ローレンス・レペタさんから、オバマ大統領が就任してすぐに出した、情報自由法に関するメモランダムが送られてきた。ざっと目を通して、印象的だったので、とりあえず試訳をしてみた。”A democracy requires accountability, and accountability requires transparency”という書き出しが印象的。情報は「推定公開」とせよというメッセージ、問題は隠すな、公衆に対する奉仕者たることを再認識せよ、というメモランダムは、ブッシュ政権におけるアシュクロフト司法長官による情報公開の「後退」ともいえるメモランダムを一新。

 つくづく、制度の違いがあるとはいえ、開かれた政府のため情報自由法の運用に関し、大統領から明確なメッセージが出るのは、良くも悪くもアメリカのダイナミズム。政権によっては悪くもなるが、政権が代われば良くもなる。うらやましくもある。そして、オバマ大統領は何と早いこと!

 情報自由法のメモランダムとは別に、”Transparency and Open Government”というメモランダムも同じ日に出されている。こちらは、次の機会に…

 英語の原文を政府系のWEBで発見できなかったので、下記にとりあえず英文をおいておきました。

MEMORANDUM FOR THE HEADS OF EXECUTIVE DEPARTMENTS AND AGENCIES,
Subject;Freedom of Information Act


---個人の試訳です。精査していませんので引用はお控えください。原文をご参照ください---

2009年1月21日

連邦政府機関の長に対するメモランダム
テーマ 情報自由法(Freedom of Information Act)

 民主主義にはアカウンタビリティが必要であり、アカウンタビリティは透明性を必要とする。ルイス・ブランダイス判事が、「太陽の光は最善の消毒薬であると言われている」と書いたとおり、私たちの民主主義において、透明性によるアカウンタビリティを促進する情報自由法(Freedom of Information Act)は、開かれた政府を確実なものとすることを深く国民に約束する最も重要な表現手段だ。その約束の中心的な考えは、アカウンタビリティは等しく政府と市民の利益にかなうということだ。

 情報自由法は、明確な確信とともに執行されるべきである。すなわち、疑惑に直面したとしても、公開性が勝るということだ。政府は、ただ情報を秘密裏に保有すべきではない。なぜなら、誤りや失敗は明らかにされるかもしれず、また、推測ないし抽象的な不安のもとになるからだ。非公開は、政府職員が奉仕すべきであるものを犠牲にし、自らの個人的な利益を守るために決してなされるべきではない。情報自由法に基づく請求に対する決定において、行政機関は速やかに、協調の精神を持ち、自らが公衆の奉仕者であるとの認識のもとに行動すべきである。

 すべての行政機関は、情報自由法で具現化された原則に対する自らの責任を一新し、開かれた政府の新たな時代における先導役とするために、推定公開を取り入れるべきである。公開の推定は、情報自由法にかかわるすべての決定に対して適用されるべきである。

 推定公開は、行政機関が情報を公表するという積極的な手段を取るべきであることも意味している。行政機関は、市民からの特定の情報に対する請求を待つべきではない。すべての行政機関は、政府が判断し、なしたことを市民に知らせるために現代の技術を使うべきである。公開は、タイムリーであるべきなのだ。

 私は、司法長官に対し、行政機関の長に情報自由法を運用するための新しいガイドラインを発し、アカウンタビリティと透明性に対する責任があることを改めて宣言し、官報(the Federal Register)においてそのガイドラインを公示することを命じる。それにあたり、司法長官は2005年12月14日の大統領命令13392号に基づき行政機関によって作成された情報自由法の報告書を見直すべきである。私はあわせて、予算管理局長官に対し、公衆に対する情報提供を拡大し、改善するために、新しい技術の利用を含む手引きを更新し、官報に公示することを命じる。

 このメモランダムは、いかなる権利ないし利益、実定法上のないし手続き上の、法律の施行ないしアメリカ合衆国と連邦政府機関ないし団体、公務員、労働者ないしそのほかのあらゆる人に敵対するあらゆる党派・団体による衡平法を創設するものではない。

 予算管理局長官に対し、ここに、このメモランダムを官報に公示すること許可し、命令する。

 バラク・オバマ
 
by clearinghouse | 2009-01-23 01:00

 福岡高裁の検証物提示命令に対する抗告の最高裁決定が、19日には下記最高裁ホームページに掲載されておりました。

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=37198&hanreiKbn=01

 さすがに、こういう大事な決定は掲載されるよね~。訴訟手続におけるインカメラ審理について意見表明をするとかそういう話が内輪であるけど、どうするのかなあ~。決まったかどうかわからないので、身動きとれん・・・
 
by clearinghouse | 2009-01-21 22:20

 運営委員として関わっている「市民と議員の条例づくり交流会議」。以下のような講座を行うことになりました。基本的に地方議員向けで、ちょっとお高めですが、ご関心のある方はぜひご参加ください。

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 『市民参加・合意形成手法入門講座』
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〇日 時:2009年2月7日(土)13時~17時(開場12時30分)
〇会 場:中央大学駿河台記念館620号教室
      http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/access/access_surugadai_j.html
〇参加費:8千円(条例会議またはPI-Forumの会員は、会員価格6千円)
〇定 員:40名(要申込/〆切2月2日) ※定員に達し次第、〆切とさせていただきます
〇共 催:
 市民と議員の条例づくり交流会議 http://www.citizens-i.org/jourei/
 PI-forum http://www.pi-forum.org/

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by clearinghouse | 2009-01-21 22:08

 2008年5月、沖縄国際大への米軍ヘリ墜落事故に関する情報が一部不開示となったことが争われている訴訟で、福岡高裁が、原告側の申し立てた検証物提示命令申立てを認めていた。(経緯などは、以下を見てください)

 http://johokokai.exblog.jp/8895526
 http://johokokai.exblog.jp/8932320

 事案の概要を簡単に言ってしまえば、原告側が立証等を行う上で、例えば情報公開審査会で作成されている可能性のあるヴォーンインデックスの証拠として提出などを求めて万策を尽くしたけど、結局ヴォーンインデックスはないと国が主張するなどして万策がつきしまった。そこで、不開示文書についての見分時の立会いの放棄などをするので、裁判所が不開示文書を検証物として国に提示を命令して見分することを福岡高裁に申立て、それを高裁が認めていたのだけれど、国側が最高裁に抗告していた、というもの。

 その国側の抗告に対する最高裁決定が1月15日付で出され、結局検証物提示命令申立ては却下されてしまった。15日に代理人事務所に最高裁から却下決定を送付したとの連絡があったそうで、その日のうちに原告から連絡をいただいた。そうこうしているうちに、原告の手元に決定の書面が届く前に共同通信で記事が配信され、それを受けて原告の地元紙である沖縄タイムスからこちらに取材の電話があり、決定文を見ないまま共同通信の記事だけでコメントをしてみました。

 沖国大ヘリ墜落 国の情報不提示容認/最高裁 高裁決定を破棄(沖縄タイムス)

 今日、決定が原告の手元に届いたということで、FAXで全部送ってもらい、内容を確認。最高裁の決定は、事実上の裁判所によるインカメラ審理を求める申立てであり、それは民事訴訟の基本原則に反するので、名文の規定がない限り、インカメラ審理を行うことは許されない、としている。

 情報公開審査会ではインカメラ審理が行われていることとの関係では、

①平成8年の民訴法には証拠調べとしてのインカメラ審理を行いうるとの明文規定が設けられていないこと
②現行の民訴法では、文書提出義務や検証物提示義務の存否を判断するためのインカメラ手続に限って個別に規定を設けて特に認めているが、平成11年制定の情報公開法でも裁判所がインカメラ審理を行いうる旨の明文規定がなく、不開示事由該当性を判断するための証拠調べとしてのインカメラ審理をあえて採用していないものと解される

という判断を最高裁は示した。

 外交情報を含むこの件で、事実上のインカメラ審理が現行法制の中で行い得るとなれば、インカメラ審理手続に関する制度的な整備を待たずにインカメラが訴訟の中でも可能になる、と思っていたけど、結局はこうなってそれはそれで残念。特に2004年の情報公開法の見直し検討の中で、インカメラ審理が見送られた経緯を思えば、ここで訴訟実務の中で進んでくれれば・・・、と思ったもの。

 ただ、この最高裁決定は、反面から見ると、インカメラ審理について明文規定がないことが却下された理由であって、インカメラ審理そのものを否定していない。そして、決定には2名の裁判官の補足意見がある。

 一人は泉徳治裁判官で、以下のように補足意見を述べている。
 ところで、新たな立法によって情報公開訴訟にインカメラ審理を導入することは、以下に述べるように、裁判の公開原則を保障する憲法82条に違反するものではなく、訴訟制度構築に係る立法裁量の範囲に属すると考える。
 情報公開訴訟は、開示請求に係る行政文書を開示しない旨の行政機関の長の決定が違法であるか否かを判断するためのものであって、その訴訟手続の途中で当該行政文書の内容を法定で公開するということは、もともと予定されていないことである。だた、現在の情報公開訴訟においては、裁判所は、当該行政文書を見分することなく、周辺資料から当該行政文書に不開示情報が記録されているか否かを間接的に推認するほかないため、裁判所が請求を棄却した場合に、開示請求者の納得を得にくい面があることは否定できない。
 インカメラ審理は、裁判所が当該行政文書を直接見分し、自ら内容を確認して実体判断をするための手続であるから、国民の知る権利の具体化として認められた行政文書開示請求権の司法上の保護を強化し、裁判の信頼性を高め、憲法32条の裁判を受ける権利をより充実させるものということができる。
 裁判を受ける権利を充実させるものである以上、情報公開訴訟におけるインカメラ審理は、憲法82条に違反するものではないと解すべきである。
 その通り!といいたくなる補足意見。行政救済である審査会がインカメラ審理を行っているけど、行政救済の場合はそこでだめでも訴訟ができる。ところが、訴訟は敗訴すればその先がない。となると、より裁判所が合理的な判断をするためには、本来的には行政救済と同様にインカメラ審理があるべきものだと思うので、こういう違憲ではないという見解が示されたのは、大きい。

 もう一人の補足意見は、宮川光治裁判官のもの。
 情報公開訴訟においては、裁判所が当該文書を見ないで不開示事由の該当性について適正な判断をすることができるかについては著しく困難な場合があり、また、周辺資料から判断するという迂遠な方とに寄らざるを得ないため、審理は迅速には行われ難い場合がある。こうしたことから、情報開示の申立てを行なう当事者の側には、インカメラ審理を導入して少なくとも裁判所には当該文書を直接見分して適正に判断してもらいたいという要望がある。また、インカメラ審理の存在は、行政機関の適切な対応を担保する機能を果たすとも考えられる。
 情報公開訴訟にはインカメラ審理を導入することが憲法82条に違反しないことは、泉裁判官の補足意見の通りであるが、適正な裁判を実施するために対審を公開しないで行うことは、既に人事訴訟法22条、不正競争防止法13条、特許法105条の7等にある。開示を求める当事者がインカメラ審理を求めるのは、それが知る権利を実現するためにより実効的であるという判断であり、行政機関の側には審理に先立って不開示とした理由等について説明する機会が与えられるのであれば手続保障の上でも問題はない。そして、情報公開・個人情報保護審査会設置法9条1項、2項で同審査会の手続にインカメラ審理を導入する一方で情報公開訴訟においてこれを欠いていることは、最終的には司法判断によることとした情報公開制度の趣旨にそぐわないと考えられる。情報公開訴訟へのインカメラ審理の導入に関しては、ヴォーン・インデックス手続と組み合わせ、その上でインカメラ審理を行うことの相当性・必要性の要件について慎重に配慮すべきであるが、情報公開制度を実効的に機能されるために検討されることが望まれる。
 やや泉裁判官より慎重な面はあるが、やはりその通り!と思う。

 というわけで、こうなったら目指せ情報公開法改正!ですね。

 決定文全文は、近くアップします。
 
by clearinghouse | 2009-01-16 10:00