原子力災害対策本部出議事録が作成されていない問題が、クローズアップされています。発端はNHKの報道。NHKが情報公開請求をしたところ、不存在となったというのが1月22日のニュース。それを受けて、23日の午前の官房長官会見でこの問題について、官房長官が記者の質問に答える形で答えています(下の方に、会見内容を起こしたものを貼り付けてあります)。

 ただこの問題、12月に毎日新聞が報道しています。さらにさかのぼると、5月11日の当時の官房長官の会見でも、長官が議事録未作成を認めています。そして、3月31日の日経新聞では、枝野官房長官が、福島原発事故対策統合本部の議事 録は作成していないと答えたと報じています。

 今になって、原子力災害対策本部については、ようやく公文書管理法上違法状態であることを官房長官が認めました。ただ、原子力災害対策本部より組織としての立場がはっきりしない政府・東電統合対策本部→対策室については、公文書管理法に基づいて記録の作成を行うということは、今回の官房長官会見でも言明していない。一歩前進であるものの、政府にどのようなアカウンタビリティがあるのか、という根本的なことを割っているとはとても思えません。

 そもそも、政府の活動を裏付ける客観的な記録や資料は、「これから作ります」と言われても、何に基づいて作るのか、ということも明らかにして進めないと、「情報操作」された記録が残されて、その活動の全体像が造られてしまう可能性もあります。そして、何よりも、この間の原発事故対応について政府がきめてきたこと、発表してきたことについては、そのプロセスが検証できない状態でいる。それは、自分たちを信じてください、信頼してくださいと政府は言うものの、それは自分たちがわかっているから大丈夫で、それは市民による検証は必要ないと言っているに等しいです。そういう目線であることを自ら示しているということを自覚して欲しいと思います。原発事故直後はまだしも、10ヶ月たってもまだこの状態、ということは、私たちも反省をしなければならないと思いますけど・・・


政府の原災本部 議事録を作らず(NHK 2012.1.22)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120122/k10015450241000.html

官房長官 原発議事録の作成を(NHK 2012.1.23)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120123/t10015463821000.html

原子力災害対策本部 議事録全く作成せず(東京新聞 2012.1.23)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012012302000167.html

原発事故の議事録を可能な限り復元 藤村氏が調査を表明(産経新聞 2012.1.23)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120123/plc12012320000016-n1.htm

政府の原子力災害対策本部、一度も議事録作らず(読売新聞 2012.1.23)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120123-OYT1T01231.htm

〇官房長官記者会見(2012.1.23)
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5732.html

9分10秒辺りから 質問者は共同通信の記者

【質問】原子力災害対策本部の議事録作成問題についての事実関係。
【長官】報道されていることは承知。今、原子力災害対策本部を中心に担当する内閣府、原子力安全・保安院等においてどういうことになっているか、われわれも問い合せ、検討してもらっている段階。確たることはわかっていない。
【質問】作成主体はどこ?
【長官】公文書管理法の下で、行政機関における意思決定やそれに至る過程などを合理的に実証できるように文書を作成する義務があるということなので、この場合だと、原子力災害対策本部が機関としてあるが、その中にそれぞれ関係機関として保安院とか、原子力安全委員会とかがあるので、それがどういう状況であるのかを問い合わせているところ。

〇12分4秒辺りから 質問者不明

【質問】菅政権当時の初期のときに、官邸での重要な決定や東電への指示が議事録として残されていないことが問題になっているが、当時のことをどういうふうに引き継いでいるのか、及び現政権としてはどのような記録を残しているという認識なのか?
【長官】これは、基本的には公文書管理法に基づいてやるべきことだと思うので、昨年3月にさかのぼってどういうふうにやれるのか、きちんと追求しなければいけないと思う。
【質問】現政権になってからはきちんとやっているということなのか?
【長官】そういう理解でいたが、それも今調べているところ。

 
by clearinghouse | 2012-01-23 23:35

 関西電力大飯原発3、4号機のストレステストの審査結果案を原子力保安院が妥当と判断し、その審査結果について専門家の意見を聞く会を行い、原発再稼働に向けた準備が着々進んでいるというニュースが流れています。そのこと以上に、その傍聴を求める市民団体ともみ合ったことのニュースが目につき、目先がすり替えるような錯覚を覚えます。

 私は原発についてはまったくの素人だから難しいことはわからないので、ストレステストは過酷事故など通常と異なる負荷にどの程度耐えうるかを評価するものと大雑把に理解。こういうものは、原発がある現実を踏まえれば、必要なんだろうとは思います。でも、再稼働の条件としてこの評価がお墨付きとなっていくのは、福島第一原発の事故が起こってしまった今となっては、ちょっと違うのではないか?と思うのです。

 というのも、原発の安全性といった時に、いかに安全かとか、いかに付加に耐えるかということを評価しても、それは、これまでの構造の再生産をするだけなのではないかと思うから。原発をめぐる情報公開の基本は、安全性を強調し、安全性を補強するためのものだった。ストレステストは、その延長にあるものなのではないかと思います。その結果、問題が起こったときに何をどうするかということの備えが不十分過ぎたことが、今回の過酷事故につながったという側面があるといわれています。

 少し前に、東電が国会に事故時運転操作書を多くを黒塗りの状態で提出し、その後東電から保安院経由でほぼ全部公開の状態で操作書が世に出ましたが、それも福島第一原発の1~3号機の分のみ。ほかの原発はどうなっているのかと思って情報公開請求をした結果は、以下のような不存在決定。少なくとも保安院は、福島第一原発の1~3号機の操作書は持っているけど、それ以外は持っていない=見ていない。

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 本来は、地域住民や自治体に理解を求めたいのであれば、ストレステストだけでなく、事故時運転操作書など有事の時の対応について、もっと情報公開すべきなのではないか。少なくとも、問題が発生しうることを前提に、その対応・対策のチェックを強化すべきなのではないか。また、事故についてどの程度を想定して操作手順書が作られているのか、それがどの程度現場や指示を出すレベルで理解され、実行可能な状態なのかなど、今回の事故を踏まえればやるべきことはもっとあるのではないかと思う。それに、誰がこういうものを合理的にチェックできるのか、ということもとても大事。
 
 政府の情報として何があって何がないか、何をしているが何をしていないのか。そういうところもちゃんとチェックをして、今回のことを教訓にすべきことをしているのかというのも見ていかないといけないとつくづく思います。
 
by clearinghouse | 2012-01-19 08:19

 情報公開請求の中でも、まとまって大量の情報を公開請求しないと意味がないことがあります。以前に、ある研究者から、5000枚を超えたら「大量請求」という考え方はどうか、ということを聞かれて、「それなら私も大量請求者ですよ」と、にこやかに否定させてもらったことがあります。情報公開請求をしていない人にとっての、請求対象文書の分量に対するリアリティは、こういうものなんだろうなと思ったものです。そして、この研究者の話は、何もなく出てきたものではなく、おそらく運用をしている行政機関側の薄っすらとした意向を受けてのものと思われる状況だったので、運用側の認識もそういうところにあるのかもしれないと思ったものです。

 最近私の行っている情報公開請求は、それこそ一請求で1万ページを超えると思われるものがあります。そういう請求をしていると、請求対象文書の特定などで請求先の行政機関から確認や調整の電話がかかってきます。そこで出てくるのは、「そういう請求だと、開示にかかる手数料(いわゆるコピー代)が、これこれで7万円くらい、これこれで7万円は少なくともかかりますよ」といった言葉。単純計算をすれば1万4千ページはありますよということです。

 本当に全部必要なのかという趣旨の電話であったりしますが、電話を受けている請求者方は、「こんなにお金がかかるんだから、請求対象はもっと絞れないの?」と言われているように聞こえます。要は、お金がかかることが、請求対象文書を減らすための交渉材料にされている気がするのです。

 今回は、こちらも腹をくくっているので「費用がかかっても構いません」(一度は言ってみたかった!)と返事をすると、話はここまでで終わるので、それ以上請求対象文書を減らすための連絡はなくなります。そして、請求をしてからしばらくすると、気づくと請求対象文書のHPでの公開が始まっていたりします。

 情報公開法改正法案が成立していれば、施行されていれば、という「たら、れば」と言っても仕方がないのですが、改正法案の大元になった行政透明化検討チームの「とりまとめ」では、開示実施手数料(コピー代)の減免も出来るようにする方向を出していました。だから、もし、これが今実現していれば、もっと原発事故関連の情報公開請求はしやすかっただろうに・・・。それに、お金がかかることを交渉材料かのように連絡がくることもなかっただろうに・・・
  
by clearinghouse | 2012-01-17 21:23

 情報公開制度にそれなりに長くかかわっていると、仕事の仕方と人と組織をまず理解しておさえる、ということが習性のようになってきます。なので、福島第一原発の事故についての情報公開を考えるときも、まずは、人、組織、文書の流れをある程度把握しようという発想で情報公開請求をしてしまいます。そこで、政府・東電統合対策本部(統合対策室)関係の職員の辞令(所属元のわかるものも含む)というものの情報公開請求を1か月以上前に行っていますが、年末にその開示決定期限を延長するとの通知が来ました。

 情報公開請求後のやり取りでは、辞令はない(統合本部・対策室には職員が配属されていないということ)、そこにいる人たちは、「手伝い」、別の言い方では「連絡要員」ということで、関係省庁から集まっているということでした。その職員の連絡先一覧のようなものが存在し、それで所属元がわかることを確認し、それを請求対象文書として特定してもらうということに電話はなっていましたので、すでにその時点で文書の特定がされていたことになります(12月上旬こと)。

 それにもかかわらず、決定期限が延長。たくさん開示請求が行われているため処理に時間がかかることと、不開示情報に該当するものがあるかどうか精査するため時間がかかる、というのがその理由。これ自体は、まあよくあるというか、ありがちな理由ではある。

 で、ある日の私と知人の会話。

私)統合本部の辞令関係の情報公開請求、文書も特定されているはずなのに決定期限が延長されちゃったんだよね。

知人)それって、戦犯リストだからじゃない?意外に、出してよいか、もめていたりして

2人)大爆笑

私)確かに、統合本部にいましたということ自体が後世に残されるって、末代までの不名誉情報になるかも(笑)

(知人)不名誉情報どころじゃないでしょう。あの時何してた?って子や孫に聞かれたら、言葉に詰まるかもね(笑)

 う~ん、シュールすぎる。なんだかしらないけど、そこはかとないリアリティが・・・・。本当にそうなら、笑えませんがな。
 
by clearinghouse | 2012-01-11 01:58

 遅ればせながら、今年もよろしくお願い申し上げます。

 SPEEDIに関連する情報公開請求をしたため、昨年末に文科省と若干のやり取りをする機会がありました。話を聞いていると、これまで世の中に出回っている情報との関係で何が何だか整理がつかなくなるような話なので、自分のためにもちょっと整理。

 そもそも、SPEEDIの運用はとても分かりにくい。原子力災害の場合の運用に関しては、以下の3つの計画や方針などがある模様。

・防災基本計画(平成17年7月 中央防災会議)
 http://www.bousai.go.jp/keikaku/050726_basic_plan.pdf

・「原子力施設等の防災対策について(防災指針)」(原子力安全委員会)
 http://www.nsc.go.jp/anzen/sonota/houkoku/bousai220823.pdf

・「環境放射線モニタリング指針」(原子力安全委員会)
 http://www.nsc.go.jp/shinsajokyo/pdf/100327_kankyo_monita.pdf

 また、12月26日に出された「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の中間報告の257ページからも運用に関する説明があるので、これらを斜め読みしてちょっと勉強してみた。

 で、そのうえで文科省とのちょっとしたやり取りを振り返ってみた。説明だと、「防災基本計画」により10条をうけて1ベクレルの放射性物質の放出があったと仮定して、単位量放出についてのSPEEDIの予測結果が出されていて、それは関係機関に一斉送信されていたので、文科省にもそれが届いていたということ。これは、事故調査・検証委員会の報告と一緒。ただ、その結果はメールの添付ファイルで受信していたそう。

 SPEEDIは、専用の受信端末があるというような説明をあちこちで見かけていたのでなんで??と思って事故調査・検証委員会の中間報告を見ると、
「福島県庁及びオフサイトセンターへの送付については、3月11日に発生した地震により、SPEEDIの計算結果のデータを送付する回線が使用できなくなったため、SPEEDI予測結果が送付できない状況にあった。福島県庁においては、SPEEDIの受信端末は県庁庁舎に設置されていたが、地震により県庁の庁舎が被災し、そこでの活動が困難であたっため、受信端末自体も使用できない状況となった。そのため、原子力安全技術センターは、オフサイトセンターに対しては、衛星電話回線を使用して、3月11日以降に行われた単位量放出を仮定した計算結果の写しをFAXで送付した。他方、福島県庁においては、地震直後からインターネット解散が使用できたため、3月12日夜から、原子力安全技術センターから電子メールで前記のSPEEDI計算結果が送付された。」(259ページ注)

とある。福島県庁とオフサイトセンターは端末で結果を送付できませんでした、としかないので、霞が関は回線が生きていて受信端末が稼働していたと読める。でも、文科省は結果の受信について、メールで受けていたと私には説明をしました。端末で受けるという話はどこに行ったのか??というか、なぜ文科省は受信端末で受けずにメールの添付で受信しているのか?この受信端末とやらがわからないのと、通常どういう形での受信になるのかもわからないので、話がよくわからない。

 しかも、いつ受信したのかというデータは、担当が変わったのでメールの受信履歴はあるかどうかわからないんだそう。こういうデータって、一職員個人あてに送られるものなのでしょうか??担当者にあてて送られたとしても、結果を受け取る部署としてのアドレスにも送られるものなのではないかと思うけど、この辺の経緯もよくわからない。今、調べていますということだったので、何か出てくるかも。でも、いろいろ聞いても、電話をかけてくる職員は、文書を持っている原課でなかったりするので、よくわからないままだったりする。確認して連絡をもらうことになっているけど、いまだに私の頭の中はクエスチョンマークだらけ。

 しかも、この仮定の単位量によるSPEEDIの予測結果以外に文科省と原子力安全・保安院がそれぞれ独自に放出源情報を出して、SPEEDIの計算を行っている原子力安全技術センターに計算を依頼しているのですが、原子力安全・保安院が依頼して出た予測結果の一部が、文科省にも送られてきているとのこと。この保安院分の予測結果については、それを受信した記録が残っているよう。ただ、それは保安院が依頼して作成された図形が42あるというメモが見つかったという話でした。

 そして、原子力安全技術センターにSPEEDIの予測計算を文科省独自の放出源情報で依頼をしているのですが、その依頼内容は口頭で伝えたので、記録なしという説明も・・・。でも、文科省のHPを見ると、その放出源情報が公表されている。記録がないのに、どうしてHPに情報が出ている??

 ちなみに、経済産業省がSPEEDIの予測結果の受信について私に説明した内容は、SPEEDIの受信端末はあるが、それは何とかセンターというところにあって、文科省の職員しかその端末の操作ができないので、経産省の中にはあるが、経産省では情報が独自に確認できない、ということ。ちょっとちょっと!と思ったのでいくつか質問をしたところ、電話をかけてきた職員は情報公開窓口担当の職員で詳細が分からず、確認してまたかけます、ということでした。が、いまだに電話なし。どうなっているんでしょう??

 それで、私が聞いた話を丸めると、経産省はSPEEDIの結果を受信する専用端末はあるが、経産省の職員が操作できず、文科省から人が来て操作するので、経産省が管理しているものではない。一方の文科省は、予測結果は受信端末ではなくメールの添付ファイルで受け取っているので、受信端末があるかどうかも不明で、あったとしても端末での受信状況がわからない、といったところでしょうか。

 福島原発事故の情報公開請求をしていると、ほかにも話がくい違うことがいろいろ。こちらもそれなりに慎重に話をかみ砕いて呑み込むようにしていて、はなからごまかされないように気を付けていますが、それでもこの段になってまだ情報公開請求をすると要領を得ないのはどうしてでしょう?正直、情報公開請求をしていると、これまでなされた説明の数々は、やはり信用できないと思ってしまいます。事故調査・検証委員会の中間報告もどうなんでしょうね。

 とりあえず、これまで私が聞いたSPEEDIに関する説明について、何か知っている方は是非教えてください。
 
by clearinghouse | 2012-01-08 01:02