10月29日の毎日新聞に、原発事故に関連して、東電が私企業であることによる情報公開の限界について、まとまった記事が掲載されています。私の談話も掲載していただきました。


「原発事故:情報開示、私企業の壁に阻まれ 法の対象外で「サービス」に」(2011.10.29 毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/archive/news/2011/10/29/20111029ddm012040150000c.html

「原発事故:情報開示、私企業の壁に阻まれ NPO法人・三木由希子理事長の話」(2011.10.29 毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111029ddm012040162000c.html
by clearinghouse | 2011-10-31 23:06

 国立公文書館にいわゆる「法人文書」の情報公開請求をしてみた。「法人文書」とは、行政機関でいう「行政文書」と同じようなもので、組織運営・業務にかかる文書のこと。

 契約文書の情報公開請求をしていたので、契約書が一部公開されました。決定通知で「社判等当該法人の利益を害するおそれのある部分を不開示とした」と書いてあったので、印影が非公開になったのだろうと思っていたら、実際に部分公開された文書を見てびっくり。印影だけでなく、株式会社の代表取締役の氏名も非公開になってきました。

 いやはや、びっくりした。

 法人に関する情報は一定の場合に非公開にできることができて、印影についても、私の経験則からすると法人情報として非公開とするところと、非公開としない行政機関があったりします。不服申立ての「答申」というレベルでは、非公開妥当というのが定着しています。が、法人の代表者は、公開しても法人等の正当な利益を害するものにはならないと判断されることが一般的。

 情報公開・個人情報保護審査会の答申でも、「代表取締役」で検索すると平成14年度の答申から、↓のような答申が出てきて、代表取締役については公開の判断を出しています。もっと丁寧に探せば、もっと前に同じような判断が出ているのではないかと思います。

 http://www8.cao.go.jp/jyouhou/tousin/008-h14/400.pdf

 上記答申を引用すると、
 法人の名称,住所及び代表取締役の氏名の部分については,官公庁に対して提出する書面等に一般的に記述される事項であるから,これらを公にしても,法人等の正当な利益を害するおそれがあるものとは認められず,法5条2号イに該当しない。

という判断。なので、何で法人の代表者を非公開と数r判断を国立公文書館がしているのかなととても不思議なわけで。

 何よりも困るのは、特定歴史公文書等の利用制限の判断で、同じような怪しげな解釈をしているとすると、それはとっても問題。国立公文書館の解釈運用の力量について、歴史文書としての特殊性を加味した判断という面ではなく、もっと前段階の部分に疑問を持ってしまいました。これじゃ、特定歴史公文書等の利用制限の判断は、行政機関の言いなりだわね。

 こういう小さい非公開決定はあまり争わないのですが、このままだととても良くないと思いますので、不服申立てをしようと思います。審査会の答申は、過去の答申を踏襲すれば、公開ということだと思う。でも、誰かが争わないと、国立公文書館は、ずっとこの先もこれを非公開にするし、特定歴史公文書等の利用制限でも同じことが起こってしまうのはよくないし・・・
 
by clearinghouse | 2011-10-28 22:00

 東京電力が衆院科学技術・イノベーション推進特別委員会には大部分を黒塗りで提出していた福島第一原発の第一原子炉の運転操作手順書が一転、ほぼ全部公開となりました。東電は、核物質防護や知的所有権などを理由に大部分を非公開としていましたが、原子力安全・保安院に手順書を提出し、その保安院が大部分は公開可能と判断して今回の公表となりました。東電は、いまだ不開示が必要との立場は変えていないものの、保安院は公益上のメリットが大きいと判断した結果ということのようです。

 この話を見ていて考えていたことがいくつかあります。当初、国会に大部分を黒塗りで提出した、その後保安院が手順書の提出を東電から受けたという報道を見ていて、単純に、手順書って国は東電からこれまで提出を受けていなかったんだ、ということでした。原発事故に関しては検証を政府内でも進め、これから国会でも進めていますが、そもそも事故に関連して必要な情報を政府は十分に取得できているのか、という私のかねてからの疑問は、そんなに外れていなかったんだ、ということを認識しました。

 今回、手順書が公表されるにいたり、情報公開法との関係を考えざるを得ませんでした。というのも、今回は請求手続を踏まずに、保安院が公益上の裁量的な公開を行ったという構図になると思います。が、今は事故が既に起こってしまったという非常時だから、という側面が否めません。公開されたことで手順書が事故対応としては不十分であったことが報道されたりしていますが、手順書の問題は、福島第一原発の問題だけではないということにも思いをいたさないわけには行きません。

 保安院が取得をしていないと、東電をはじめ、電力会社が持っている情報になります。でも、保安院はそもそもこの手順書を電力会社から提出させて、その内容の点検をすべきであろうと思います。仮にそれをするとすると、保安院は福島第一原発以外の原発の手順書は同様に公開できるのでしょうか。手順書は、福島第一原発の分がわかったということで終わるようなはないではなく、すべての原発に等しく求められる話であることを忘れてはいけないと思います。そして、情報公開はその中でもなされるべきではないかと思うのです。

 そして、もう一つ考えずにいられないのが、次の通常国会に提出が予定されている、秘密保全法案との関係です。「秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議」の報告書などを見ると、秘密の範囲は①国の安全、②外交、③公共の安全と秩序の維持です。核物質防護という理由で原発を見ると、①と③にあたる可能性があります。秘密にあたる場合の要件付けは、自衛隊法を参考にするようなのでで、「特に秘匿することが必要である場合」という要件になったり、あるいは「その漏えいにより国の重大な利益を害するおそれがある場合」という要件になるようです。

 電力会社がこの法制の直接の適用になることはないようですが、おそらく今後、原発関係の情報も一定範囲でこの秘密保全の仕組みに入っていくことになるのではないかと思います。今は、事故が起こってしまった、という非常事態の中で、これまでのような情報非公開を連発することがもはや国内的にも国際的にも許されない状況が、情報公開を進めている側面はあります。が、事故は起これば、ということであっては困るわけで、実際に原発関係がどういう形で秘密保全の中に入っていくのかは、非常に気になります。

 というわけで、非常時だから何とか情報公開がされているということがいまだと思うので、むしろ事故が起こってしまったらではなく、事故にならないために情報公開を進めていくべきといく方向に、今のうちに流れを作っておかないといけないのではないかと考えているところです。


秘密保全関係の資料は以下から。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060111014&Mode=0

<東京電力>原発黒塗りなし手順書公表 「メリット大きい」(毎日新聞 2011.10.25)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111025-00000001-maiall-soci

福島原発 黒塗りなし手順書公開 東電、想定甘さ露呈(毎日新聞 2011.10.25)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111025-00000091-san-soci
by clearinghouse | 2011-10-26 01:31

 原子力安全・保安院の情報公開請求窓口を調べていてHPを見ていたら、「情報公開」の案内がまったくないことに気づいた。サイト内検索をすると、出先機関の窓口しか引っかからない。そういえば経済産業省の窓口がぶら下がっている行政機関の窓口も兼ねていたような、という記憶だよりに経産省のHPに行ったら、やっぱりそうでした。

 経産省にぶら下がっている資源エネルギー庁、原子力安全・保安院、中小企業庁はいずれも経産省の情報公開窓口が本庁分の窓口になっているのですが、この3庁のうち、エネ庁だけかろうじて情報公開手続の経産省HPへのリンクを発見しました。しかし、他の2庁はリンクすらなし。もちろん、手続などの情報も発見できず。この2庁にも情報公開請求ができますよ、という情報はHPからは得られませんでした。私の探し方が悪いのでしょうか。

 経産省が窓口だからと言えばそれまでですが、この3庁についても、経産大臣ではなくそれぞれの長官宛に情報公開請求するわけで・・・。せめて、情報公開について案内くらいHPにのせて置けないものかと思いますよ。経産省が窓口と気づかないと、情報公開手続が発見できないわけで、そうすると情報公開できないかのように思われても仕方がないのでは?

 というわけで、タイミングの問題でもありますが、原発事故を受けて情報公開に対する姿勢が疑われている原子力安全・保安院はこういう状況ですか、と何となくぼやきたくなるのであります。
by clearinghouse | 2011-10-22 22:37

 秘密保全法案を次期通常国会に提出する方針を、10月7日の情報保全に関する検討委員会で決めたとの報道があったのがその当日のこと。

 秘密保全法案提出へ 公務員の情報漏洩、罰則強化 (日経新聞 2011年10月7日)

 私が見たところでは、上記の日経新聞の記事が一番詳しかった。

 その秘密保全法案について、意見募集が始まっていました。

「秘密保全に関する法制に係る意見募集について(平成23年10月14日) 」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060111014&Mode=0

 この間、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議と情報保全システムに関する有識者会議でいろいろ検討され、それを受けて内閣官房長官を委員長に関係機関で構成された政府における情報保全に関する検討委員会が法案化という方向性を決めています。有識者会議は、いずれも検討資料がちょっとしかweb上で公開されていない。仕方がないので以前に情報公開請求をして、一部非公開となりましたがそれなりに公開もされました。意見募集がはじまったので、近くクリアリングハウスのweb上で提供をしたいと思います。

 おいおい、意見募集されている内容について、整理してここにもエントリーをあげようと思います。

 また、意見募集には間に合わないのですが、今のところ12月11日(日)に学習会を予定しています。いろんな意味でいろんなことが変わっていますが、それが正しいベクトルの方向に動いているのか、とりわけ、信頼できない政府ままにこういう制度が入っていくとすると、それはそれで大きな問題なわけで。この国の政治は何に向かっていくのか、いろんなことに違和感がある、良いところもあるが良くないところもあるということでは片付けられない何かがあるような気がします。何だかまだうまく言語化ができないのですが。
by clearinghouse | 2011-10-18 22:39

 原発の情報公開について、少しお話させてもらうことになりました。少人数の会ということなので、関心のある方は問合せてみてください。

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  私から未来をつくる、アドボカシーカフェ 第3回
 「必要な情報はなぜ公開されないのか‐30年前に話していた原発の情報公開-」 
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            http://socialjustice.jp/p/archives/563

■日 時:10月19日(水) 18:30~21:30(18:00開場)
■テーマ:「必要な情報はなぜ公開されないのか‐30年前に話していた原発の情報公開-」
■ゲスト:三木由希子さん(情報公開クリアリングハウス 理事長)
     伴英幸さん (原子力資料情報室 事務局長)
■司 会:黒田かをりさん (ソーシャル・ジャスティス基金運営委員、CSOネットワーク事務局長)
■場 所:新宿ASKビル4階会議室 (新宿区歌舞伎町2-19-13) http://ht.ly/5Ahy2
      大江戸線・副都心線 東新宿駅 徒歩3分
■資料代:500円

※少人数の会(30名限定)になりますので、ご関心のある方はお早目のお申し込みをお願いいたします。(当日の模様はストリーミング中継をする予定です)

■主 催:ソーシャル・ジャスティス基金
■概要
 今回の原発事故にさかのぼる30年前、私たちの仲間が情報公開法を作る運動を行っている際に、すでに高木仁三郎氏などと原発における情報公開の議論は行われていました。そして情報公開8原則の4番目には、原発事故を想定した内容も入っていたのです。
 しかし、本当に必要になった時にこの時の議論は生かされることがなく、未だに隠ぺい体質から脱却できていないことが、今回はっきりしてしまいました。
 第3回アドボカシーカフェでは、原発という視点から、情報公開の問題で、私たちのできることすべきことについてゲストを交えて議論します。

⇒お申し込みはこちらからお願いいたします
 http://socialjustice.jp/201110.html

※アドボカシーカフェでは いまの社会問題をテーマにして、その課題を解決しようと努力している方たちと「ゆるやかな対話」を行い、私たち自身がその問題にどう関わっているのか、どう変えていけるのかを考えます。社会との関わりが変わり、社会も変わっていく新しい可能性の場です。普通の人が創る、「これからの社会正義の試み」でもあります。
by clearinghouse | 2011-10-15 11:43

 事務所を移転し、前の事務所から持ってきた大量の資料の整理をしています。30年前の文書もけっこうあったりで、もはや歴史文書。そうそう廃棄はできません。それでも、紙媒体で保存するもの、電子媒体のみとするものなどを選別したり、書籍類や雑誌類などで廃棄できるものを整理して、資料の分量を圧縮するために、存在すら忘れていたり、私自身見た覚えのない大昔の資料に悪戦苦闘しています。10年位前に一度整理をしたのですが、それでも今回はじめてみたようなファイルも出てきて、今までどこに・・・と思うばかり。新聞記事や昔の質の悪い紙などは劣化が始まっており、新聞記事は30年も前となると、保管条件も良くないので、崩壊しそうな状態のものも出てきます。

 もはやお宝に近い域に入っているのではないかと思うものが見つかるので、少しそういう資料を紹介します。

 今回は、1982年に日本で最初の情報公開条例を制定した山形県金山町の資料を今回はじめて見つけたので、それを紹介。

 B4サイズの資料で、ファイルのタイトルは「所持及び保管公文書調査一覧表」。なぜ、事務所にあるのか不明。初期から関わっている人に聞くとわかるかもしれませんが。

 内容は、課・係ごとに事務の類別、種別(綴)、件名(事業名)、件数、保存期間、公開、非公開(全部非公開、部分非公開、時限)、備考で一覧表になっています。私たちは、こういう資料から、自治体の仕事の仕方などを垣間見るのであります。なかなか興味深いです。

 ちなみに、情報公開条例の所管は企画課で、関連する文書綴は以下のもの。

 情報公開セミナーの開催について(3年保存 公開)
 金山町公文書公開条例の3月定例議会への提案について(伺)(永久保存、公開)
 金山町情報公開条例検討委員会設置にともなう要綱の設定について(伺)(永久保存 公開)
 
 当の金山町で、この文書どうなっているのでしょうか。調査一覧には、もちろん調査結果に該当するこの文書は含まれていないので保存年限は不明。ざっと見る限り、文書管理台帳や文書収受簿に該当するようなファイルは見当たらず。

 初めての情報公開条例の施行準備の一端を示す文書なので、大事に保管をしておこうと思います。
 
by clearinghouse | 2011-10-14 00:53

事務所 移転しました

 クリアリングハウスの事務所を移転しました。この週末に一気に移転作業を行い、理事を含めて可能な範囲で作業に手伝いにきてくれた人が結構いて、何とか移動は完了。人のいられる場所も無事確保。皆さまへの通知・連絡はこれからですが、下記住所に変更しました。電話、FAXは変更なし。これまで四谷三丁目駅が最寄でしたが、四ッ谷駅から徒歩6分の場所です。玄関から外を見ると、目の前をさえぎる建物がないので、防衛省が目線の先に入ってきます。

 新住所  〒160-0008 新宿区三栄町16-4 芝本マンション403号

 移転してもなかなか捨てられない資料を、今週後半に予定していた「夏休み」を利用して整理することになりそう。結局、夏休みと言っても、2年に一度くらいはこんな感じでとても夏休みなんていえたものではないのが悲しい・・・。資料整理だけでなく、その他もろもろためてしまった仕事を一気に処理しなければならないし、8月末から引っ張って治らない風邪も治さないと。

 ただ、新しい事務所は、前より少し広いのですが、それ以上に間取りが使いやすいかなという感じで、やっと人が集まれる事務所になりそうです。当面は、冷蔵庫にビールでも常備しておこうかと。
 
by clearinghouse | 2011-10-03 23:44