今日の東京新聞特報面で、東電テレビ会議の動画と国会事故調の記録の管理について報じられました。ネット上には障りしか掲載されていないのですが、一応リンク。

原発事故記録は誰のものか 全面公開なお拒む東電(東京新聞 2012.8.88)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2012080802000125.html

 国会事故調に関しては、情報公開クリアリングハウスで文書管理についての要望を衆参両院、各政党宛に送っていたところ、これに思いのほか多くのリアクションがありました。報告書が出た段階で、公文書管理制度、情報公開制度のエアポケットに完全にはまっているこの状況はかなりまずい、今何か問題提起をしておかないとと思ったところだったので、多くの人と問題意識が共有でき、また問題の所在も共有されたと思います。後は、政治がどう最後まくるか、というところで、そこらへんに今の立法府のレベルが出るということなのだと思います。

 この問題は、国会事故調が始まった当初からずっと頭の中にありました。国会が、原発事故という重大な事態を受けて「憲政史上初」という冠を付けた事故調を立ちあげ、調査を行うこと自体は意味深いことです。ただ、立法府は一方で、公文書管理も情報公開も非常に遅れているところです。

 国会は、本会議・委員会の公開、議事録の公開が立法府本来の活動である立法調査関係の「情報公開」であって、そのほかに出ているのは調査報告書の類だけです。閣法が国会で修正されると、行政機関内での法案調整作業はある程度記録で確認できるものの、国会内でのプロセスは当事者である議員が語るか、あるいは外の人間が断片的に把握できる限りで公の文書外に記録されるほかは私たちがアクセスできる形で記録が残りません。衆参両院ともに情報公開規程がを設けていますが、いずれも立法行政文書(会計文書などの執行機能関係の文書)のみを対象として、立法調査に関する情報は公開請求を認めていません。

 こういう制度の中にある国会に事故調が設けられたということは、国会の権威と法律に基づく権限の下で、非公開・秘密での調査を含めた調査が行うことができているはず。国会事故調の調査活動は、その立場や裏付けからは国会や市民に替わって原発事故について調査を行ったということになります。ではその記録はどうなるのか。そのことを法律上明確に明らかにしたものはありません。立法府は公文書管理法の直接の対象になっていませんし、さらに言えば、国会事故調はアドホックな組織で衆参両院にずれにも属さず、恒常的な組織ではなく役割を終えたら解散されます。衆参どちらかに記録は移管されることになるとは思いますが、立法府の歴史文書の永久保存体制については、国立公文書館のような明確な受け皿は、衆議院の憲政記念館くらい。国会事故調の活動は、いわゆる調査活動になるので、衆参両院どちらかが最終的に記録の移管を受けたとしても、それを情報公開する仕組みもないという、かなりややこしい状態にあります。

 国会事故調の調査活動は、今の段階で明らかにできなものはあるかもしれませんが、永久に非公開とされて廃棄されるとなると、今度は誰も検証できないという状況になって次なる隠ぺいと言われても仕方がない状態になるのではないかと思います。国会事故調の今の到達点と、後世の検証から到達できるものは異なる可能性があるわけなので、国会事故調が信用できないとかそういう問題ではなく、記録による後世の検証を可能にすることによって、今の到達点の正当性を事故調そして国会なりに担保することが大切だと思うところです。

 こういう観点からみると、政府事故調にも実は同じことは言えると思っています。それは、政府事故調は公文書管理法や情報公開法の対象となりますが、一方で非公開約束での調査を実施しており、どのような調査を行ったかそのものも明らかになっていないところがあります。では、政府事故調の記録は、どこまでどのように管理され、歴史文書として保管され、将来利用できるようにするのかということははっきりしていません。この辺は、公文書管理法の規定に照らせば、内閣総理大臣(実質的には内閣府公文書管理課)や国立公文書館が、歴史的文書としての保管を想定して今の段階でできることがあるのではないかと考えています。なので、こちらの方も要望書を出さないといけないです。

 それから、東電のテレビ会議の動画の公開が問題になっています。報道機関が加工された動画を制約が厳しい中視聴をしているということですが、これも、東電にしかその動画がないという事態が非常に危ういと思っています。今、やってほしいことは、政府が東電からこれらの動画を全部取得するということです。今後、巨額の公費が事故処理のために投入され、実質国有化されることになることを考えると、その国民負担のおおもとになった事故に関する情報は、政府が東電から取得すべきではないか、そうしなければ政府は説明責任を果たせないのではないかと思うからです。

 加えて、検察がどの程度やる気があるのかわかりませんが、原発事故をめぐり刑事告発が複数出されている中で、東電に捜査が入ったりして動画が押収されると、それこそ動画が日の目を見る機会を思うと絶望的な気分にさせられます。刑事記録化したとたんに、とっても面倒な話になるのは目に見えていますし、さらに起訴されずに不起訴となると、刑事確定訴訟記録法も明確にかかってこないという悲劇的な状況で、動画が葬り去られることになります。

 今情報公開されるかどうかは別にして、記録を残す努力はまだまだする必要があると思っています。
 
by clearinghouse | 2012-08-08 23:13