情報公開法改正法案が4月22日に閣議決定され、国会に提出されました。

 法案は、内閣官房のHP ↓ に載ってます。

 http://www.cas.go.jp/jp/houan/index.html

 何とも微妙なものがいくつもか・・・。ちょっと困りました。だからだめというものではないですけど。

 行政透明化検討チームの取りまとめ、3月中に与党に説明されていたものからの大きな違いがいくつかあります。

 一つは、不開示規定(5条)で、「ただし、当該開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合に該当する時はこの限りでない」と、開示義務の例外について規定を設けたこと。請求権との関係だと、刑事確定訴訟記録法4条2項3号で、閲覧請求に対する拒否事由として規定があるのと、政治資金規正法19条の16第5項で、小額領収書等の写しの開示請求に対する拒否事由として規定があります。情報公開法にだけというものではないのではありますが、ずっと、情報公開法に関していえば一般法理により権利濫用については対応してきたところで、非常に違和感がある。

 権利の濫用に関しては、行政透明化検討チームでもガイドラインを設けて対応するという議論があったので、改正法案の規定に加えて法施行までにガイドラインを定めることになると思います。そのガイドラインがどういうものになるのかは、政治資金規正法の、公序良俗等に反する場合についての指針を見ると参考にされると困るような内容も。

「少額領収書等の写しの開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合の具体的な指針」
http://www.soumu.go.jp/main_content/000095415.pdf

 政治資金規正法の指針では、公序良俗に反する場合として認められるものは、
「開示請求の態様や開示請求に応じた場合の行政機関又は国会議員関係政治団体の業務への支障並びに国民一般の被る不利益を勘案し、当該開示請求が、政治資金規正法で設けられた少額領収書等の写しの開示制度の本来の目的を著しく逸脱し、社会通念上妥当と認められる範囲を超える場合」

となっています。当たり前のことと思う人もいると思いますが、その一方で開示制度の目的の著しい逸脱や社会通念上の妥当性を超える範囲などという言葉は、制度運用者である行政に対して対抗的、あるいは社会的にはマイノリティになりがちな情報公開請求者という立場を考えると、何とも微妙なかおりがします。

 また、政治資金規正法の指針は、その実効性確保のために以下のような一文が書かれています。
 開示請求時において、少額領収書等の写しの開示請求の目的を開示請求者から確認し、当該開示請求の目的が「少額領収書等の写しの開示請求が権利の濫用又は公の秩序若しくは善良の風俗に反すると認められる場合の具体的な指針」(以下「具体的な指針」という。)に該当するかどうかを判断すること。
 
 政治資金規正法の該当規定は、何人も請求ができること、開示義務を定め拒否事由を例外として定めていること、請求目的を問うとはしていないのですが、公序良俗に反するかどうかを確認するために、目的を請求者から確認することが適当としています。同じことを情報公開法でもするとなると、かなり本末転倒な・・・。少なくとも、政治資金規正法のこの指針とは異なるものを作るとすると、同じフレームの開示請求権制度で異なる方針・運用ということが許容されるのか、それとも先例に従うということになるのか、ここはかなり重大な問題です。

 もう一つの改正法案の大きな変更は、訴訟手続のインカメラ審理に関する規定である24条2項で、「国の防衛若しくは外交上の利益又は公共の安全と秩序の維持に重大な支障を及ぼす場合その他の国の重大な利益を害するとき」は、インカメラ審理を拒むことができると規定された点です。

 不開示規定である5条3号、4号の外交防衛情報や、公共の安全と秩序の維持に関する情報の規定は、行政裁量の余地の大きな規定が維持されることになったので、その部分をインカメラ審理で実質審理を訴訟でできるようにして欲しいところですが、不開示規定+訴訟手続という二つの段階で行政の裁量的判断が残ってしまいました。結果、訴訟でのインカメラ審理は、原告・被告の同意を得て裁判所が行うことになりますので、被告が前記理由に該当するとしてインカメラ審理を拒否した場合は、それ以上打つ手なし。仮に、対象文書の一部を前記理由で拒否する場合は、運用次第ではそれを原告側が飲まないと、他の文書のインカメラ審理も行えない、何てことになりかねないですね。

 他にもいろんなことがありますが、大きな変更点というか、重大事項はこの2点かなと思います。

 そして、個人的に今、現実的に実現可能性があるのかどうかと考えているのは、改正法の施行時期。改正法は施行時期は公布から2年以内となっています。訴訟手続にインカメラ審理が入ったりするので、準備にそれなりに時間がかかるということはわからなくもない。でも、不開示規定などは、審査基準さえできれば本当はもっと先にその部分は施行できるはず。より限定的になった不開示規定が成立しているにもかかわらず、他の部分にお付き合いして公布後2年近く施行されないなんて、請求する側からするとたまったものではない。

 そもそも、国会での審議がいつは入れるかなど、法案成立の見通しがまったくない中で、施行のことを考えるのは先走りすぎかもしれないのですが、不開示規定の前倒し施行は何とかならないのかと、つれづれに考えているところです。
 
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by clearinghouse | 2011-04-23 08:20

 福島第一原発の深刻な事故、それより事故という言葉で表現するのが不適当な事態に進行しているので何と表してよいやらと思う事態ですが、報道や政府、東電の発表など、マスで流れてくる情報に違和感ありまくりです。放射能、放射線、放射性物質という言葉があまり違いを認識させない形で用いられていたり、パニックや不安をいたずらにあおらないという「思惑」からの説明は、皆さんおとなになりましょうと思考停止をさせる刷り込みをされているようで、とても気持ちが悪い。

 あんまりにも気持ちが悪いので、もろもろの資料を保存して整理すると何が見えるかと思って、ちょっとずつ作業を始めました。それもこれも、今回の深刻な事態は、情報公開の本質をあぶりだしていると思うからであります。端的に言ってしまえば、平常時から政府にとってリスクとなりうる情報や、市民にとってリスクとなりうる情報、様々な見解の相違のある情報を公開していなければ、非常事態でもそういう情報と政府も市民もうまく付き合うことも、向き合うこともできないということ。予測や、将来のリスク、想定されているリスクが何でそれに対してどのような準備がされているのかといった情報もです。自戒の念をこめて、コントロールされた情報公開は情報公開セ制度上やむを得ないのですが、その制度を動かす政府の信頼性を上げることに力を尽くさずに、制度の運用で何とかしようと狭いところに力が向きすぎていた結果のツケを払わされている気がします。

 この間、もっとも政府をはじめとして情報の出方としてよくないのは、問題が起こるとそれが発表され、起こったことの説明しかされないこと。最初に水素爆発があって建屋の上部が吹っ飛んだとき、使用済み核燃料プールが吹っ飛んだ建屋の上部にあることも、そこが冷却されていないので問題が起こりうることは、私は知らなかったよ。メディアで解説をするいわゆる「原子力村」の人々はみんな知っていたはずだろうに。

 冷却のためにどんどん海水を注入しているときも、その水はどこに行くのだろうと思っていたら、海に流れ出した。私でも想像できていた問題だから、その筋の人はみんなわかっていたのではないか。今、海への流出をとめているが、では外に流れ出ていた水は次はどこに流れていく、あるいは溜まっていくのだろうかという疑問が。もはやトラブルが発生してみないとわからないという事態なのでしょうか。

 炉や使用済み核燃料プールを冷やす努力が続けられていますが、放射性物質や放射線の拡散という意味では、もはやコントロールできていないわけですから、もっと風や海流の自然の流れでどういう拡散をする可能性があるのか、という情報を丁寧に出して行かないと、ある時突然農産物や海産物から放射性物質が検出されるということになるわけなのも目に見えている。

 もっと、統合して普通の人にわかるように情報を公開するべきだと思う。必要な情報、データが得られているのかどうかすら今のままだとわからない。政府がどの程度普通の人々が負うであろうリスクを把握しているのかもわからない。何かがあったとき、情報強者がリスク回避をして、普通の人々がリスクにさらされるような事態は絶対に避けられるべき。そのためにみんなで共有する情報の質が非常時には必要だと思う。その質を保証するのは、政府の振る舞いであったり、政府が開かれていて信頼される政府として市民に認識されているかだったりする。

 とブログを書いていたところで、また大きな地震。かなり長い。宮城県沖が震源とのことなので、いろいろ心配。
 
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by clearinghouse | 2011-04-07 23:41