8月5日(木)の10時から、消費者委員会の個人情報保護専門調査会第1回会合。委員として参加してきました。

 個人情報保護専門調査会
 http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kojin/top.html

 基本的には、個人情報保護法制のこれまでの経緯や制度、2008年度の施行状況の報告があって、その後に比較的自由な発言の場がありました。何人かの委員の発言があって、私も発言した一人。各発言者で大枠として共通していたのは、司令塔的な存在としての第三者機関が必要ではないかということだったと思います。

 特に、社会保障・税の番号制導入議論を念頭に置いての第三者機関という話もありましたが、それを念頭に、というより別の次元での整理がそもそも必要に感じています。というのも、とかく個別の問題が出てくるとそれをどうするかという話になりがちですが、どんな制度もそうですが、特に個人情報保護を考えるときは、どういう社会であるべきかという社会像が、議論の内容を左右することになると思います。個人の権利利益、ひいては自由とその他の利益(公益だったり、商業的な利益だったり)のバランスはどうあるべきかが問われているのだと思います。

 なので、個々の問題が出てきたらそれをどう解決するかは大事ですが、だからといって場当たり的にすればよいというものではないと思う。会議でも、今の100歳以上の高齢者の安否確認ができないことの原因として個人情報保護法が挙げられていることが話題になり、その流れの中で第三者提供の際の一般利益衡量論が提起されましたが、こういう議論の混乱はいい加減にやめたいと個人的には思っています。

 というのも、高齢者の今回の問題は、民間を対象にした個人情報保護法の問題では全くなく、個人情報保護にかかわる制度としては、自治体の情報公開条例や住民基本台帳法、あるいは年金関係であれば国民年金法の問題だからです。民生委員が民間人であるかのように扱われていますが、民生委員としての立場の限りは公務員。だから、個人情報保護法をどう直せばこの問題が解決するのかと言えば、問いそのものが間違っているので答えはない。個人情報保護法がそういう空気を作り出しているということであれば、廃止するか存続させるかという議論しかないはず。なのに、報道等を見ると、個人情報保護法の問題になっているし、政治家の発言もそう。いい加減にうんざりしてしまいます。今のそういう混沌とした整理されない状況が、建設的な議論の妨げになっているとも思う。

 なんてことをずっと前から考えていたし、求めがあるとそう発信をしてきたのですが、今回は自分が制度改正も含む議論に参加をすることになったので、そこは自分なりに考えて発言をしていこうと思っています。で、今回発言した内容は大きく分けて3つのこと。ひとつは、高齢者の安否確認の問題は、公的機関における個人情報保護の問題であること、問題の根っこは不審情報や安否が懸念される情報があってもそれにどう対応するかといった方針や対応の問題であるので、そういう問題と制度の問題は整理して議論すべきだということ。

 もうひとつは、過剰反応問題。自治会や学校での過剰反応は、本来は顔の見える関係性の範囲で起こっているということをもっと問題とみるべき。顔の見える範囲であるのに、個人情報を集めて利用する側と個人情報を提供する間で、個人情報保護法を理由に提供を拒否されたり、集めにくいということは、相互のコミュニケーションの問題が本質的な問題であるということ。つまり、提供する側は一方的に提供するだけだったけど、それしかすべがなかったけど個人情報保護法をきっかけに意思表示がしやすくなったということだと思う。また集めて利用する側は、丁寧な説明と合意作り(コミュニケーション)が面倒なので、それを怠るあるいは回避する理由として使いやすくなったという側面があると思うからです。

 三つ目は、誰が個人の権利利益の保護と個人情報の利用のバランスをとるのかということ。おそらくそれは主務大臣でも消費者委員会でもなく、第三者機関が必要で、広く社会的理解を得るための開かれた議論をしていくことが必要だということ。

 こんなことも考えつつ、これから議論に参加していきたいと思います。で、会合の最後の段で、情報公開法の不開示事由としての個人情報の議論では行政透明化検討チームで私の意見と対立して散々議論をしてきた藤原静雄教授が発言されて、私の意見は自分の意見に近いとのこと。確かに、個人情報保護制度では、大きな枠では共通する部分が多いのかも。でもとても複雑な気分です。

 ちなみに、高齢者の問題については毎日新聞に何とも微妙なコメントをしてみました。基本的には、今回の件で住民基本台帳法の強化なんて話になるのは、反対です。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100805ddm041040052000c.html 
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by clearinghouse | 2010-08-06 08:50 | 個人情報保護

 行政透明化検討チームの一人反省会の2回目。1回目は、ぐだぐだとこちらに書いています。今回は、審査会について。ざっくり言うと、今回の改正検討の中でもっとも議論が甘かったのは、実質議論をしなかった情報公開制度の大きな部分は、審査会のことだったと思う。

 今回の情報公開法改正議論では、情報公開・個人情報保護審査会については、今の諮問機関から裁決機関にするという大きな方向転換については議論の対象になったけど、それ以上は項目上は取り上げられていない。審査会に関係するものとしては、不服申し立てを受けた処分庁が、審査会にその申し立てを諮問するまでの期間を定めるということだけ。情報公開法全般は、これまでの運用を踏まえた改正を検討しましたが、審査会についてはその運用をふまえた検討はしなかった。

 そもそも、審査会に関しては、検討すべきこととしては、法の規定ではなく運用レベルの問題が多いという面もあったので、法改正という限定がつくと、そもそも検討から外れてしまうのかもとも思います。でも、審査会のあり方は、いろいろ課題があったと思っています。

 審査会での審議の流れを考えると、いくつかのポイントがある。まずは、①行政機関が出す理由説明書があって、②それに対する申立人の意見書がある。③審査会は、不開示になった行政文書を直接見て審査するインカメラ審理を行い、④その時に行政機関を呼んで説明を求めたりしている。⑤その際、複数の不開示事由が適用されていて、文書の量が多いと、どの部分がどの不開示事由に該当するのかなどをインデックス化した資料を作成する。これをヴォーンインデックスと通称で呼んでいる。⑥そして場合によっては申立人の意見陳述を行って、最後に答申を出すということになる。

 課題を挙げるといろいろある。まずは①。行政機関の理由説明書は十分な説明をしていないものが結構ある。正直、申立人として何を反論しろというのか、というレベルのこともある。申立人はそれでも②の意見書を出す(出さないこともある。私は一度、あまりにもひどい理由説明書だったので、頭にきて抗議の意味も込めてあえて出さなかったこともあるし。その件は訴訟でも争っているので、そう割り切れたということもありますけど)。審査会はどのように行政機関の理由説明の不十分さを埋めているかと言えば、③や④で補っている。行政機関に具体的な立証や説明を求めているという意味では、審査会の大きな仕事ではあるけど、ここでやり取りされたり行政機関が主張、説明したことは申立人には知らされることはないので、何を言われていても反論できず。

 それで、申立人にとって自分の主張を述べる機会は、⑥の意見陳述だけなのに、今はほとんど認められない。要は、審査会に対して意見陳述をしたいといっても、必要ありません、と拒否されてしまうのです。また、⑤は法が定めるヴォーンインデックスではなく、ヴォーンインテックス的なものを作っているだけ。このヴォーンインデックス的なものがいったい何ぞや、ということははっきりしないけど、審査会が参照する何かは作られているよう。

 実際運用状況をみると、申立人の意見陳述はこれまでの運用でだんだん減って今はやっていないに等しい。

 平成13年度  49件
 平成14年度  112件
 平成15年度  72件
 平成16年度  63件
 平成17年度  10件
 平成18年度  1件
 平成19年度  8件
 平成20年度  3件
 平成21年度  2件

 ヴォーンインデックスの作成状況はこんな感じ。

 平成13年度  3件
 平成14年度  24件
 平成15年度  4件
 平成16年度  3件
 平成17~21年度  0件 

 平成17年度から、意見陳述が減り、ヴォーンインデックスは実績がなくなってしまった。行政透明化検討チームのヒアリングで、平成17年度以降、何か運営上の変更があったのか審査会事務局長に質問したが、そういうことはないとの返答だったけど、何だか??な感じがぬぐえない。

 そういう疑問もあるけど、要は、審査会としての権限はヴォーンインデックスに関してはあまり行使していない、申立人の機会行使(意見陳述)は蹴る、行政機関の理由説明が不十分であってもそこは審査会さえ不十分さを補充できればよいというのが、この間の一貫した運用なので、申立人に最低限の機会保障がされているのかという点では、とても疑問がある。実のところ、申立人の機会保障なんてどうでもよい、というような運用と見るしかないと思う。

 しかも、審査会に諮問されてから長期間、審査会で審議をしていることもある(長いと3年とか)。審議中は、申立人はよく進行がわからないし、何の機会も与えられないので、ひたすら待つしかない。出てきた答申を見ると、何度も行政機関を呼んで審査会が話を聞いた経過が書かれている。やっぱり審査会は行政機関の方を見ているんだという視線がそこから生まれる。という状況かなと思う。

 じゃあ、これらについて何を改善すればということになると、ここに書いたことは、ほとんど審査会の裁量の範囲のことなのです。どういう権限を行使するか、誰にどういう機会を与えるかは、審査会が決めることになっている。だから、規定の問題よりも運用の問題になるとまとめられるのだけど、情報公開法では行政の裁量的判断を極力限定する方向で議論をしているのに、審査会ではあるべき審査会のあり方なんてまったく議論にもならず、裁量の範囲で行われている今の運用が適当なのか、その裁量は妥当なのか、という議論もなかった。というより、そういう話をしても、無視されるとうか、スルーされてしまうのでありました。そして、審査会としても標準処理期間を設けてはどうかという提案を、申立人が審査の大枠の期間が予見できるようにと思ってしてみましたが、一蹴されてしまったのでありました。

 結局残ったことは、行政透明化検討チームの有識者メンバーの二人が審査会の現委員であるということと、審査会は一生懸命やっているんだという趣旨のお言葉。そして、行政機関の裁量は問題になるけど、審査会の裁量の妥当性は問題にならないらしいということ。なので、これからは審査会の運用面で申立人の機会保障をどう高めていくのか、というところで、ユーザーサイドは一仕事しなければならないということなのだと思います。これから頑張らねばと反省してみました。

 ところで、誤解されるといやなので最後に一言。審査会がなすべきことをまったくしていないとか、救済機関として役に立たないとか、そんなことを言うつもりは毛頭ないです。ただ、私も県の審査会の委員をして答申を書いていたことがあるので、そういう立場でそれなりに一生懸命自分の役割を果たそうとすると、その一生懸命さ、非公開の議論のなかで内向きな感じに陥りやすい心情が、何となくわかるような気がするのですよ。それに自分が気付いたときに、私はそういう自分がかなり嫌になりましたし。だから、内向きになる審査会の自己都合的な部分は、やはり申し立てる側が自らの機会の保障を求めていくしかないのかなと思ってしまうのは、私だけでしょうか。
 
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by clearinghouse | 2010-08-03 23:50 | 行政透明化検討チーム