今年もあとわずか

 今年も残すところ今日を入れて3日。まだ年賀状も書いていない状態で、当然のことながら事務所の大掃除などはできず、例年のことながらなんだかずるずると一年の区切りがつかないままに新年を迎えることに、今回もなりそうです。

 毎年、年の瀬になると、「今年って何をした?」と思い、何となく何もしていないような気がして、自分の成長が感じられないのに、年齢とともに1年がどんどん短く感じるという、何とも不毛なというか、切ないというか、そんな感じが私の例年の年の瀬です。年明けには反省をして、今度こそは何かしたと思える1年にと決意をしてみますが、そんなに簡単に人は変われるものではないですね。

 今年は、9月に5年半ぶりに情報公開クリアリングハウスの活動に全面的に復帰をしました。要は、その間やっていた仕事を辞めたということでありますが、そのことは経済的な面を考えるといろいろな人から「ええっ!」と驚かれつつ、自分としてはすっきりしてよかった、と微塵も後悔のないさっぱりした感じであります。とはいっても、前職時代に関わっていた特に10代女子は、引き続き私の携帯に電話があったりメールがあったりで、結局はずるずると前の仕事をボランタリーに引きずっているのですが、これも人の人生や生活に関わってしまった以上やむを得ません。

 で、ここのところ、いろいろな人に会うとなんだか元気そうになった、と言われるのがうれしいところです。1月に朝日新聞夕刊の「人物記」で紹介をしていただきましたが、その取材がたぶん5月か6月のことだったので、いろいろ疲れがピークに向かっている最中で、写真がどうもすごく疲れていて元気がなく見えたらしく、その後に会った友人・知人何人から、「元気そうでよかった」と言われてしまいました。

 そんなこんなで、情報公開クリアリングハウスに全面的に復帰をしたものの、かなりのブランクがあるのでこの1カ月くらいでやっといろいろな勘が戻ってきた感じで、やはり「現場」を離れていた期間がそれなりに長かったことを実感しました。だいぶいろいろなことが頭の中でスムーズにつながるようになったかなというところで、まだまだ以前のようにはいっていないような気がしています。

 それで、「現場」を離れていた5年半を思うと、ソーシャルネットワークとソーシャルメディアが急速に浸透し、発展した期間と重なり、その間にNPOの現場にいなかったことは、それなりに重いなと思います。情報公開クリアリングハウスの活動自体、そうした波に乗せた短い発信よりも、一次情報に軸足を置いたものが中心なので、本来やるべきことは何も変わりませんが、それでも情報のフローが大きく変わっていることは事実です。twitterでつぶやいていると実感することですが、140字でつぶやくためには、いかにそこで効果的な部分を切り取って情報を発信するかを考えます。それって、悪いことではありませんが、ある意味誘導的なのであります。個人的には、そういうのは好きではないので、自分たちのやっていることがどこまでなじむのか、試行錯誤をしなければならないなと思います。

 そんなわけなので、今やっている福島原発事故の情報公開プロジェクトで行政文書を集めて整理し、時々分析をして公開をするという仕事は、短い発信とは別物の、場面を切り取らずにそのまま受け止めるということで、情報公開クリアリングハウスの本来のミッションにはとてもあっているというより、自分たちがやるべき仕事だと考えて取り組んでいます。

 今年は個人的にはいろいろ変化の年で、にもかかわらず何もできた感じがしないという、くだくだ感が抜けないことを反省して、来年は少しでも前向きな感じで年が終われるよう、今手を付けていることを形にしていける年にしたいと思います。

 今年中は、本当にいろいろな人にお世話になりました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
by clearinghouse | 2012-12-29 20:54

  「閣議等議事録の作成・公開制度の方向性について」と「閣僚会議等の議事録等の作成・公開について」のパブリックコメントが12月16日に締め切られました。締切日の夜になって思い出し、我に返ってやっつけ仕事で意見を書いてだしました。いつもパブコメはこのパターン。本当はもっとちゃんと考えるべきなんだろうけど、なかなかできませんね。

 http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/gijiroku/kettei.html

 今回、パブコメを書くために資料を見て、公文書管理法の文書作成義務やその他の規定を眺めて頭の体操をしていて、何となく自分なりにしっくりきていなかった議事録未作成問題について、何となく自分なりにその原因がわかったような気がします。ただ、一層頭の中の整理をしなければいけないようになった気もしています。

 それは、閣議や閣僚会議の議事録作成は、「行政機関の職員」に対する文書の作成義務の問題ではないという、当たり前のことにやっと気づいたから、ということであります。

 公文書管理法第4条がいわゆる文書作成義務について定めたものです。
第4条  行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。
一  法令の制定又は改廃及びその経緯
二  前号に定めるもののほか、閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯
三  複数の行政機関による申合せ又は他の行政機関若しくは地方公共団体に対して示す基準の設定及びその経緯
四  個人又は法人の権利義務の得喪及びその経緯
五  職員の人事に関する事項

 この規定を素直に見れば、「閣議、関係行政機関の長で構成される会議又は省議(これらに準ずるものを含む。)の決定又は了解及びその経緯」については、意思決定に至る経緯の文書を作成する義務があるということになります。だから、閣議や閣僚会議などなどについて、その決定等の経緯に係る文書である議事録は作成していないとおかしいのでは、とも言えるように一見見えます。

 しかし、文書の作成義務は「行政機関の職員」に対するものとして規定されています。この行政機関の職員の化されている文書の作成義務は一体何なのか見ると、行政文書管理ガイドラインに以下のような記載があります。
 
職員は、文書管理者の指示に従い、法第4条の規定に基づき、法第1条の目的の達成に資するため、○○省における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに○○省の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、文書を作成しなければならない。

 また、これに関する留意事項として以下の記載があります。
○ 行政機関の職員は、当該職員に割り当てられた事務を遂行する立場で、法第4条の作成義務を果たす。本作成義務を果たすに際しては、①法第1条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにすること、②処理に係る事案が軽微なものである場合を除くことについて、適切に判断する必要がある。
○ 各職員が、文書作成に関し上記の判断を適切に行うことができるよう、日常的な文書管理の実施についての実質的な責任者である「文書管理者の指示に従い」、行うこととしている。文書管理者は、法第1条の目的が達成できるよう、個々の文書の作成について、職員に日常的に指示する必要がある。

 ここでいう「文書管理者」とは課長級のことです。

 要は、文書の作成義務は、日常の業務遂行上、職員に割り当てられている職務の中で作成しなければならないもの、という意味での文書の作成義務ということです。

 そうすると、議事録の作成問題というのは、①そもそも議事録の作成が職務上作成しなければならないのに職員が作成していなかったという場合と、②議事録作成についての組織的な意思決定がなされていないので、作成されなかったという場合と、二通りあるということになります。今時、①はあまり想定されることではないので、この間問題になってきたことは②だということになります。

 そうすると、②は文書の作成義務として議事録を作成すべきということではなく、そもそもの行政運営として、会議に議事録を作成しなければならないという行政機関としての義務がまずは必要で、それがないと行政機関職員に対する文書の作成義務というこの規定の問題に直接的にできないということになり得るのではないかと思うわけです。

 閣議や閣僚懇談会、副大臣会議、省議、その他閣僚会議についての議事録作成が、この間議論されてきていますが、これらについては、課長級や、行政機関の職員が議事録の作成をするかどうかを決めるものではなく、それぞれの会議体としての議事録作成に関する意思決定が必要です。また、いわゆる審議会等の第三者機関も同様で、会議体としての議事録作成を決めなければならない。この決定は、それぞれの会議体がアカウンタビリティを意識していれば、当然になされているはずですが、そういう状況にはないので、議事録未作成問題や、議事録そのものを作成しない慣行が残ってきたということになるのではないか。

 閣議等について議事録を原則として作成する方向で、閣議議事録等作成・公開制度検討チームで取りまとめが行われたのは、そういう意味では文書の作成義務の前提となる意思決定をこれからしようとするということであるのだと思います。閣議と閣僚懇談会については、議事録の国立公文書館移管までの間の非公開規定を含めて公文書管理法上の改正を行うとされていますので、この際、公文書管理法では、会議体の議事録作成を原則として義務付ける規定を設けてはどうかと思います。

 これは、いわゆる会議公開法制を一部公文書管理法に取り込んだような規定として十分にあり得るのではないか。原発事故が発生し、アメリカの原子力規制委員会が委員3人集まると必ず議事録を作成しているということが例として挙げられ、それに比して日本の議事録未作成問題は…などといわれていましたが、アメリカの原子力規制委員会はいわゆる会議公開法の要求事項として議事録を作成しているわけです。

 本来であれば、会議の議事録作成問題から、会議公開法制の方向に議論をもっていかないと、かなり不健全な形で公文書管理法の運用の中で措置をすることになるのではないか。つまるところは、原則ではなく問題になったところの手当だけをするという、悪しきこれまでの慣行的な対応にはまってしまうのではないか、と思います。
by clearinghouse | 2012-12-18 23:44

 秘密保全法制の検討を行った有識者会議の議事録を公開請求したところ、不存在となっていた件で、不服申し立てに対する情報公開・個人情報保護審査会の答申が12月11日付で出されました。ちょっと面倒なことになっています。

(ちなみに、以下の内容はかなり行政手続に関する細かい話を含むので、そういうことに関心のない方は読み飛ばすことをお勧めします)

秘密保全法制のための法制の在り方に関する有識者会議等の議事内容が分かる文書の開示決定に関する件(平成24年(行情)諮問第67号)
 
 答申は、処分は取り消すべきであるという内容なのですが、議事録が存在するから決定を取り消せというものではなく、決定が不適法なので取り消せというものなので、文書の存否そのものは判断していないものです。発端は、有識者会議は議事概要は作成しているがそれ以外の記録は作成していない、あるはメモ等があっても廃棄したというのが政府の決定なのですが、通知が「開示決定通知書」で処分の内容は「開示することとしました」と書いてあるのに、不開示理由が書かれていて行政文書として保有していないと書かれていた殊にあります。

 推測するに、事務処理の過程で開示決定通知書の書式をそのまま何も考えずに使って、不開示理由だけ書き加えたのだろうと思います。ただ、処分として変な形で来たので、議事録不存在の不服申し立てをしたときに、そもそも不適法な処分であることと、不存在であるならこれこれこういう理由で処分は違法だという2つの内容で争う形で申立書を作って送ったわけです。まあ、この申立書を見れば行政職にある人ならだれでも、まずいことになったことはわかるわけで、すぐに処分を行った内閣官房から電話がかかってきて、通知が誤っているので差し替えたいという申し出がありました。

 そこで、私個人の打算が働き、担当者の話の限りでは「処分の取消」ではなく「通知の差し替え」をするつもりのようだと思われたので、要は申立書で争っている不適法な処分の部分の争いはそのまま残ることになります。取り消しをせずに差し替えているので微妙だなと思いつつも、不適法な処分が争いの中心になると、いったんその不適法な処分を取り消して再度不存在決定が出て、それに対して不存在処分の取り消しを求める不服申し立てをしなければならくなるので、面倒なことになる。なので、とりあえず差し替える通知を送ってもらって、あわよくば審査会の答申は1回で済ませられないかと頭の中で計算をしたわけです。

 だから、しれっとして申し出を受けて差し替えを受けたけど、処分は取り消されていないということを前提に、審査会の処理の仕方にあとは委ねようと思ったのですが、甘かった。審査会では通知の出た経緯や差し替え前の通知も確認して、差し替え前の処分が「結論と理由とが齟齬するという重大な瑕疵があり、違法であるので、取り消すべきである」と答申したところです。また、差し替えについては「本件決定通知書の結論は開示決定であり、不開示通知書は不開示決定であるので、本件通知書を不開示通知書に差し替えることは、原処分を審査請求人に不利益に変更するもので許されない」というお言葉も。

 さらには付言で、「当該瑕疵が通知書の差し替えで治癒されると軽々に判断しており、本件通知書によって行政処分がなされているとの認識が不十分であり、開示決定等通知書の重要性に対する理解も不十分と言わざるを得ない」「今後、法の趣旨を正しく認識し、開示請求及び不服申立てに係る手続の適正化を図ることが強く望まれる」とおしかりの言葉が続き、また理由付記も不十分との指摘もされています。

 まったくおっしゃる通りで、個人的な思惑で打算的に一度の争いで済ませられないかと浅知恵を働かせるのは、やはりよくないということが、個人的には今回の教訓であります。答申を書いた審査会は第2部会で行政法学者がいらっしゃるという部会で、処分という手続の重みを考えると、当然の判断です。

 ただ、電話があった時点で、内閣官房に取消をした上で処分をといっていれば、この答申で不存在の妥当性の判断まで行っただろうにと思う一方で、そうするとこんなへんてこな決定をしてくる処分庁に対する注意喚起にはならないから審査会には載せたいといした下心と、どうすれば一番良かったかと、考えてしまう答申でございます。

 一つ言いたいことがあるとすれば、公文書管理委員会に特定歴史公文書等の利用制限処分の不服申し立てをしたときは、理由付記の違法性で処分取り消しをしつつ、開示・不開示も判断するということをしてくれていまして、それはそれで2度手間にならずに助かったということがありました。情報公開・個人情報保護審査会でもこういう柔軟な運用のかのうせいがないものでしょうかと思うところです。

(ここ↓にあるのが私が不服申立てをした案件の答申です)
 http://www8.cao.go.jp/koubuniinkai/fufukutou/2011.html

 こんな話は、行政職と一部の行政法などにお詳しい法律関係の方しか興味ない話かもしれませんけど。
 
by clearinghouse | 2012-12-12 17:23