前回のエントリーで法人文書の管理についてさらっと書いたところですが、いろいろ気になってきたので少し調べてみた。気になったことは、今回1つの認可法人、6つの国立大学法人が特定歴史公文書等の移管を受け、利用をさせるために施設の利用規則案を出したので、これらは組織的に歴史的文書を保存する体制を内部で持っているけど、いまのところそれ以外はないということです。

 情報公開法第2条と独立行政法人等情報公開法第2条との関係で、歴史的公文書を特別の管理をしているところは政令で指定されますので、行政透明化検討チームでの情報公開法改正の議論の際、どういう施設が該当するのか一覧にして出してもらっていますので、それを確認しても、今回利用規則案が出てきた施設以外は見当たらないように思いますので、これだけだということだと思います。今後、法施行までに追加で指定されるところが出てくるかもしれませんが。

http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/joho-kokai/pdf/02/02_docu_03-02.pdf
 ※資料にふってあるページだと26ページ、ファイルのページとしては28ページからのっています。

 そうすると、これまでもこの7つの法人については法人文書が歴史的にも保存されてきたことは明らかであるものの、それ以外の法人(独立行政法人、国立大学法人、一部を除く特殊法人がこれまでどうしてきたのかがとっても気になってきました。おそらく、国立公文書館に移管されていなければ、そもそも歴史的文書を管理して利用していこうという考え方が組織内にない可能性もあります。独立行政法人、特殊法人ともお取り潰しがあったり、再編があったり、看板の架け替えがあったり、役割の変更があったりと、行政機関以上に紆余曲折があったところです。民営化というのもありますね。

 それに、法人文書は、行政文書以上に機関・機構ごとに種類や分類・類型はバラエティに富んでいそうです。たとえば、国立大学法人の場合はアドミニストレーションとして作成・取得される法人文書と、教員が作成・取得して保有している法人文書があるという構造になるのかなと思います。比較的他の法人は、組織としての作成・取得が研究分野でもはっきりしていそうですが、大学の場合はどういうことになっているのでしょうか。

 ということで、あまり手間をかけずにどうなっているのか簡単に調べてみました。

 京都大学は、今回の公文書管理委員会で「京都大学大学文書館利用等規則案」が検討されました。これから公文書管理法の施行に向けて法人文書管理規程の見直しをしている最中だと思いますが、これまで以下のような規程によっています。

 京都大学における法人文書の管理に関する規程
 http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/aw00200801.html

 京都大学文書館への法人文書等の移管等に関する要項
 http://www.kyoto-u.ac.jp/uni_int/kitei/reiki_honbun/aw00200811.html

 規程の方を見ると、別表として法人文書分類基準表があり、それをみると「教員保有文書」という項目があります。法人文書は、役員・職員の作成・取得した文書というくくりになり、そこには教員も含まれるので、それが組織的に用いられかつ法人として保有していると言える場合は、この規程によって教員の保有文書も管理されるということになります。そのため、教員の個人利用の範囲を出ないの研究のために作成・取得したものは、おそらく対象にならないということになるでしょう。教員の研究関係文書も、「教員保有文書」以外に、規制を伴うものの許可や、特許・科研費などのさまざまな申請を伴うものは、法人として総務部門等々に保存されているので、それとは別に管理されていることになりますね。

 また、京大は文書館が設置されているので、規程の中でも移管先、移管ルールも明確なのが分かりやすい。

 一方、公文書管理委員会に複数の委員が出ている東京大学も調べてみました。

 東京大学法人文書管理規則
 http://www.u-tokyo.ac.jp/gen01/reiki_int/reiki_honbun/au07402961.html

 行政機関の文書管理規則のようです。さすがというか、何というか…。

 規程ではなく規則になっているというのは京都大学より良いかも。そう思いつつも、規則を見ると、法人文書の保存期間として出てくるのは、教員個人の研究等では規制を伴うものの許可に関するものや、申請を伴うものに基本的には限られるのかなと思います。教員が保有している文書という概念は出てきませんね。

 移管については、以下のような規定がありました。
(指定施設への移管)
第12条 保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間。第13条及び第14条において同じ。)が満了した法人文書については、指定施設の長と協議のうえ、移管することができるものとする。
2 指定施設への移管については、別に定める。

 一応、移管を念頭に置いているようです。ただ、「指定の施設への移管」としその指定の施設は別に定めるとあるのですが、どこを指定しているのかは発見できませんでした。そこで、一応国立公文書館のHPへいって、オンライン上で提供されている所蔵文書の検索システムで検索をしてみました。そうしたところ、国立大学法人、独立行政法人、特殊法人からの移管文書の存在は確認できませんでした。文書の作成者で組織を検索できるのですが、それでも引っかからず、所蔵している文書の移管元組織として示されている中にもありません。

 そこで気になったのが、そういえば国立公文書館ってそもそも法人文書の移管を受けられるようになっているのか、ということ。「国の機関」の歴史文書の保存・管理・利用を目的としている国立公文書館。これまでは、移管については以下の規定が。
第十五条  国の機関は、内閣総理大臣と当該国の機関とが協議して定めるところにより、当該国の機関の保管に係る歴史資料として重要な公文書等の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとする。
2  内閣総理大臣は、前項の協議による定めに基づき、歴史資料として重要な公文書等について、国立公文書館において保存する必要があると認めるときは、当該公文書等を保存する国の機関との合意により、その移管を受けることができる。
3  前項の場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、国立公文書館の意見を聴くことができる。
4  内閣総理大臣は、第二項の規定により移管を受けた公文書等を国立公文書館に移管するものとする。

 これは、公文書管理法の施行により削除されることになります。ただ、公文書管理法の制定と並行して行われた国立公文書館法の改正では、「国の機関」の歴史文書の保存等を行うことについては変更はありません。公文書管理法を見ると、法人文書のうち歴史公文書等は、国立公文書館等に移管をするとなっていますので、これを見る限りは「国の機関」には独立行政法人や特殊法人も入っていると見るのが妥当でしょう。そうすると、これまでも内閣総理大臣との協議を行えば、法人についても文書の移管ができたということになります。

 そうすると、国立公文書館の所蔵文書を検索しても法人文書が見当たらなかったのは、移管を受けていても排架されていないので載っていないのか、それとも移管実績がないのかはこれだけでは分かりませんが、ともかく法人文書の移管については、実績はきわめて乏しそうです。

 総合すると、東京大学はこれまで移管をしてこなかったということなのでしょうか。それとも、指定の施設は別にあるのでしょうか。だとすると、今回の公文書管理委員会にそれに該当するものが出てきていないのは、おかしいということになるのですが、どうなっているんでしょうかね。もしかしたら、新しく作るのでしょうか。いずれにしても、歴史的文書の保存等については総合的に取り組まれてこなかったかもしれませんね。

 独立行政法人はどうなっているのかもちょっと見てみました。こちらも公文書管理法に合わせてこれから規則が作られることになると思いますが、何かと物議をかもしている雇用・能力開発機構の文書管理規程を見てみました。

 http://www.ehdo.go.jp/koukai/file/220331_kitei.pdf

 ざっと見たところ、文書の収受等に関する規程の中に文書管理についても入れ込んだ、今になっては自治体でしかみけなくなった昔からの作りです。保存期間終了後については、以下の規定しかありません。
(法人文書ファイルの廃棄)
第39条 保存期間(前条の規定により保存期間を延長した場合にあっては、延長保存期間。次条第1項において同じ。)を満了した法人文書ファイルについては、前条の規定により延長保存するものを除き、主管課長が法人文書ファイル管理簿を整理した後、廃棄処分に付するものとする。

 廃棄しか予定をしていないようなので、これじゃそもそも国立公文書館に移管しようとか、歴史文書として保存するための体制を整えようなんて発想は生まれないですね。雇用・能力開発機構は、問題があるたびに看板の掛け替えや組織の再編などが過去に何度も行われているので、過去の不条理と世の中が思っているよなさまざまな問題の記録が、体よく雲散霧消して歴史が闇に葬られていそうです。

 ちなみに、今回国立公文書館のHPで所蔵文書の検索をしたので、せっかくだからと国立公文書館の法人文書が歴史文書として移管されているかも一応確認してみました。組織でしぼって検索したところでは、移管文書の存在は確認できませんでした。「国立公文書館」で検索してみても、行政機関からの移管文書だけが出てきましたよ。

 そこで、国立公文書館の文書管理規則も調べてみました。こちらも昔ながらの作り。これは独立行政法人の伝統なんでしょうかね。そうしたら、歴史的文書については以下の定めが。

 http://www.archives.go.jp/information/pdf/kanrikisoku_071221.pdf
(歴史資料として重要な法人文書等の指定等)
第38条 施行令第2条第2項の規定に基づき、保存期間(延長された場合にあっては、延長後の保存期間)が満了した館が作成した文書等で歴史資料として重要なものと認められるものについては、館長がこれを指定し、国立公文書館法第15条第4項の規定により移管を受けた歴史資料として重要な他の公文書等と共に管理する。
2 文書管理者は、前項の規定により指定がなされたときは、その旨を法人文書ファイル管理簿に追記する。この場合にあっては、その処理が終わった日の翌日から起算して5年間経過した後、当該法人文書ファイル等に係る記録を削除する。
3 文書管理者は、保存期間が満了していない法人文書について、第1項の指定等を行うことを目的とする場合であって、当該文書の保存期間が前条の規定に基づき延長されたものであるとき又は特別の理由があるときは、館長の承認を得て、その保存期間を短縮することができる。

 「移管」ではなく、歴史資料として重要なものを「指定」する仕組みなっていました。行政機関からの移管文書と一緒に管理はされているようで、指定がされるとそのことが法人文書管理システムに記載されて、それが5年後に削除されるというルールみたいです。削除されたあとは、どこで法人文書ファイル管理簿に代わるものとして保存されるんでしょうか。やはり、行政機関等から移管を受けている所蔵の文書検索システムの中でしょうか。中にあるとすると、これまでそもそも「指定」の実績がないんでしょうか、検索しても引っかからないのは。それとも、私の検索の仕方が悪いのか。

 結局、今年の4月にならないと、実際にどうなっていくのか分からないということなんでしょうか。お手軽に調べられる範囲しか調べていませんが、それでもなんだか調べれば調べるほど、これまでの法人文書の管理の在り方にはうすら恐ろしいものを感じてしまいました。私たちも、行政文書中心に見てきてしまったので、深く反省しなければなりませんね。いや本当に。
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by clearinghouse | 2011-01-25 23:34

 先日の公文書管理委員会では、大学法人の設置する歴史的文書を保存する公文書館と日銀アーカイブスの利用規則案が提示されました。言わずもがなですが、公文書館等に移管された歴史的な法人文書の利用に関する規則であって、独立行政法人、特殊法人等の法人文書管理規則ではありません。残念ながら、公文書管理委員会では、各法人の法人文書管理規則は報告されないようです。公文書管理委員会に対する諮問事項にこれはなっていないので、このまま法施行となるのでしょうか。

 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/230119haifu.html

 独立行政法人(国立大学法人を含む)、特殊法人(一部を除く)、認可法人(日銀のみ)が保有する文書は法人文書として、もともと独立行政法人等情報公開法に基づく開示請求の対象となってきました。公文書管理法では、法人文書を行政文書の管理に準じた扱いとすることになっており、一定の範囲で文書の移管義務も発生します。 行政文書の場合は、各府省の行政文書管理規則で文書の類型ごとの保存年限、何を移管文書とするかなどがある程度示されていますが、法人文書に関しては法人文書管理規則案がまだ明らかになっていないので、このあたりの基準がどうなっていくのかは一抹の不安を覚えている人もいるようで、公文書管理委員会でも委員から国立大学法人に関して懸念が示されていました。

 とりわけ、行政文書が廃棄にあたり内閣総理大臣の同意を得るという手順を踏むことに公文書管理法が施行されるとなりますが、法人文書は各法人の判断で廃棄か移管を判断することになるので、いたずらに廃棄されるのではないかということが心配されているようです。もっとも、行政文書も法が施行されるまでは内閣総理大臣の同意を得なくても廃棄ができますので、大量廃棄が起こっても理屈の上ではおかしくないわけです。事態としてはあまり変わりはないですね。

 ただ、法施行後は風景はそれなりに変わってきて、法人文書は廃棄について内閣総理大臣の同意が必要ないので、移管か廃棄かの判断の適正化をどうするのか、チェックをどうかけていくのかを整理していく必要はありそうです。国立公文書館等や内閣府がどの程度その過程をモニターできるのか、法人の数も多いので業務のフローとしてどこまで実質フォローされるのかなど、もう少し明らかになった方がよいものがあるように思います。

 というわけで、何から手をつけたら良いのかよくわからないところがありますが、まずは各法人が公表する子とになる法人文書管理規則を確認してその傾向をつかむところから始めるのが良いでしょうか。
 
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by clearinghouse | 2011-01-24 23:24

 1月19日に第6回公文書管理委員会が開催。傍聴に行って来ました。資料は以下に掲載されています。

 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/230119haifu.html

 国立大学法人と日銀のそれぞれのアーカイブの利用規則案の検討が主な内容です。それは別に更新することにして、各行政機関の作成する移管・廃棄簿が廃棄され、国立公文書館等に移管されないという問題については、ほぼ問題が解決したようです。

 会議では、以下の資料が配布されていて、公文書管理委員会の委員の意見等を踏まえて各機関の公文書管理規則で修正等が行われた内容や、指摘に対する考え方が報告されました。

 行政文書管理規則案についての委員の御意見等を踏まえた修正等
 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/22/230119/230119haifu8.pdf

 その資料の10ページに以下のものが。
内閣府
【移管・廃棄簿の移管・廃棄】
〇委員のご意見等
 各行政機関から内閣府に報告された移管・廃棄簿については、別表第2の23 の項「法令の規定による他の行政機関等に対する届出、通知、報告、資料の提出要求等及び当該意思決定に至る過程」に該当するため、独立行政法人国立公文書館に「移管」されることを確認したい。

〇規則案の修正その他の対応
 移管・廃棄簿については、国立公文書館への移管の対象にはしておりませんが、内閣府が廃棄承認を行うに当たってのデータを国立公文書館に移管すること等を検討しており、特段の問題は生じないものと考えます。

 これを見ると、今後は行政文書の廃棄にあたり内閣総理大臣の同意が必要になるので、そのために内閣府に各行政機関から廃棄簿が提供されるので、それを取得した内閣府は、その廃棄簿を移管すること等を検討しているということなので、基本的には、各行政機関は廃棄しても内閣府は移管することになりそうです。

 前に、以下の記事を書いていましたが、そこで考えていたことと同じ方向になるようです。とりあえず、良かった。

 廃棄簿の保存期間と廃棄 http://johokokai.exblog.jp/15577258

 移管・廃棄簿が、移管簿と廃棄簿で分かれてつくられるのか、どういうものになるのかはまだ良くわかりません。また、実際に内閣府が取得した移管・廃棄簿が、国立公文書館に移管されるかどうかは、公文書管理法施行後、最初の内閣総理大臣による廃棄の同意が行われた後に、この業務関係の行政文書ファイルが管理簿に掲載され、そこで廃棄か移管のどちらかに区分けされるのかで確認しましょうということですね。
 
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by clearinghouse | 2011-01-21 23:28

 昨年末にも渋谷区の情報公開条例の運用問題の報道について以下のエントリーをしましたが、また問題。

 公開請求者の公文書利用方法を問題に非公開 http://johokokai.exblog.jp/15680832/

 今回は、情報公開請求があった後に、請求対象文書を書き換えて開示を実施したというものです。
東京・渋谷区教委:給食情報、書き換え開示 「記載に不備」と釈明
 http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110119ddm041040168000c.html
 書き換えられたのは区立笹塚中の08年度の「給食の記録」。食材の量や栄養価、価格などが日ごとに記録されている。09年10月に市民団体「渋谷オンブズマン」の久保田正尚代表(54)が情報公開請求した。区教委は「事務処理に時間を要する」として開示日を1カ月余り延長し、同年12月に開示した。
 ところが、この文書は保護者からの情報公開請求に対し、同年7月に開示された同じ08年度の「給食の記録」と食材の量やカロリーなど記載内容が異なっていた。また、当初の文書にあった給食担当教諭ら2人の印も省かれていた。

 聞いている話だと、09年7月に一度開示されていた文書と同じものを別の人が09年10月に開示請求したところ、別物が開示されたというもの。記事によると、最初の情報公開請求後に不備や誤りが指摘されて訂正作業を進めていたので、開示請求を受けて書き換えたわけではないというのが、区教委の説明のようです。書き換えも、一部書き換えたという程度のものではなく、書式から違うし、手書きが多いものからパソコンで作成された文書になっているとか、原本の修正という程度のものではないようです。

 この問題、言わずもがなですがいくつかの問題が含まれている。そもそもの問題として、給食の記録で「栄養価計算に不正確な点があった」ということや不備があったということは、単に記載ミスなのかそもそもの業務に問題があったのか次第でまったく別の問題になる。記載ミスであったとするならば、業務は適正だったけど正確な記録がなされていないという点で、業務の記録に足る文書作成ができていないので、まったく説明責任を果たさないし、業務の正当性を証明する証拠がないということになる。一方、複数の記録や資料をを突き合わせるとつじつまが合わなかったり、計算が合わないので、設定されている基準に合わせて書き換えているということになると、不当な業務が行われていた上に、それを適正な業務を行っていたかのように見せかけるために文書を改ざんし、虚偽の公文書を作成したということになります。この件は、どちらなのかというのは極めて重要な意味を持つ問題のように思います。

 情報公開制度の問題は、もっとはっきりしている。要は、情報公開制度は請求した時点で現に存在している文書を対象にして、文書が特定され開示・不開示が決定されることになるので、ミス等が指摘されている文書であっても、開示請求がされたらその時点で存在しているものを開示決定すべきでしょう。しかも、過去に一度開示決定をしているものなので、すぐに判断できる文書であるにもかかわらず、決定期限を延長し、その間に書き換えを行い作業終了後に書き換えた文書を開示している。書き換えではなく差し替えと言った方が正しいかなと思う。

 開示された文書の欄外には「平成21年(09年)12月訂正」と記されているようなので、訂正された文書であることはわかるので、この点は以前に起こった東北厚生局の同種の書き換え事件ではそういうものがなかったので、まだましか。この比較対照もかしいけど。東北厚生局の場合は、書き換え後の文書をいったん開示し、その後に開示する文書を誤っていましたと決定がしなおされ、書き換え前の文書が開示されるという道をたどっていますが、この件は1年以上前の開示請求ですがそういうことはおこなわれていないようですね。

 こういう話を聞くにつけ、一歩間違うと情報公開制度もご都合主義的な運用になるのがさもしいと思うところ。開示請求された対象文書に、誤りがあったりそのまま開示すると問題になるかもしれないというものは、請求後に全面的に書き換えて新たな内容の公文書を作成してそれを開示するけど、おそらく不存在事案については、たとえ作成・取得ができる内容のものであってもそれは絶対しないでしょう。

 情報公開条例を運用していくことで、こういうことが不信感や対立の源になっていくわけだから、しっかりしてほしい。結局、お互いにいいことは何もないわけなんだから。にもかかわらず、行動様式が請求者に喧嘩を売っているようなものが多いのは、なぜなんでしょうね。
 
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by clearinghouse | 2011-01-20 23:21

 「政府における情報保全に関する検討委員会」の第1回会合の配布資料が、すべてHPに掲載されていないので、情報公開請求をしている件のその後です。18日の夜にHPに掲載しましたという連絡が内閣官房から19日に入り、えっ?と一瞬状況が呑み込めずにいろいろ確認してしまいました。

 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/index.html

 18日の夜、更新された官邸のHPを私は確認をしていて、検討委員会に加えて、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」と「情報保全システムに関する有識者会議」の第1回配布資料等の掲載がされたけど、検討委員会での配布資料は変わっていなかったから。結局、検討委員会では二つの有識者会議の根拠・構成員を資料として配布をしてたけど、有識者会議の情報もHPに掲載するので、有識者会議の情報を掲載するときに掲載することにして、検討委員会の配布資料としては掲載しなかったということのようです。資料が重複していると混乱するかもしれないからと。

 でも、この説明を聞いてそういう問題ではないんだけどと思う。検討委員会は12月9日に開催されて、12月20日前後にはHPに資料が掲載。2つの有識者会議の情報が掲載されたのが1月18日の夜。この間、1か月以上、2つの有識者会議の根拠や構成員は資料としては「非公表」となっていたということであります。少なくとも検討委員会の配布資料としてそのまま扱われていれば、12月20日前後には世の中に容易にアクセスできる形で「公表」されていたはずのものを、1か月以上も先延ばしにしたのは、情報が重複すると混乱するという理由。検討委員会での配布資料は配布資料として掲載しても、特に混乱するとはとても思えない。結局、不必要に情報を非公表として扱っていたということになるので、こういうことでいいんでしょうかね。

 しかも、この件は、検討委員会での配布資料一覧というものがなく、2つの有識者会議も配布資料一覧がない。私の経験の範囲では、こういう会議では配布資料一覧があることが多いのですが、どうなんでしょう。非公開で行っている会議なので、何の資料が配布されているのかは、配布資料一覧がないとわからないし。というわけで、結局は情報公開請求は取り下げることにしましたが、何とも釈然としない。

 もうひとつ釈然としないこととして、政権交代前に設置されていた「情報保全の在り方に関する有識者会議」と「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」の情報が内閣官房のHPからなくなっていたという件。内閣官房の情報公開請求の担当者に電話がかかってきたついでに聞いてみましたよ。

 ごく最近までは、以下のページの一覧にいずれも掲載があって、有識者会議は配布資料と議事概要が、検討チームは構成メンバーなどの情報が確認できました。それがなくなっていた、しかもなくなったのは少し前のことで、昨日・今日のことではありません。

 各種本部・会議等の活動情報【現在活動中の会議】
 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/index.html

 政権が代わり、新たな情報保全・秘密保全の検討の受け皿ができたので、以下の方に移されるのかなと思って、何日か続けて確認をしていましたが、こちらに掲載されていなかった。 

 各種本部・会議等の活動情報【活動を停止・終了した会議】
 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/katudou_teisi.html

 そこで聞いてみたところ、そういう状況であることは担当者も承知をしていて、整理をしていて移行期間で一時的に掲載されていないという説明。なるべく早く【活動を停止・終了した会議】の方に掲載するという話を聞きました。

 でも、【現在活動中の会議】から【活動を停止・終了した会議】への移行は、単純にリンクを張り替えるだけなので、前者から削除をするという更新をしながら、後者への掲載の更新が同時にできないことはどうも理解ができない。

 それに、情報が消えた!とわかった時、単に資料のデータはサーバーにそのまま残っていて、一覧のリンクが一時的に削除されて、整理をして【活動を停止・終了した会議】の方に移行するのかと一瞬思ったので、以下の記事に有識者会議の第1回議事概要への直リンクを残していたのでそこにアクセスしてみました。そうしたら、情報そのものがアクセスできなくなっていた。要は、サーバーから削除されてということなんだと思う。でも、今は同じURLでデータが復活している。

 政府における情報保全に関する検討委員会 http://johokokai.exblog.jp/15594432/

 どうやら、【現在活動中の会議】から【活動を停止・終了した会議】の一覧にリンクを移行するだけなのに、資料すべてをサーバーから削除するという作業と、内閣官房はしているらしい。というか、本当にこの件は単なる移行作業だったのか、ということにかな~り疑問を持ってしまう。

 第1回議事概要のデータが削除されていたことがわかる画面を、URLがわかるように画面をスクリーンショットで保存しておけば良かった、と今更ながら思う。この辺、まだまだ私も甘いかも。この件、これ以上話しても脱力系の説明を聞くことになりそうなので、これ以上突っ込まないけど、この各省庁のHPの情報の維持管理であったり、何を掲載していくのかは、誤解のないようにやらないと逆に不信感を招くだけなので、ちょっと考えてほしい。
 
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by clearinghouse | 2011-01-19 23:38

 昨年12月に内閣官房長官を長とする「政府における情報保全に関する検討委員会」が発足し、1月には「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が立ち上がり、政府における情報保全、秘密保全についての検討が進められています。

 検討委員会は政府の中の人だけで構成され、こちらはたぶん一般には非公開(確認しないと)。資料と議事要旨が公開されています。

 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jouhouhozen/index.html

 有識者会議は非公開での開催が決まり、議事要旨は公開するとなっています。が、いまだ資料等も公開されず、議事要旨も見当たらない。

 この検討委員会と有識者会議の情報公開をめぐっては不審と思ってしまうことがいろいろ。

 検討委員会は、なかなか資料がHPで公開されないので痺れを切らして私、情報公開請求しています。請求した後にHPにアップされたので、内閣官房からは請求の取り下げを進められたのですが、実はHPに出ている情報からは配布資料一覧というものがなくて、HPに出ているものが全部なのか?と確認したところ、実は出ていない資料がありますという返答。ちょっとちょっと!!という実にカチンと来るやり取りなのですが、まずはHPに出ている資料は全部ではないということが、何とも不透明なのであります。

 それで、情報公開請求の担当者との電話のやり取りでは、もうすぐ残りの資料もHPに掲載される予定のようですとまたまた請求書の取り下げを暗に進めるお話があったので、HPに掲載された時点で取り下げます、と言ってそのまま請求を取り下げずにいます。が、未だにHPに掲載されないので、これは取り下げなくて正解のようです。でも、とにかく資料の公開の仕方は不透明極まりない、情報公開としては極めて低次元の問題をさらしているとしか言いようがないです。

 次に有識者会議の方。1月5日に開催され、いつまでもHPに情報が掲載されないので、内閣官房に電話をしましたよ。代表番号で有識者会議の担当と指定したら名前を尋ねられたので名乗ったら、「一般の方ですか?」と聞かれたので「一般です」と答えておきましたよ。これも、一般とそうではない場合で、扱いは違うんでしょうか。つながれた先では、有識者会議の担当者がいないということで、資料等がHPに掲載されるのかどうか尋ねても、そう聞いていますということ以上はわからないよう。官邸のHPなのか内閣官房のHPなのかどちらに掲載されるのかもわからないので、どっちもときどきチェックしているのですが、未だに掲載されていないので、こちらも情報公開請求をするしかないのでしょうか。というか、請求書を書いて準備をしましたよ。

 さらに不可解なのは、気のせいかと目を擦ってしまった、あったはずの情報がHP上にない!ということ。政権交代前に、「情報保全の在り方に関する有識者会議」と「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」というものがありました。検討チームが内閣官房副長官議長としたもので、検討チームでまとめた基本的考え方について意見を述べる場として有識者会議が設けられていました。政権交代によって有識者会議は宙に浮き、立ち消え、その後いろんな事件を経て今の流れになっているわけです。

 それで、有識者会議は資料と議事要旨が内閣官房のHPに掲載されていたはずでありまして、プリントアウトしたり、私のブログでも以下でそれに基づいていろいろ書いていました。

 政府における情報保全に関する検討委員会 http://johokokai.exblog.jp/15594432/

 なのに、今の内閣官房のHPにはそれがない。検討チームも、構成員とか外形的な情報は掲載されていたのですが、それもなくなっている。どういうこっちゃ。

 全部プリントアウトしてあるから、手元にはあるけど、こういう情報の消え方は何なんでしょう。単に掲載箇所の整理をしているだけなんでしょうか。 情報保全とか秘密保全を不透明に検討すると、そもそもの性質上、本当に信頼できないというか、信頼のよりどころに私たちがするところがないということになる。単に自分が見つけられなくなっただけかもしれないので、とりあえず明日時間を見つけて電話してみる。
 
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by clearinghouse | 2011-01-17 23:33

 1月11日、個人情報保護専門調査会の第4回会合が開かれました。資料などは以下からどうぞ。

 http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kojin/004/shiryou/index.html

 今回は、連合、日本総合研究所、yahooからのヒアリング。 いずれも法律そのものに対する問題意識があるのではなく、ガイドラインや各事業者における運用レベルの問題の状況・実態についての報告だったです。委員の関心・質問は多岐に渡りましたが、個人情報保護を徹底するための従業員に対する管理・監視強化への懸念は比較的多く出されたように思います。

 ヒアリングでそうだったのかと思ったのが、ヤフーはプライバシーポリシーではなく、利用規約の中にプライバシーポリシーを入れていること。考え方や方針ではなく、より契約としての意味を持たせているとのことで、アメリカのyahoo Inc.に習ったとのこと。勉強になりました。

 ただ、こういうヒアリングは、どちらかというと個人情報保護について一定水準以上の良い事例が紹介されることになるので、実のところ個人情報保護法の本当の課題・問題が見えてこないのではないかと思う。連合からのヒアリングも、医療・介護、金融、情報通信の3つの分野の組合に対するアンケート調査結果の報告で、おそらくいずれもそれなりの組織的水準にあるところかなと思います。そういうところから見えてくるのは、法律の運用上の課題は見えても、法律そのものの実態把握としてはなかなか難しいのかなと思います。これは、公益通報者保護専門調査会に出ていて、とっても実感したところと似ているかも。

 従業員に対する管理・監視強化はどこまで必要かは直に個人の尊厳にもかかわる、人権問題にもかかわってくるところもあるので慎重に見なければなりません。連合からは、従業員が要求されるルールの複雑化により、従業員が仕事をする上で判断ができず仕事の停滞という懸念も示されたので、事業者である日本総研とヤフーには、実際にどうなのか質問をして見ました。いずれも、ルールが複雑、わかりにくいという意見は内部でも出ているようです。

 ただ、話を聞いて思ったのは、個人情報保護の問題だけではなく、さまざまな法令やルールの遵守という文脈で各事業者の行っている従業員に対する対応、要求を見た方が良いということです。当たり前のことではありますが、今回のヒアリングでも、日本総研では受託により情報の扱う種類が多様で、それに伴い個人情報保護法以外に適用される法令があり、どうしてもルールは必要なものだけでも複雑になるという説明がありました。

 各事業者が情報管理を行うことは、自らの資産を守るという意味だったり、組織を守るという意味だったりします。各事業者は自分が当事者の情報に関しては、情報の漏えい・流出、不適正な利用・収集は事業者自身のリスクになりますが、個人情報やその他第三者の情報を取り扱う時は、同じことは第三者へのダメージとなるとともに、内部事項にはできない社会的なダメージとなる意味で、同じ法令等に抵触する場合でもその意味合いはやや異なるのかと思います。そういう意味での違いはあるものの、個人情報だからというより事業者の情報管理から、従業員への管理・監視強化が進められているので、この問題はもっと大きな枠で考えないと、個人情報保護の問題に矮小化するとよいことはないように思います。

 そういうところでは、労働者の権利保障、権利利益の保護という観点が、個人情報保護法の中に入ってくることは考えにくいので、そこが問題になるのであれば、別に検討する必要があると改めて思います。

 そういうわけで、まだまだヒアリングが続くようです。もう少し頭の整理をしないといけないですね~

 そう思いつつも、ここのところ、机に向かう時間もパソコンに向かうことのできる時間も極端に短かかったので、いろんなことがたまりすぎ。やっと時間が取れたから、生業の方でとにかく処理しないといけないものをひたすら処理。こっちの方にはまだ手が回らない。何て、こんな更新しているなら、他にやることがあるだろうと何か飛んできそうw
  
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by clearinghouse | 2011-01-15 23:02 | 個人情報保護

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 年末に、以下の報道がありました。時事通信、日経でも準備室の設置を中心にした記事が出ていましたが、読売新聞が一番字数が多い記事だったので、もうすぐリンクが切れると思いますが、とりあえずリンク。
「公務員の氏名も情報公開、政府が改正案提出へ」(読売新聞 2010年12月29日)
 http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20101229-OYT1T00364.htm

 改正案には、〈1〉請求から開示までの期間を「原則30日以内」から「土日祝日を除き14日以内」に短縮〈2〉請求に必要な手数料(1件300円)を原則廃止〈3〉政府系公益法人も公開対象に追加〈4〉役職名だけ開示していた公務員の氏名の原則公開――などを盛り込む。同法について、「国民の『知る権利』を保障するためのもの」であるとの理念も明記する。

 12月28日の閣議で、首相が改正法案の取りまとめの指示をしたことと、内閣官房に準備室が設置されたとのこと。準備室って、もっと前から実質はあったんじゃないかなと思いつつ、ともかく法案提出に向けた意思表示がされたことは、既定路線とはいえ良かった。

 ただ、改正案の内容として記事にある内容は、ある意味行政透明化検討チームで決着済みで動かないだろうなと思われるもので、かなり肝心な未決着部分は出ていない。何と言いますか改正法案は出すぞという意思表示以外の何物でもないリリースなのかなと。

 行政透明化検討チームの改正内容のとりまとめは、あまり正しく世の中で理解されていない感じなのですが、あれはチームとしての取りまとめではなく、行政刷新担当大臣としての方針のとりまとめであります。だから、大臣の指示を差し置いて、決着事項をひっくり返すことは本当はあってはならないことであります。なので、どちらかというと、未決着事項の方が実は法案化にあたってのポイントでありまして、いまだ出せる段階ではないということなのでしょうかね。

 行政透明化検討チームとりまとめ
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/joho-kokai/pdf/fin/fin_docu_04-01.pdf
 
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by clearinghouse | 2011-01-04 23:29