年がかわってから初めての更新。遅ればせながら、本年もよろしくお願い申し上げます。

 福島第一原発事故関係の情報公開請求と、公開された文書の公開に今年も多くの時間を割くことになりそうです。

 昨年来、福島県県民健康管理調査検討委員会の秘密会議問題・議事録改ざん問題など意思決定のプロセスと調査の妥当性が問題となり、ついで、福島県内の空間線量率の測定結果が実際の数値より低く出されていた問題、手抜き除染問題と、いろんな問題が知られることになりました。この3つの問題、報道等で大きくクローズアップされる前から、地域で関心を持っている人の間では、「おかしさ」は気づかれていたことでもありました。

 何か「おかしい」ということは、単なる違和感ではなく、県民健康管理調査では調査対象として扱われている県民からすると、そこで起こることはすべて自分や家族に関わる現実です。空間線量率は、実際に自分で測っている人からすると、目の前で起こっている現実です。手抜き除染の問題も、除染の方法や対象、除染後の土等や汚染水の処理も、目の前で起こっている現実です。県民を当事者に据えて考えれば、この現実に対してどうするのかを本来であればもっと前から考えなければならない問題だったことです。

 県民健康観調査も、空間線量率のモニタリングも、手抜き除染も、問題があることはわかり、それに対する対応や検討も行われつつあります。そのこと自体は、やらなければならないことではありますが、ではそれで問題解決となるかは別の問題であることは、多くの人が気付いていることだと思います。

 しかし、世の中で公開されている情報、フローで流れている情報は、表面的な情報が多く、掘り下げた情報が探してもなかなか出てきません。除染問題にはまだ手を付けていませんが、県民健康管理調査にしても、空間線量率のモニタリングの問題で情報公開請求をしていく過程で、そのことを強く認識しました。

 県民健康管理調査は、疫学調査としてどういう位置づけなのか、なぜあのような調査内容になったのか、福島県と福島県立医大の間でどのような前提で業務委託と業務の実施が行われているのか、どのように調査結果を取り扱うことになっているのか、など実際には見えていない「現実」がたくさんあります。

 空間線量率の問題も、文部科学省の発表では、実際の線量率より1割程度低い数値が出ていること、検出器近くのバッテリーが放射線の一部を遮蔽していたことが原因であり改修するとされていますが、文科省が認識した数値が具体的にどのようなものなのか、本当にバッテリーの問題なのかを検証する手段は情報としては探してもありません。現実には、空間線量率は、地域で実査に測ると1割程度のずれではなく、ずれが大きいところでは、モニタリングポストで示される空間線量と、その周辺で測る線量が倍近く異なる地点もあったりするようです。もちろん、機材の違い、測定の方法の違いなど、いろいろな相違を含んだうえでの違いではありますが、「1割程度」と言われても、素直に納得できない人もいるはず。しかし、文部科学省の言い値で、今のところは話が流れていて、何が「現実」なのか見えていないことがたくさんあります。

 手抜き除染問題は、とても大きな問題です。コストの問題、除染の効果の問題、そして除染方法の問題、除染後の残留物の問題など、「手抜きは問題だ」と言うだけでは済まないものを含んでいるものです。巨額の予算が動いていますが、どのような現実の想定で除染の手順が決まったり、コストが決まっているのかなど、見えていない現実があることは容易に推測できます。

 これらの「現実」は、正面から向き合うと非常にしんどい問題ですが、しかし向き合わなければそこで生活している当事者に向き合った解決や改善にならない。必要なのは、やはり情報公開であると思います。

 今、私の手元には、公開された空間線量率のモニタリングシステムの契約関係の文書や機材や施工の仕様に関する情報があります。なんでこれを情報公開請求したのかと言えば、低く数値が出ていた原因が文部科学省の発表だけで、他に検証されていないのはあり得ないし、「1割程度」というずれが実際にはもっと高いずれになっているところもあるようので、その原因は可能な限り解明されなければならない。なぜそうなのかを知ることは、空間線量率の市民のリテラシーを上げることになると思うからです。そして、最終的には、これまでの空間線量率のデータもある程度の合理的な基準に基づいて調整をされなければならないのではないかと思うからです。低く線量率が出ていて積算の線量率が変わってくるとすると、その調整はおそら必要なのではないかと思うのですが、それを、国や自治体の「言い値」でされては困ります。

 ではどうすればよいかと考えれば、文部科学省が設置をしているので、まずはそこがもっている情報の公開請求をして、何が「現実」として見えるのかを、市民の側で見なければならないということになります。

 県民健康管理調査も、なんでそうなっているのかという元の部分の現実を見るところから始めなければなりません。除染問題も同じです。だから、情報公開請求をしながら、どんな情報があればより「現実」を見ることの助けになるのかを考え、また次の情報公開請求をする、ということに繰り返しをしています。

 単にしんどい、つらい現実で知りたくない、向き合いたくない問題にしてはいけない。しかし、批判や問題点の指摘だけだと、それはしんどく向き合うことの難しい問題になってしまうこともあります。

 問題やあくまでも問題。誰かを責め足り批判するだけでそれが変わるのであればそうしますが、それでは済まない問題も多々あります。犯人探しだけでなく、あるいは批判や諦めではなく、前に進む何かを作るためにも、掘り下げた情報公開は必要。それが、しんどい現実と向き合うためには必要ではないかと思っています。

 だから、今年も情報公開請求を続けていきます。が、いかんせんお金がかかることなので、情報公開クリアリンハウスのホームページで支援もお願いしていますので、こちらもよろしくお願いします。

http://clearinghouse.main.jp/wp/?page_id=620
 
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by clearinghouse | 2013-01-17 22:40