と思ったのか、学校別、市町村別のデータを公開するための条件整備として、公開情報の使用制限をする情報公開条例の改正の検討に着手。10月22日ごろから報道されていたので気になっていたが、書けない原稿に唸っているうちに時が過ぎ、10月30日の県教委で条例改正案についておおむね了承を得たとの報道に至ってしまう。いささか出遅れてしまい、おまけに31日は子どもの施策全国自治体シンポジウムの分科会で何かを報告するようにとの命を受けていたりと、なんとなく動きがとれずに連休に突入。11月4日になってようやく詳細の内容の把握。タイミングが悪いと、こうも出遅れるという、見本のような顛末。

 そうとはいっても、本質的な問題をいろいろはらんでいるので看過できない。特に、使用制限付きの公開って、いったいどういうこと!ということで、クリアリングハウスでも意見書を提出する方向で調整をしつつある。

 10月30日の県教委の「委員協議会資料」を入手したので、検討されている条例改正の内容を確認。改正が検討されているのは、①開示義務の規定での不開示事由の改正、②制限付き開示に関する規定、③罰則、④適用範囲、の4点。

 ①の開示義務の規定は、
鳥取県情報公開条例9条2項7号
小学校の児童又は中学校の生徒の全県的な学力の実態を把握するため実施される試験の学級ごとの集計結果であって、児童又は生徒の数が10人以下の学級に係るもの
 という規定を 
小学校の児童又は中学校の生徒の全国的又は全県的な学力の実態を把握するため実施される試験の学級ごとの集計結果であって、児童又は生徒の数が10人以下の学級に係るもの
 に改正するというもの。今回の学力テストの市町村別・学校別データの公開については、県基礎学力調査ではすでに同様のデータを公開していて、その公開のために平成15年6月に情報公開条例を改正し、不開示事由の追加を行っていた。この改正、まったくもって見落としていた。

 条例の解釈・運用指針をみると、9条2項7号(基礎学力調査結果に関する情報)の趣旨は、
 本号は、小学校の児童又は中学校の生徒の心情に対する配慮並びに教育行政の適正な遂行に対する支障の防止の観点から、全県的な学力の実態を把握するため実施される試験の学級ごとの集計結果で、児童又は生徒の数が10人以下の学級に係るものにつき非開示とすることを定めたものである。
 5号及び6号の解釈運用でも可能であるとの考え方もあるが、情報公開制度の明確化や実施機関の裁量を限定するために、平成15年6月の改正により新たに非開示条項として規定したものである。
 となっている。

 ②の使用制限付き開示の規定は新設する規定で、10条の2を設け、
・実施機関は、開示請求にかかる公文書に全国学力調査の調査結果に関する情報が含まれる場合であって、児童等の健全な育成のため意教育的配慮が必要と認めるときは、開示請求者に対し、当該情報の使用に関し、特定の学校又は学級を識別できる方法による公表、提供をしてはならない、などの制限を付した上で開示決定することができる。
・開示請求者は、上記制限に反して当該情報を使用してはならない。
 とするという。

 ③の罰則は、過料か罰則を設けないかが教育委員会では検討されていたが、報道によると罰則は設けないことにしたという。④の適用範囲は、2008年度までの学力テストは従来通り不開示、2009年度の学力テストから改正条例を適用して開示することにするとなっている。

 県基礎学力調査に関する情報公開条例改正から、「教育的配慮」による特定情報に対する不開示事由が条例上、明文化されていたところに、今回の学力テストの関連データの取り扱いをめぐり、不開示事由の改正を行うとともに、次は公開情報の使用制限により、情報公開と教育的配慮のバランスをとるというのが、県教委の条例改正の趣旨のよう。10月21日に行われた「全国学力・学習状況調査の取り扱いに係る市町村(学校組合)教育行政連絡協議会」の概要によると、使用制限規定を設けることについて、以下のようなやり取りがある。
○市町村教育長:情報公開条例は、その趣旨から開示請求者に対して趣旨に反するため得た情報について制限を加えることは無理だと解釈しているが、法的に可能なのか。
●事務局:そこを知事部局と検討している。恣意的に制限は出来ないので、配慮を求める、情報開示を受けた者だけに限定して、情報の意味合いを考慮し、子供たちへの心情への配慮を条件とする程度でどうか。請求できる人物像、目的、利害関係等での制限は不可能。必要最小限のぎりぎりのところでやる方向。
 事務局の説明は非常にある意味自覚的。ただ、それでも公開情報の使用制限を規定し、特定の学校又は学級を識別できる方法による公表、提供をすることを禁止することによって情報公開を行うことは、情報公開条例の原則に照らせばありえないと思う。

 それは、情報公開条例は請求権者に等しく公開請求をする権利を保障したものであり、手続的には請求者に対して情報を公開することになるものの、公開される情報はだれが請求しても同じように公開される情報だからだ。制度上は、請求権者にはだれでも同じ情報を公開するとしつつも、その情報を公開を受けた人間が公表してはいけないというのは、どう考えても論理破綻している。何より、情報公開条例は目的規定にもあるように、情報の公開を通じて県民参加による開かれた公正な県政の推進をするためには、公開された情報が請求者一人の手元にとどまることを想定しているのではなく、公開された情報が利用(分析、公表、提供等)されることが当然に予定されているものだ。

 もう一つは、今回は使用制限に反した場合の罰則規定の導入は見送られているが、使用制限には従いませんという意思表示をあらかじめした請求者に対しては、どうするのかという問題がある。請求目的は問われないし、それによって公開の範囲が変わることはあり得ないが、使用制限の遵守を拒んだ場合は、利用目的が不当ということに条例上はなるのだろうか。そうすると、開示決定等の処分はどのように行われることになるのか。また、使用制限そのものが行政処分に該当することになるのだろうか。行政の処分行為がどのように及ぶことになるのか、いささか不透明過ぎる。

 学力テスト限定の規定が検討されているが、それにしてもやろうとしていることは、ぎりぎりの範囲でなんとか、というようなものではないと思う。そもそも、学力テストのデータの公開は、情報公開制度の問題ではなく、政策の問題ではないかと考えている。確かに、情報公開制度による公開請求があれば、不開示事由に該当しない限りは情報は公開されることになるけど、問われるのは県教委なり県などが作成・取得した情報をもとに政策的に何をしているのかということではないか。学力テストの是非はともかく、なぜ学力テストに参加をしたのか、という意味を十分に考えるべきではないかと思う。ところが、情報公開条例を改正して公開、という話となると、はっきりいって、超迷惑だ。そもそも最近、特定の情報の公開や特定の請求者絡みで情報公開条例の改正という話が多すぎる(`_´)

 一応、11月上旬から中旬でパブリックコメント、11月14日の定例教育委員会で方針の正式決定、知事に改正依頼、11月定例県議会に改正条例案提出の予定だという。知事部局は県教委と調整しているようなので、このままだとおそらく改正条例案を提出するだろう。そういえば、この知事には総務部長時代と副知事時代に会っているような気が。それでもって、学力テストデータの開示を求める決議をした県議会はどうする?原則なき議論だけは、避けてほしい。
 
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by clearinghouse | 2008-11-05 00:50

 
 行政不服審査法の全面改正法案が国会に提出され、6月に衆議院総務委員会で閉会中審査の議決がされているものの、その後、法案は審議されずにここに至っている。現在開会中の臨時国会で総務委員会は2回しか開かれておらず、議案として審議されていないようだ。このまま総選挙となると、いったん廃案となるが、いろいろ気になることもあって、私の周囲でも話題になってはいる。

 今回の法改正は全面改正で、審査請求と異議申立てと2種類あった不服申し立てが審査請求に一元化され、再審査請求の廃止、審理員による庁内での審査手続の導入、行政不服審査会の設置と諮問手続の導入、標準審理期間の設置など、行政不服審査の手続の運用や制度設計で問題となっていた点を踏まえた改正で、おおむね歓迎される内容だ。

 情報公開制度を利用していると、非公開決定等に対する不服申立ては通常の争訟手段であるが、情報公開法関係では、整備法で改正される情報公開法等で審理員にかかる手続などは適用除外になっており、これまでと審査会への諮問前の手続については基本的には変化はないようだ。改正法案では、60条で行政不服審査会の設置等が定められているが、これは情報公開・個人情報保護審査会から行政不服審査会へ改組によるので、「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」で、情報公開・個人情報保護審査会設置法は廃止とされている。廃止に伴い、設置法に定められていた審査会の権限等については、整備法で情報公開法や行政機関個人情報保護法などを改正して規定されることいなっている。設置法は、情報公開審査会が行政機関個人情報保護法などの制定でそれにかかる案件についても諮問を受けるため、従来の情報公開法等で審査会を規定していたものを、独立した設置法としたことに始まるの。改正案で、設置については行政不服審査法に、権限については情報公開法等で規定することになったので、一部、情報公開法制定当時に元に戻ったというところだ。また、現行の情報公開・個人情報保護審査会では諮問対象にならなかった不作為の申し立てについては、今回の整備法での改正に合わせ、情報公開法等で諮問の対象になっており、この辺は改正法案における不作為案件の取り扱いに準じた扱いになっている。

 ただ、情報公開・個人情報保護審査会からの移行とはいっても、内閣府に設置されていたところから、行政不服審査会は改正法案で総務省に設置するとされており、所管庁が変わることでどのような影響が出てくるのか読めない。全省庁にかかる案件を審査会は扱うので、いささか不安がないわけではない。また、行政不服全般について扱うことになるため、審査会への諮問がどの範囲になるのか整備法による改正をよく整理しないとわからないが、整備法による法改正が大量すぎでよくわからない。

 2006年度の行政不服審査法の施行状況については、最近総務省からの発表があったところで、それによると、不服申し立ての件数は、異議申立てが6315件、審査請求は10795件、再審査請求が1664件で、おおよその分類は以下のとおりとなっていた。

 異議申立て  国税通則法…4718件、国税徴収法…446件、情報公開法…441件
          その他…710件

 審査請求  社会保険関係…4298件、国税通則法…2810件
         労働者災害補償保険法…1873件、その他…1814件

 再審査請求  社会保険関係…882件、労働者災害補償保険法…510件
          生活保護法…141件、その他…131件

 申立件数が多いのは、社会保険関係、国税関係、労災関係だ。これらの不服申し立てには、第三者機関が裁決機関として設置されているもの、諮問機関として設置されているものがあり、裁決機関は、再審査請求に対する裁決機関であるものもあるので、改正法案で再審査請求がなくなったことを受けて、所要の措置が整備法で講じられていると思われる。件数が多い分野は、簡易迅速な救済制度とするためにも、基本的にはそれを専門的に扱う第三者機関があるべきだと思うし、改正法案はその方針なので、実際に審査会諮問マターになるのは、現在の申し立て件数の20%弱くらいなのかなあ。ただ、情報公開・個人情報保護審査会は行政不服審査会に改組されるので、専門的な審理機関から不服申し立て一般を扱うジェネラルな第三者機関になる。この位置づけの変更と、総務省の所管になることが、個人的には不安の種。これまでの第三者機関としての蓄積を考えれば、昨今の情報公開・個人情報保護審査会の全般的な答申の内容に大いに不満があるところだが、だからこそ、独立性、第三者性と専門性をもった審査を行う制度整備が肝要のように思う。そうしたところ、行政不服審査会に改組されても、部会制で運営されるので、情報公開・個人情報保護法関係を専門的に扱う部会の設置が必要かと思うところだ。

 こうした種種の不安があったので、改正行政不服審査法案の省庁間協議とその関係関係資料の情報公開請求をして公開を受けているが、なんとも中途半端に文書が特定されて公開された。ざっと目を通して、今回公開された協議以外に、あとどれくらい、関係省庁との間で協議等が行われているのか、おおよそわかったので、追加で公開請求をしないと全容がわからない。が、今回公開されたものも情報価値がないわけではないので、この内容については、後で紹介できればしたいと思う。(たぶん続く…)
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by clearinghouse | 2008-11-01 21:33