7月22日に消費者委員会個人情報保護専門調査会での議論がいったん終了しました。以下の検討課題案について22日も議論が行われたので、現在、座長と座長代理預かりになって内容の最終調整が行われている段階です。

消費者委員会 個人情報保護専門調査会報告書(案)「個人情報保護法及びその運用に関する主な検討課題」
http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/kojin/doc/009_110726_shiryou1.pdf

 22日に各委員からも出ていましたが、内容を見ていただければわかるとおり、一般法である個人情報保護法に対し、「格別の措置」として個別に講じられるはずの「社会保障・税」番号法の検討が進められているので、その個別法を見て、一般法も検討しましょうという内容になってしまっています。本来であれば、一般法で個人情報保護とはどうあるべきか、また一般法を運用していく上での必要な機能、役割をどうして行くのか、そうした機能を持った上で、個別法の制定や運用に対してどうチェック機能を働かせるか、という議論をすべきところですが、そういう方向にはならないのは、この国の政策形成のプロセスにいろいろ問題意識を持たざるを得ないところです。

 いわゆる番号制の議論も重要ですが、ここでは個人情報保護制度について別の観点から持っている問題意識を残しておきたいと思います。

 それは、違法な個人情報の取扱いをしている事業者に対し、誰も何もしていないという事実をどうとらえるべきかということです。個人情報保護法施行を前に、私たちは住民基本台帳のいわゆる大量閲覧制度を何とかしようといろいろ活動をしていました。各地で市民が調査をしたり、自治体や議会に働きかけることなどを進めていましたが、実際の住基台帳の大量閲覧制度の使われ方を調査していくうちに、住民情報の買い取り、販売を堂々とHPでうたっている業者を発見しました。

 もともと、大量閲覧制度を通じて入手した住民情報を売買することはもちろんのこと、閲覧時点で申告していた目的外に利用することも、住民基本台帳法に違反をしていますが、売買そのものに対する自治体や国の権限は法に規定がなく、罰則の適用も基本的には出来ないということで手出しができない状況でした。

 個人情報保護法が施行された後、明らかに不適法な方法で個人情報を取得し利用している事業者ですから、こういう事業者に対してどういう対応をするのか、一応「主務大臣」と思われるところに連絡をして様子を見てみることにしました。いわゆる「名簿屋」なので、経済産業省にまずは電話をしたところ、電話に出た担当者は、強行に住民基本台帳の情報であれば、経済産業省は関係ないから対応しない、総務省が所管だと言い張りました。私としては、住基台帳法は総務省管轄だけど、名簿屋は違うだろう、住基台帳法には総務省の権限はかかれていないし、一般的には個人情報保護法の主務大臣は総務大臣ではないだろうと食い下がりましたが、結局は総務省だの一点張りだったので、では総務省に電話しますからといったん電話を切りました。

 その後、すぐに総務省の所管に電話をして、経産省がこういうことを言っている、私は違うと思うんだけど、と事情を話したところ、一応権限的にまったくないといえるか確認してみますとのお返事。また、事業者名を告げてネット上で確認してもらったところ、「本当ですね。これはまずいですね」とのことで、所内で確認して折り返してもらうことになりました。すぐに連絡が来て、住基台帳法は無理、個人情報保護法の主務大臣として事業者対応もやはり無理との返事があり、そうですよねと伝えて、担当者の名前を確認して電話を切り、すぐに経産省に電話をしました。

 そうしたところ、再び同じ担当者が出て、総務省違うといっていますよ、〇〇さんという人がこういう対応をして確認をしました、それでも総務省ということであれば直接話しをしてくださいと伝えて一応総務省には連絡をとった模様。でも、その後でも経産省ではないと言い張るので、私から、そうであれば所管不明ということなら内閣府に確認しますから、と伝えて次は内閣府に電話。個人情報保護法の担当にこういう経緯で電話をしたんですけど・・・、と伝えたところ、折り返しますとのお返事。間もなく電話があって、名簿業者は経産相省の所管ですということで、また経産省に電話をして、内閣府こう言ってますと伝えて、それでも納得しない担当者と私が電話口でもみ合っていたところ、上司らしき人が出てきてやっとまともに話が通じて本題に入れました。

 普通はここまででめげるよなと思いつつ、事業者名からネット情報を確認してもらい、どういう状況かはやっとこさわかってもらったのでありました。で、ここからが本題で、こういう明らかに違法な個人情報の取得をしている事業者に対して、私自身の個人情報が取得されているかどうかが不明なので個人として権利行使が困難だが、主務大臣としてどういうことができますか?と聞いたところ、最終的は返事は何もできることはないということでした。何だその返事は、と思いつつ、明らかに違法な事業内容を広報している事業者に対して、その真偽も確かめず、利用についての説明・釈明も求めず、早々に何もしないという意思表明だけははっきりとしたのでありました。

 今、この事業者はまだ住基台帳の大量閲覧で取得した個人情報を売買しています。HPによると、販売については、
地域(市区町村)と生まれ年・人数、住民票リストの場合は調査年をご連絡ください。また、リストの見本もお送りください。データの場合はメール添付で、紙の一覧の場合はFAXでお送りください。いずれも数件で結構です。

とあり、買取については
地域(市区町村)と生まれ年・人数、住民票リストの場合は調査年をご連絡ください。また、リストの見本もお送りください。データの場合はメール添付で、紙の一覧の場合はFAXでお送りください。いずれも数件で結構です。

と説明を掲載しています。料金表は2009年4月からのものなので、今はどうかは確認が難しいですが、個人情報保護法施行後もずっと売買を継続していたことになります。

 この事業者だけでなく、今でも携帯電話番号から住所を調査しますなどのDMがいろんなところに送られていたり、DV被害者で住民票を動かさずに移転をしているのに、やむを得ず携帯電話を作るために現住地を契約時に提示した直後に、夫から居所を発見されたことがあったりと、怪しげで危険な話はいろいろあります。携帯電話の件は、携帯事業者に苦情を言ったものの、相手にされずに調査もされなかったです。

 こういう事業者に対しては、今は何もしない、苦情の持って行先がない、持っていっても機能しない、どうしたらこういう事業者に対して対応できるのかという智恵も出されないという状況は、放置しておくのが本当に良いのかという疑問があります。むしろ、こうした問題に真摯に向き合えないならば、消費者庁が個人情報保護法を所管している意味があるのだろうかということを考えてしまいます。
 
by clearinghouse | 2011-08-02 23:43