秘密保全法制有識者会議議事録未作成という理由で、情報公開請求をしたら不存在になったので、不服申立て中。すでに情報公開・個人情報保護審査会に諮問され、処分庁から理由説明書が送られていたので、意見を出しました。

 この間、官房長官会見で、議事録は作成していない、議事要旨の作成のもとになったメモも廃棄したということにされており、理由説明書はそれに沿ったもの。何だか、詰まれてしまった感じがあります。なので、意見書の内容はもはや皮肉(笑)

 でも、これくらい言っておかないと、という気分。構想・執筆全部で1時間というものなので、粗い作文になってしまいましたが・・・。不服申立て関係の他の資料は、以下に掲載。関心があったらご覧ください。

 秘密保全法制有識者会議議事録不存在の審査請求


理由説明書に対する意見書

 諮問番号「平成24年(行情)諮問第67号」に対する諮問庁の理由説明書に対し、以下の通り意見を申し述べます。

1 会議の非公開と議事録作成について

 諮問庁は、「秘密保全のための法制化の在り方に関する有識者会議」及び「情報保全システムの在り方に関する有識者会議」の各第1回で、有識者会議委員の率直な意見交換を確保するという観点から、会議については非公開とし、議論の経緯を記録するための文書として、会議終了後に議事要旨を作成し原則として公表すると取り決められたとしている。また、この取り決めは、議論の内容の記録・公表を発言者が特定されない形で行い、各委員が率直な意見交換を行うことが重要であると考えたためのものであり、その結果として、公表する議事概要以外は、議事経過を記録したものが作成されていないとしている。

 諸所の理由により会議を非公開で行うことと、議事録ないしそれに類するものを作成しないことは一体のものではなく、むしろ、非公開の会議であるからこそ議事録ないしそれに類するものを作成し、すぐの情報公開が難しいとしても、後世の検証と評価(委員個人に対する評価も含む)に付すことが本来は必要である。発言者名や詳細な議事内容を記録した議事録ないしそれに類するものが作成されていないということは、そもそも有識者会議の委員の発言は、後世の検証・評価に付されないことを前提とした無責任なものというほかならない。二つの有識者会議の委員が、会議非公開とするのみならず、自身の発言内容が未来永劫明らかにならない前提でしか発言できないという条件で重大な政策形成過程に関与しているとするならば、そもそも政策形成の妥当性そのものに重大な欠陥があるといわざるを得ない。また、そのような条件でしか委員を引き受けられないと各委員が認識しているとするならば、それはそもそも委員の委嘱を受けるに値しない人物ということになる。政府としても説明責任を果たしえない人材を政策形成に関与させたことになる。

 また、有識者会議において、議事録の作成を禁止したと議事要旨に記載がない。

 以上のことから、処分庁が重大な政策形成の欠陥を放置しているとは考えられず、また有識者会議の各委員もそもそも引き受けるに値しない人物が委嘱されているとも考えられず、議事録ないしそれに類するものは作成されているはずである。

2 処分庁職員の作成したメモの行政文書性について

 諮問庁は、処分庁の職員が作成した議事内容を記録したメモは、当該職員が議事要旨の案文を作成にあたって参照するために作成したものであり、当該職員が単独で使用しており、組織的に利用されている事実はないとする。

 しかしながら、職員は議事要旨を作成するという暗黙ないし明示の職務命令のもとで議事内容に関するメモを作成しているものである。その利用は、形式的には議事要旨作成を担う職員一人が用いるものであるとしても、それは単なる形式に過ぎず、議事要旨作成という職務の遂行上必要な範囲で用いられるものである。したがって、職員が一人で用いていたとしても、それは形式的にそうなっていただけであり、その内容は組織的に用いられるべきものである。

 また、会議を非公開で行っており、その議事内容については、一定の組織的管理が行われることを前提に、メモ等の作成が行われているはずである。そうしなければ、非公開で行われた会議の内容の管理が適切に行われないことになり、各職員の個人の裁量に委ねてその管理が行われることはありえない。

 以上のことから、処分庁の職員が作成した議事内容を記録したメモは、個人メモではなく、行政文書に該当する。

3 議事概要以外の記録の不可欠性について

 諮問庁は、議事要旨及びホームページで公表している資料、審査請求人の情報公開請求により公開したその余の資料により、議事経過は知ることができるとしている。

 しかしながら、秘密保全法制などのセンシティブな法制やシステムの構築に当たっては、何を選択して何を選択しなかったのかという取捨選択や、どのような背景のもとに発言が行われているのかという有識者会議の委員の発言内容、その位置付けが重要な意味を持つ。有識者会議の委員構成が、その報告書の信用性や権威を裏付けるものとして社会的に提示されることになるが、そもそも複数の委員が検討にかかわり、多様な意見が出された上でこのような報告書ができていることを示さなければ、報告書が出来たプロセスの説明としては極めて不十分である。そのため、すでに公開されている、あるいは情報公開請求により公開された行政文書だけでは、プロセスの一端を知ることはでき、それを追うことは可能ではあるが、肝心の多様な立場の意見の反映という経過を知ることはできない。資料等と誰が何を言ったのかを示す議事録ないしそれに類するものは、補完的な役割を担っているというべきである。

 以上のことから、議事要旨以外の議事内容を記録した議事録ないしそれに類するものは不可欠であり、作成されていなければならない。

                                                               以上
 
by clearinghouse | 2012-03-28 22:48

 3月19日の開催なのでだいぶ時間がたってしまいましたが、公文書管理委員会の傍聴に行ってきたので、その報告。相変わらず、まったく内容のない議事概要は公表されていいます。

 公文書管理委員会資料等
 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011.html

 以下は手元メモをもとにしたものです。

 東日本大震災・原発事故関係の議事録未作成問題の「原因分析案」というペーパーが配布されていましたが、それについて意見が様々。野口委員は、原因には組織面と制度面の問題が考えられるが、それぞれずいぶん違いがある。組織面では努力していたところがあれば、できていないところがあったので、原因を一般化するのではなくもう少し細やかに組織ごとに指摘してはどうかと発言。また、公文書管理法は平時の仕組みを想定し、非常時の想定なかったので、記録作成の席に態勢などの認識不足について、分析の中に出てくる必要があるのではないかという発言。

 加藤委員は、「原因分析」の資料の中にある「議事録・議事概要以外の形での記録を作成」という項目について特に意見。議事録以外での作成があるというが、歴史的に記録を残そうと思うと、発言者名があって内容が記録されていることがあるべきではないか。人間として記録を残そうとするということは、そういうものではないか。形だけで責任を軽減することの内容にするべきではないか。自治体では説明責任は記録を作るところにあると、震災対応等で記録を作っているところがあり、国では公文書管理法4条の規定があるが国の対応はどうなのか。もう少し、細やかに指摘する必要があるのではないかという発言。

 三宅委員は、法との関連を細かく分析の中でフォローしておいた方がよいのではないか。公文書管理法の施行がどういう意味を持っていたのか、これだけ(原因分析)では見えてこない。公文書は役所の中に流れる血液のようなものという指摘。石原委員からは、法が何を目指すのかというと、役所の仕事の在り方を変えるもの。なぜ記録を作成し残すのかは、業務の改革にある。その必要性を訴える必要があるのではないかとい指摘がありました。

 最後に御厨委員長から、原因分析はちょっと整理されすぎている。抽象化すると仕方がなかったという免責の方向に向いてしまう。なぜできなかったのかが分析に出てこないと。もう少し中身に踏み込んで、歯止めと尾前向きの議論にならないといけないのではないかという指摘がありました。そのあとのかぶせるように、公文書管理を担当する岡田大臣から、「原因分析は、各会議体等がこう言っているということを整理したもの。各省庁の言ったことを整理したペーパーであればこれでいいと思う。これが政府自身の考え方、政府がそう思っているというものではない」という発言あり。この大臣発言については、後でちょっと触れたいと思う。

 また「改善策に向けた論点案」についても検討がされています。

 最初の発言は野口委員。緊急時は、記録の作成、情報管理まで回らない。すべてのことを事前に予測できるわけではない。法律は平時の者で非常時の対応に不慣れ。その場で記録を作ることが難しい場合は、スケジューリングをするのでどうか。記録の集積体を整理していくスケジュールを作り出してもらい、記録の作成やその見直しのスケジュールをチェックするということではどうかという意見。

 三宅委員は、不信・不満を解消するルールが必要。情報をHPにアップして管理できるシステムやガイドラインを作ることが必要。「論点案」の冒頭に、「より積極的な議事内容の記録の作成を行うことが望ましかったと考えられる」とあるが、すべてはキーパーソンが何を言ったかが残っていくべきで、この書き振りでは物足りない。内閣総理大臣の勧告の発動の、どう動かすかを決めていなかったのはないかという指摘がありました。

 加藤委員からは、公文書管理法は「長」の縛りで書いてある。下にルールを下していくときの細則が行政文書管理ガイドラインに必要。9条3号にある内閣総理大臣のチェックを機能させてフィードバックをしていくシステムがあることが大事。作成された議事概要などは原子力災害対策本部はよくできている。4人で議事概要作成を担当したと聞いてるが、期間を区切って9条3号でフィードバックをするものひとつの方法という意見がありました。

 石原委員からは、制度とスタッフの二面性がある。スタッフに関することが物足りない。管理・監督をするセクションが機能的に足りない。記録管理に関する専門機関を作り、スタッフを増やし、かくしょうちょうに何人か常駐させて指導監督する、例えばレコードマネージャー制度のようなものが必要ではないかという意見がありました。

 御厨委員長からは、震災の結果できた組織の反省・検証と、今後の管理体制についての議論を深めていくことと、対策が違うのではないかという指摘があり、野口委員から、材料の整理の仕方の問題ではなく、分析と改善がリンクしていないといけないのではないかという意見が出ていました。

 ただ、最後に岡田大臣から、「今回の事例への対応と、全体の見直しを分けて議論をしてもらった方がよいのではないか。後者は少し念入りにやらないといけない。具体的なこととしてコンパクトに今回の事例についてまとめて早く出してほしい」というコメントがありました。

 結局、大臣の発言の方向に進むのか、それとも委員の間で出された意見から方向性を調整するのか、よくわからない結果になったように思います。

 この大臣発言を聞いていて、最大の疑問なのが公文書管理を担当している岡田大臣の同席。委員会としての大きな方向性について大臣が発言し、その方向に結論として流れているようで、第三者機関とは何ぞやと考えてしまいました。公文書管理委員会の委員の発言を聞いていても、大きな方向性としてどこまで踏み込むのか見えてこないところがあり、視点の置き所もさまざな。

 ただ、行政運営については「当」「不当」という考え方もあり、行政処分ベースでいえば、行政不服審査法では違法ではなく「不当」であることを理由にした是正機能があります。裁判になると違法かどうかが問題になりますが、行政運営に関しては、行政組織内の是正機能があるべきではないかと思うところで、そういう意味では、前回会議での野口委員の発言(判明した事実大切。公文書管理法が世間的に誤解されているところがあり、議事録未作成問題は、違法か運用執行が行き届いていなかったということか、それとも理想論からの議論をこれからするのか、それが混ざっている。法の施行という観点から違法かグレーか、適法だけど改善が必要かということを、判明した事実をもとに検討することが大切、というもの)には一理あるものの、行政運営の是正機能をどう考えるのかという視点が、今回の議事録未作成問題にはあってしかるべきだと思います。

 そういうところでは、公文書管理委員会としてどこまで是正機能を発揮できるのかということはとても注目すべきところで、そこで違法かどうかだけを審議することとなると、それは行政機関内の第三者機関としての機能としてかなり狭いものとなるのではないかと思います。加えて、大臣がそれぞれの議案の中でまとめた方向に行くとすると、大臣が方向付けをしたものを、第三者機関が審議をするという話となり、第三者機関ってこういうものなのでしょうか、と疑問に思ってしまいます。岡田大臣の出席を否定するつもりはありませんが、会議の方向性が大臣の一言で決まってしまうとすると、それはちょっと違うのではないかと思うのです。

 また、傍聴していて議論を聞いていると、AccountabilityとResponsibilityが同じように論じられているように思えてならないところです。Accountabilityとは何かということの共有がないと、建設的な議論は難しいのかなと思えます。前回の公文書管理委員会での野口委員の法的な整理をということから作成された「公文書管理法第4条について」というペーパが今回出されていましたが、その中で、

・「議事録又は議事概要の作成を一律に求めているものではなく、作成されていないことを持って直ちに法に違反するとは言えない」とか、
・「会議体の目的及び性格等により、議事内容を記録する必要があるか、記録する場合にどの程度詳細に記録されている必要があるかは異なる」
・ガイドラインに議事録とあることについては「各業務プロセスにおいて作成されることが多い文書を例示として記述したものであり、当該具体例の文書のすべてが、作成義務に基づき作成されるべき文書となるわけではない」

という説明がされています。要は、違法とは言えないということを説明した事務局作成文書です。ただ、繰り返しますが、違法かどうかだけでなく、行政運営にはそもそも是正をする機能があるべきだと思うので、そうすると、是正すべき方向とはなにかということをもっと論点として考えるべきではないかと思います。
 
by clearinghouse | 2012-03-27 02:13

 行政文書と個人メモの違いは何かということは、情報公開法で定義され、公文書管理法にも引き継がれて「行政文書」として定義されました。①職員が職務上作成・取得している、②組織的に用いられている、③実施機関として保有している、という要件を満たしているか否かがその分岐点となっていて、②とは一体どういう状態なのかや、③の実態を満たしているかどうかが、行政文書に当たるかどうかでは争いになります。

 この間の、秘密保全法制有識者会議の議事録未作成、議事メモ廃棄問題を考えていて、こういうこれまでの通説というか、解釈運用について何だかずっと引っかかっていたことがちょっと解消した気分になったので、思いつきの備忘録。

 「メモ」という言葉がどういう場面で行政組織内で用いられているかは、省庁ごとに違うと思いますが、自公政権時の秘密保全法制を検討していた検討チームの議事概要をみると、こんな使われ方をしています。

※以下のものは情報公開請求をして入手したもので、全文書は以下に掲載しています。
 http://clearinghouse.main.jp/wp/?cat=21
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 一つは、右上に「メモ」「関係者限り・用済み後廃棄」とあります。二つ目は、「メモ」「特に厳重な取扱いを要する」とあります。いずれも、「メモ」と書いていますが、私の情報公開請求に対して部分公開をしていますので、「個人メモ」という扱いではないということがわかります。個人メモに出来なかったのは、議事概要という性質上、構成メンバーには配布しているからということに過ぎないと考えられます。そう思うのは、一つは「関係者限り・用済み後廃棄」わざわざ書いてある。だから、保存期間満了後廃棄ではなく、それとは別に廃棄をすると読めます。この「用済み後」というのは、組織的判断なのか、それともこの文書を取得した職員個人の判断なのかという疑問があります。もう一つは「メモ」だけど取扱い厳重注意です。メモという性質に対して、取扱いの厳重さを求めるというのも、ちょっと変です。組織的な管理のもとにおくのかどうか、こちらもこれだけではよくわかりません。

 こういう「メモ」という扱いと、秘密保全法制有識者会議の議事メモ廃棄、それとこの前の記事で書いた以前に私が争った司法試験委員会の録音物の行政文書該当性の答申を考えると、そもそも個人メモという分類を行政機関が積極的に利用して情報公開法や公文書管理法の対象とすることを回避していること自体が、今の情報管理の問題に直結しているのではないかと思います。

 というのも、司法試験委員会の録音物の行政文書性を争ったとき、非公開の会議を勝手に録音して、個人メモとして個人の裁量的判断のもとにおいておくこと自体が適切ではなく、組織的な管理のもとにあるべきものという方向性が答申で示されました。要は、非公開とすべき内容の文書を、個人メモという形で個人の裁量的な管理・利用に委ねることは問題ではないかということだと思います。そう考えると、秘密保全法制の有識者会議も、会議の内容を非公開で行なったということは、その妥当性はともかくとして、非公開の内容を記録したメモを、個人裁量での管理・利用に委ねること自体が、非常に情報管理の観点から問題ということに、本来はなるのではないかと思います。

 そう考えると、実は、秘密保全法制のようなものを作って、「行政文書」ベースでは秘密指定をして人的、物理的管理をしたとしても、その行政文書を利用した職務をするうえで作成される、個人メモについては行政文書として組織的管理の外に出てしまうことになる。行政文書としてどう管理するかだけに注力していると、一方で日常的に職務上作成するいわゆる「個人メモ」は同じ秘密の内容を含んでいたとしても、公文書管理法の対象にもならない。秘密保全法制が、「行政文書」ではなく「情報」「コンテンツ」ベースで保全するとしても、一方で個人裁量的な管理下に置かれるメモがあっては、物理的管理としては穴だらけということになるのではないかと思います。

 なので、行政文書から「個人メモ」を除くということは、職務上作成取得されている情報のうち、組織的管理の対象外とする情報をいたずらに増やしているだけであって、そういう状況で秘密保全法制を検討していたということは、頭隠して尻隠さず状態なのではないかということであります。秘密保全法制ではなく、まずは「行政文書」から「個人メモ」を熱心に取り除くのではなく、個人メモも行政文書としないと、情報管理上はよろしくないというところから、議論をした方が良いのではないだろうか、ということが、要はここ数日の結論です。また、考えが変わるかもしれませんが…。
by clearinghouse | 2012-03-19 23:07

 各紙が、3月16日の官房長官会見で、秘密保全法制有識者会議の議事メモを廃棄したと説明したことを報じています。発端は、東京新聞3月16日朝刊の記事。それによると、福島みずほ参議院議員が3月上旬に確認したところ、後日廃棄したとの回答があったということが、記事が出た経緯のようです。これについて、官房長官が午前の会見で答え、それが後追い記事になっていました。

 最後に会見内容をざっとおこしたものをのせておきましたが、長官会見の説明は、2012年3月6日付で私に郵送されてきた、秘密保全法制有識者会議議事録不存在についての不服申立てに対する「理由説明書」に書いてあるものそのまま。おそらく、福島議員が内閣官房の職員に確認を試みた辺りに、この理由説明書の起案が行われていたのではないかと思います。

 理由説明書を引用すると、
「処分庁の職員が記録した上記のメモは、当該職員が議事要旨の案文を作成するに当たって参照するために作成したものであり、当該職員は単独で使用しており、他の職員に提供するなど組織的に利用されている事実はない。また、議事要旨の内容が確定し、ホームページに公開された時点で、上記メモについては役割を終えることから、随時廃棄されている」

という内容。官房長官も会見で、まったく同じ内容を説明しています。すでに、私の不服申立ては情報公開・個人情報保護審査会に諮問されていますので、出てきている理由説明書に対する意見書を月末までに書かなければならないので、思案中です。

 ただ、以前に法務省が司法試験委員会の議事内容を録音したものを、個人メモと称して不存在としたことがありました。この件も私が当事者ですが、情報公開・個人情報保護審査会も、裁判所もいずれも公文書であると判断された過去があります。

司法試験委員会の議事内容の録音テープ等の不開示決定に関する件(平成20年(行情)諮問第440号) 

 かいつまんで背景を説明すると、司法試験委員会も新司法試験の合格者数を検討した会議の議事概要しか作成していなかったので、録音物を情報公開請求したところ、録音物は一人の職員しか用いていないので、組織的に用いられていないということを理由に行政文書ではなく個人メモと判断され、不存在という決定になったというものです。これに不服申立てをし、情報公開・個人情報保護審査会の答申が出ました。そこでは、雑駁にまとめると、

 ①司法試験委員会が非公開の会議で、録音をとることは職務上の行為であること
 ②非公開会議の録音をしているので、それは組織として許可されたものであること
 ③だからそれは組織的管理がされているか組織的管理がされるべきものであること
 ④録音物は担当職員一人しか用いていないけど、そもそも議事概要を作成するという所掌事務を
  確実に遂行するためには、組織的に用いられるべきものであること

なのであるから、行政文書に該当するという判断となりました。

 今回は「メモ」ということなので、録音物と同じように判断されるかわかりませんが、非公開の会議であればメモを勝手に取って、私物として管理を委ねるということはあるはずがないと思うので、ここはメモも含めて行政文書、という判断くらいは答申で欲しいところです。ただ、廃棄したということ、そして議事概要公表後に随時廃棄、としているので、まだ残っているという主張にはなかなかハードルの高い状況設定をされてしまいました。

 ただ、これも以前の答申のように少し意味のある判断が取れるよう、少し主張について工夫をしてみたいと思います。


<3月16日午前 官房長官会見>
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5948.html?t=60&a=1

〇秘密保全法案に関して、有識者会議の議事録未作成が確認されたが、メモも廃棄されていたという一部報道がある。その事実関係と、公文書管理法上適正かどうか見解を

有識者会議においては各有識者が率直な意見交換ができるよう、会議終了後に発言者名を付さない形で議事要旨を公表することが第1回会合で決定。議事要旨の案文を作成するに当たって、それに伴ったメモについては議事要旨の内容が確定し公表された時点で随時廃棄をされていたと聞いている。いずれにしても、政府としては公表されている議事要旨、配布資料に合わせて、報告書で十分に判断することが可能。

〇公文書管理法のガイドラインで、メモについて法律立案の基礎となった国政上の意思決定が記録されているものについては、今回はこれにあたらないと言う考えか。

個人のメモとして作成されているものは、公文書管理法上の行政文書ではないことはその前に書いてある。その中身について、そういうことがあるならそうだが、廃棄されたのはそういう判断ではなかったということだ。
 
by clearinghouse | 2012-03-17 23:03

 今日、私が原告で提訴していた沖縄返還密約情報公開訴訟の控訴審判決。

 もう一つの沖縄返還密約訴訟は、先に一審も二審も判決が出ていて、現在上告受理申し立てをしているところだと思います。この訴訟では、一審は原告が勝訴も、二審は敗訴しています。

 私の方は、一審原告敗訴、控訴をしていましたが、今日、控訴棄却の判決となりました。要は、ないものはないんだ、ということであります。が、裁判所の「本件の結論」で述べられていることは、裁判所の限界と、それを踏まえた裁判官の本音が垣間見えるような内容です。

 私が情報公開請求をしたのは、2006年3月のこと。政権交代はまだはるかかなたで、自公政権時代のことでした。その後の政権交代、外務省内での文書捜索と調査は、2009年9月以降で、その間、3年以上のタイムラグがあります。沖縄返還密約文書の不存在決定が出て間もなく、不服申し立てをしていましたが、結局ずっと諮問もされずにつるされていました。

 この3年以上の間があったことを、判決では念頭においてもらえたようです。請求文書について、
その形式上、外務省が定めた文書の保存及び廃棄に関する規程によって、永久保存されるべき文書に該当しているのみならず、実質的にも、我が国の政治、外交等に関する重要資料として位置づけられる講武所といえる。そして、本件において、本件文書①は、昭和46年6月ころには、外務省がこれを保有するに至っていたことが証明されているところ、その後、本件不開示決定がされた平成18年4月27日の時点までの間に、紛失あるいは廃棄等による滅失その他により同文書が不存在となったことまでの証明はない。

という説明をしています。

 そう。私が情報公開請求をしてから外務省で調査をするまでの間、文書があったかなかったかということは何も証明されていないのであります。この間に廃棄していたら、国賠で勝てるのではないかと思います。判決では続けて

しかし、本件文書①は通常の場合とは異なるごく特別な方法や態様等により保管、管理されていた可能性があることに加え、外務省に設置された調査チームや有識者委員会等による掃討に徹底した調査によっても同文書を発見するに至らなかったことなど、証拠上認められる事実ないし事情を総合すると、政治的、外交的配慮等に基づく意図的なものであったか否かはともかく、同文書は、正規の手続きを経ずして隠匿、廃棄等がされた相当程度以上の蓋然性があると認められる。

という説明が続きます。ただ、判決では、過去に外務省が保有していた事実があったとしても、現在外務省が保有している事実については、認めるに足りないということに話が落ちるのであります。判決はここで終わらず、かっこ書きで
本件文書①が、通常の場合とは異なるごく特別な方法や態様により保管、管理されていて、正規の手続を経ずに廃棄等がされたとするならば、そのこと自体は、「法の支配」の下における行政組織の在り方としては極めて大きいといえるが、本件の結論には影響しない。)。

という続きがあります。 

 ほぼ引用した内容で、裁判所が「敷衍」したことすべてですが、私なりにこれをまとめると

①私に対する不存在決定がなされた2006年当時から外務省が沖縄返還密約文書の捜索、調査を行うまでの3年以上の間に廃棄されていないことは、国は証明できていない

②密約文書は、通常とは異なるごく特別な方法・態様等で保管、管理されていたもので、正規の手続きではなく隠匿、廃棄等がされたことは、可能性を超えて蓋然性が相当ある。しかも、「隠匿」という言葉を使っているため、単なる廃棄以外の可能性を指摘している

③ごく特別な方法や態様による保管、管理をし、正規の手続を経ずに廃棄等がされたとすると、それは「法の支配」の下にある行政組織として極めて問題が大きい

ということですね。控訴人である私もそうですが、裁判所も外務省に行って探査、捜査ができないというそもそもの限界があるうえ、文書の存否についてはよほどのリーク等がない限りは、外務省の立証に委ねるしかないとう現実もあり、この辺は情報公開訴訟における裁判所の限界が垣間見えます。本来であれば、私が情報公開請求した時点での文書の存否がこの訴訟での主要な争点なのですが、結論的には、現時点では存在しないので私の訴えは認められないという判決になるのが、それを物語っているように思います。

 ただ、外務省のやり方はおかしい、ということははっきりしているのは、よいことかと。「法の支配」から逸脱した外務省ということは、言い換えれば法の支配を超えて政治的、外交的配慮をする超法規的な存在という一面を浮き彫りにされたのが、この密約問題の本質であると改めて確認。
 
 控訴審判決 http://clearinghouse.main.jp/120315hanketsu.pdf
by clearinghouse | 2012-03-15 21:03

 3月16日に、以下の対談企画に呼んでいただいたので、何か話をします。連絡いただいたときの話だと、ネットで中継もされるようですが、お時間のある方は会場にどうぞ。

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 NPJ (News for the People in Japan) PRESENTS
 NPJ編集長 日隅一雄弁護士 連続対談企画第4回

 「こんなに遅れている日本の情報公開制度」
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 http://www.news-pj.net/pdf/2012/0316.pdf

 日 時:2012 年 3月16 日(金)午後6時30分~(開場6時)
 ゲスト:三木由希子さん(NPO情報公開クリアリングハウス理事長)

 ※eメールでゲスト及び日隅編集長への質問を受け付けます。
  前日までに pr@news-pj.net へ

 会 場:岩波書店アネックスビル3階セミナーホ-ル
      千代田区神田神保町2-3-1
      (神保町交差点、1階が岩波ブックセンターのビル)
      地下鉄神保町駅(都営三田線・新宿線、東京メトロ半蔵門線)
      A6出口徒歩1分
 参加費:500円(NPJ賛助会員は無料)
      ※当日受付でお支払いください。なお、会場の都合により,参加
       を先着順とさせて頂く場合がありますのでご了承ください。

【主 催】 NPJ(News for the People in Japan) http://www.news-pj.net
(NPJとは、弁護士等が中心に運営しているインターネットメディアです)

【問い合わせ】 城北法律事務所 弁護士 田場曉生(℡:03-3988-4866)
by clearinghouse | 2012-03-11 20:02

 私が不服申立てをしていた国立公文書館に対する特定歴史公文書等の一部利用制限決定に対する答申が、3月9日(今日)付けで出ました。

 3件の不服申立てが併合されて審査されていたため、答申は一つです。やはり、第1号答申。

「原子力発電検査基盤整備事業」の一部利用決定に関する件(平成23年度諮問第1号)
「原子力発電施設等安全性実証解析」の一部利用決定に関する件(平成23年度諮問第2号)
「火力原子力発電技術協会の事業報告書の一部利用決定に関する件」(平成23年度諮問第3号)
http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/fufukutou/2011/20120309/20120309toushin.pdf

 争いの内容は、①一部利用決定通知書の理由不備の違法性、②利用制限決定部分の違法性、の2点でした。①に関しては、国立公文書館は「不備でした」と途中で認めて、決定通知を差し替えましたが、結局当初の決定を取消しもせずに新たな通知を行ったことは不適法であることを、引き続き争っていました。答申では、当初の原処分が不適法であり、一部利用制限をした処分を取り消すよう答申しています。

 ただし、答申は、原処分が取り消されたとしても、私が②も争っていることから、①の不適法が治癒されても②の争いが残るとして、その部分についても判断しています。

 争っていた利用制限については、以下のような判断。

 ①財団法人原子力発電技術機構の職員の所属課室名、電話番号は個人情報に該当しない
 ②原子力発電所運転責任者功労者受賞者の一部に記載されている役職は個人情報に該当しない
 ③社団法人火力原子力発電技術協会会長の略歴の一部は個人情報に該当しない
 ④公務員の職歴は個人情報に該当しない
 ⑤財団法人の取引銀行口座番号は法人情報に該当しない
 ⑥財団法人の印影は法人情報に該当しない

 ①、⑤、⑥は財団法人がすでに解散をしていることからの判断です。社団法人の方はまだあるようで、こちらの印影は利用制限を認めています。

 それにしても、取消しもせずに送られきた、二度目の一部利用決定通知は一体なんだったのでしょう。行政行為としては、意味がないということでしょうか~
by clearinghouse | 2012-03-09 23:19

 情報公開クリアリングハウスのHPでもご案内していますが、こちらにも掲載。3月11日に福島県郡山市で情報公開制度を使うためのワークショップを行います。お近くの方、通りすがりの方、ご興味のある方、ぜひッご参加ください。

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 情報公開は市民の権利!
 ワークショップ 使ってみよう情報公開制度
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 http://clearinghouse.main.jp/wp/?p=542

 〇日  時 2012年3月11日(日) 9:30~11:30
 〇場  所 郡山市労働福祉会館 第一会議室
         
          http://www.bunka-manabi.or.jp/kaikan/access.html
 〇参加費等 無料。20名
 〇主  催  安心・安全アクションIN郡山
         NPO法人情報公開クリアリングハウス

           ※事前申し込みなしで参加できます。お問い合わせ等は、下記まで。
            情報公開クリアリングハウス icj[a]clearing-house.org
                ※[a]を@に変えてください

 福島第一原発事故とその後の政府の対応に、多くの問題があることは周知のことです。事故発生から1年近くたつ今に至っても、何がわかって何がわからないのか、何を知らされていて、何は知らされていないのか不確かなままです。

 一方で、私たちには手段としての情報公開制度があります。全国で数町村を除いてすべての自治体が情報公開条例を制定し、国には情報公開法があります。市民が、政府や自治体に情報公開を求める権利が保障されています。一方で、この制度では、誰かが請求しないと情報が出てこない仕組みでもあります。そこで、原発事故に関連して、政府や自治体の情報公開を進めるためのワークショップを開催します。

 ワークショップでは、①情報公開制度はどういう仕組みか、②情報公開制度で何がわかるのか、を学び、③情報公開制度がどう使えるか、について参加者でアイディアを出し合います。ぜひ、ご参加ください。

※このワークショップは、「原発いらない地球(いのち)のつどい」(3月10日、11日)のプログラムとして行われます。「つどい」に関するお問い合わせは、
 090-7029-5617(ちわき)/090-6554-1872(もりぞの)までお願いします。
by clearinghouse | 2012-03-08 23:05

 東日本大震災、福島原発事故に関する議事録未作成問題が世の中をにぎわせていますが、秘密保全法制に関する有識者会議の議事録も未作成であることを、これまで明らかにし、要望等を行ってきました。

 「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議、情報保全システムに関する有識者会議の議事録不存在に関する要望」(2012年2月2日 内閣官房長官宛)

 最近、この議事録未作成問題にも関心が集まってきました。

秘密保全法案:有識者会議、議事録なし 「要旨」のみ、策定過程の検証困難(毎日新聞 2012.3.4)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120304ddm001010065000c.html

秘密保全法案:議事録未作成を認める 藤村官房長官(毎日新聞 2012.3.6)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120306k0000m010038000c.html

 3月4日の報道を受けて、3月5日の内閣官房長官会見で、この問題が質問されました。久しぶりに、「あきれた」気分になったので、会見内容をそのまま起こしてみました。要は、有識者会議は諮問を受けて答申をするようないわゆる審議会のようなもので、法律を決定する場ではないので、法制定の意思決定過程に当たらないということを官房長官は述べています。秘密保全法制の場合、有識者会議とは別に、官房長官を長とする検討委員会があり、そこが法律について決定をする場であるというのであります。

 ただ、検討委員会で了承された報告書は、有識者会議の報告書そのまま。その報告書をもとにパブコメも行っている。有識者会議で議事録を作るか作らないかは、初回の会合でそれぞれが決めることで、有識者会議の議事録作成については、公文書管理法の文書作成義務の対象外であるとも述べています。検討委員会で実質審議をしていないなら、有識者会議の経過がわからないと、意思決定過程を跡付けられるようにはならないのではないのですか!という心の叫びが・・・ 

 それに、官房長官は有識者会議を審議会と同じようなものと会見で述べています。中央省庁等改革基本法第30条5号は審議会等の会議・議事録は原則公開とされています。また、平成11年の閣議決定「懇談会等行政運営上の会合の開催に関する指針」では、有識者会議が該当するいわゆる懇談会についても、審議会等に準じる扱いとするとされています。

 今回の有識者会議は、冒頭で会議非公開、議事概要のみ公開と決定しています。しかし、中央省庁等改革基本法等の趣旨は、非公開なら議事録を作らなくて良いとは書いているわけではなく、むしろ、原則公開で行ってくださいと書いているだけです。公開しないなら議事録作らないということは、何か違う。それに、公開するから文書を作るという発想自体がご都合的。非公開だからこそ、後世の検証に耐えるためにも、議事録を残しておかないと・・・。特に、秘密保全法制ってとても議論が多いものなんだから。

 要は、この前の記事に書いたとおり、何を法制定の意思決定過程とするのか、という意思決定過程の意味するところが、政府の都合によって伸縮している事態が、非常に問題。官房長官の、議事要旨と報告書が荒れば経緯はわかるというのもちょっと見識的にどうなのでしょうか。有識者会議は、そもそも会議での配布資料のほとんどを公表すらしていなかったので、情報公開請求して入手したくらいだし・・・(↓に載せています)

 秘密保全法制有識者会議等の資料
 http://clearinghouse.main.jp/wp/?cat=21


3月5日官房長官記者会見
 http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg5880.html

記者:秘密保全法案に関して、報道で議事要旨以外の資料を残していないということの事実関係。

官房長官:残していないのは誰かというでもあるが、情報保全に関する検討委員会が政府の機関としてある、そのもとで諮問を受け審議をする審議会的なものとして秘密保全のための法制のあり方に関する有識者会議がさまざま議論されてきた。この会議は計6回開催。昨年8月には報告書をまとめている。その後パブリックコメントを行っているかと思う。この有識者会議は、いわゆる諮問される側の審議会のような会議において、会議は非公開とすること、議事要旨は原則として公開することが第1回会議で決定されて、その決定に基づいて事務局である内閣情報調査室において、議事要旨を作成してHPで公開をしてきたところである。いわゆる議事録は作成していないが、有識者会議の経緯は公開されている議事要旨、及び配布資料によって十分博することが可能であると考えている。ここはまさに、諮問を受けて答申をしたという審議会的な有識者会議なので、すべての有識者会議の議事録が作成されていないということは、公文書管理法に抵触する話ではないと思う。

記者:議事要旨がA4の2、3枚程度で、そんなに詳細であるとは言えないが、より議事概要のような細かなものは、公表するかどうかは別にして、ないのか。

長官:議事概要と報告書がある。

記者:公文書管理法は法律の制定に関する経緯とあって、報告書は結果であって、経緯を示すものはその用紙しかないということになるのか。

長官:そこは法律を制定する会議ではない。諮問をされて答申をするということなので、公文書管理法の範疇外であるということを先ほど申し上げておいたところ。もちろん、審議会等が必ずしも議事録を作成するかしないかは、それぞれの冒頭で決められることだと思う。

記者:有識者会議の報告書に基づいてパブリックコメントを行っているという点では、まさに法律の制定に関するものということになるのではないか。

長官:法律の制定にかかわる政府の機関というのは、検討委員会。その委員会の審議する話はまさに法律を作っている過程であると思う。それに対して、一般有識者からの意見をいただいているということが今回の報告書だと思う。
by clearinghouse | 2012-03-05 22:35

 2月29日に開催された公文書管理委員会。前日の傍聴申込みの締め切り数時間前に気づき、他の予定が頭をよぎってう~んとしばし考えた後、結局傍聴を申込んで行ってきました。
 
 当日の資料は以下に掲載されています。
 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/iinkaisai/2011.html
 
 議題は、問題になっている東日本大震災、福島原発事故のいわゆる議事録未作成問題。2月3日に開催された委員会で、原子力災害対策本部、政府・東京電力統合対策室・緊急災害対策本部・被災者生活支援チーム・緊急参集チーム・電力需給に関する検討会合について、ヒアリングを行うこととされていたので、その結果の報告と、今後の方向性が議論されましたが、聞いていて、そして資料を見ていくつか気づいたことがあったので、その感想。

 想定していた通りというか、懸念していた通りというべきか、やはり今回の議事録未作成問題の根っこは、何が「意思決定過程」であるのか、ということがヒアリングを通じてはっきりした点だと思います。公文書管理法第4条は、以下のように定めています。

 「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。 」

 要は、「意思決定に至る過程」「事務及び事業の実績」を「合理的に跡付け又は検証することができるよう」文書を作成しなければならないということです。

 そこで、「意思決定過程」とは何か、ということの共通認識が必要です。法で求められている作成義務の「質」に係る規定は、「合理的に跡付け又は検証することができるよう」な文書の作成という部分です。これを考える上で重要なのは、公文書管理法第1条に示されている、以下のこの法律の目的をよく理解することだと思います。
「この法律は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする。 」

 今回の議事録未作成問題に関連して注目すべきは「諸活動を現在および将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」という部分です。「意思決定過程」は「合理的に跡付け又は検証できる」ように文書を作成する義務があり、それは、現在・将来の国民に対するアカウンタビリティを全うするためである、という誰もが法律を読めばわかることが書かれています。

 そこでもう一つの問題が、どうすればアカウンタビリティを全うする記録になるのか、ということの共通認識があるかどうか、という点です。常識的に考えると、アカウンタビリティを全うするためには、いわゆる5W1Hが明らかになっている記録であるべきではないかと思いますが、これまでの傾向として個人的に感じているのは、結果・結論とその趣旨が明らかであれば、アカウンタビリティを果たしたことになる、という認識が政府の中にあるのではないかということです。

 そうすると、「意思決定過程」とは何か、「アカウンタビリティの全う」とは何か、という組織運営そのものに係る問題が、議事録未作成問題から浮かび上がって来ているということだと思います。こういう観点から、公文書管理委員会のヒアリング結果を見ると、意思決定過程とは何か、それを跡付ける・検証な文書とは何か、アカウンタビリティの全うとは何か、という問題は、そのまんま残っていることがわかります。

○議事概要は一部作成していたとする政府・東京電力統合対策室
・「(行政文書管理)ガイドライン」において議事録の作成が明記されていないこともあり、議事録については認識していなかった

○緊急災害対策本部
・議事録及び議事概要については、公文書管理法上、作成義務が課されていないものと理解
・今後の会議の記録の作成に当たっては、公文書管理委員会の審議結果も踏まえて対応したい
・議事内容や決定事項は、記者会見を通じて随時情報発信して対応していた

○電力需給に関する検討会
・行政文書管理ガイドラインに記載がないので議事概要・議事録を作成しなかったのではなく、作らないといけなかったがその作業が遅れたものと認識している

○緊急参集チーム
・一般的な会議体ではなく、内閣危機管理監が最終意思決定権者である内閣総理大臣に報告する情報の集約、整理をすることが任務であり、意思決定を行い場ではない

○被災者生活支援チーム
・運営会議(56回開催)を設けていたがその議事録・議事概要が未作成。決定や了解を行う会議ではなく、審議会や懇談会でもないから、議事録・議事概要についての作成義務が課されていないと理解している
・記者会見で随時情報発信していた

 以上のようなところから、①議事録・議事概要は作成義務の対象か、②意思決定過程はどの範囲を含むのか、③記者会見での随時発信でアカウンタビリティは足りるのか、④議事録・議事概要がなくて合理的に跡付け検証可能か、ということについては、認識の仕方が様々なようなので、この際きちんと整理をして必要な対応をするべきだろうと思います。特に、意思決定を行わない場であっても、そこで整理した情報が最終的ない意思決定権者に影響を及ぼす場合は、そこもプロセスの一端ではないかと思うので、何が「意思決定過程」なのか、は共通理解ができるかどうかは、公文書管理委員会のこの件での成否を分けると思います。

 そこで次に考えたのが、議事録・議事概要だけが意思決定過程ではないという当たり前のことです。

 会議の指摘事項を整理した資料、課題を示す資料とそれについてどうなったかを示す資料を作成していた(被災者生活支援チーム)、「活動の記録」として資料の集約をしている、会議の内のメモを作成し職員間で共有(緊急災害対策本部)、時系列で資料は綴って保存(緊急参集チーム)など、資料の保存についてヒアリングで述べているところがあります。活動を示す資料が適切に残されていることは、議事録・議事概要を残す以上に重要なことだと思います。しかし、どちらかが残されていればよいというものでもないでしょう。要は、両者は不可欠で補完関係にあると考えるべきだと思うからです。いわゆる5W1Hがわかることが意思決定過程であり、合理的に跡付け検証可能な記録と私は考えるので、そのためには資料も議事録・議事概要も両方ないと、跡付けられることにはならないという考え方は、法の趣旨ではそこまで求められていないということになるのでしょうか。ここも、公文書管理委員会がどういう議論を今後していくのか、注意してみていきたいと思います。

 そのほかに気になったのは、緊急参集チームのヒアリングで、「官邸危機管理センターにおいては、事案対処等に関する情報及びセンターの設備、業務内容等に関する情報の漏出を防ぐため、原則として録音が禁止されている」と述べられていることです。不要な情報の漏出は避けるべきだろうとは思いますが、言い換えると、危機管理センターでの対応については、プロセスの記録の作成を徹底しないとアカウンタビリティが果たされないという構造になっているということと理解すべきものと思います。もっとも「原則」録音禁止となっているので、絶対にできないということではなさそうです。ただ、少なくとも、危機管理におけるアカウンタビリティをどうするのか、どう跡付けられる記録を残すのかは、課題の一つとして認識しておかなければならないと思います。

 他にもいろいろありますが、最後に野口委員が会議で話していたことは、その通りと思うとともに、議論の立て方に注意が必要だと思います。野口委員が指摘していたことは、「判明した事実大切。公文書管理法が世間的に誤解されているところがあり、議事録未作成問題は、違法か運用執行が行き届いていなかったということか、それとも理想論からの議論をこれからするのか、それが混ざっている。法の施行という観点から違法かグレーか、適法だけど改善が必要かということを、判明した事実をもとに検討することが大切」という趣旨だったと思います(メモから起こしているので、不正確かもしれません)。

 今回の問題は、そういう視点でバッサリ切ることもできるとも思いますが、そもそも法の解釈運用の理解から違法かどうか直ちに判断がつかない事態に陥っている側面があると思います。そして、個人的には、少なくとも「不当」ではあり「不法」ではないかと思ったりしています。公文書管理委員会が、同法の趣旨や諸規定の解釈運用に踏み込んで議論をこれから行うのかによって、公文書管理委員会のスタンスや、法に対する見方、評価が決まってくると思います。それなりの「権威」を示してほしいと思います。
 
by clearinghouse | 2012-03-05 01:26