小平市での都道建設をめぐる住民投票が不成立だったため、開票されないことになりました。住民投票条例が投票率50%を成立要件としているところ、35.17%にとどまったことから、開票されないことが確定的となりました。そんな中、住民側が投票用紙を情報公開請求をしたということなので、そのことを少し考えてみたいと思います。

 投票不成立:小平「住民の会」が投票用紙の公開請求(毎日新聞)
 http://mainichi.jp/select/news/20130527k0000e040160000c.html

 小平市で住民投票が行われる直前、知人から不成立の場合が投票用紙の情報公開請求を考えているようだということと、投票用紙の情報公開についてどういう判断があるのかという電話があり、その時は、気楽に記名投票ではないのだから、少なくとも個人情報には当たらないと思うと答えてしまったのですが、よくよく考えると、ちょっと違う側面でものを考える必要があるなと思いました。それは、住民投票不成立の場合は開票しないと条例が定めていることと、切り離して考えることができないのではないかと思うからです。

 そもそも住民投票の成立要件が必要かどうかをめぐってはいろいろ議論があります。住民投票による住民の意思表示が住民自治の強化につながることは間違いないと思うのですが、一方で少数の住民による投票結果がその後の自治体の判断に影響を及ぼすことは適当ではないなどという理由から、住民投票の成立要件が定められる傾向にあります。すべての住民投票条例にこのような要件が入っているのかどうかはわかりませんが、少なくないとは言えます。

 この是非をめぐってはいろいろ議論があるのだろうと思いますが、成立要件が定められた理由をどうとらえるかが、情報公開をめぐる背景から外せないのではないかと思います。小平市の住民投票条例には成立要件が入っていますので、条例そのものは住民意思として明らかにすべきか否かのラインを定め、成立要件を満たさない場合は投票者の意思表示を明らかにしないことを定めている、とも読むことができるわけです。住民投票とは何ぞや、ということと、成立要件が入っているのはどういうことか、という条例の制定趣旨そのものにかかわる問題がそこにはあります。

 こう考えると、投票用紙の情報公開請求は実に微妙な問題を提起していると言えます。それは、住民投票条例の趣旨が、成立要件を満たさない場合は結果を非公表とし、投票した人の意思表示の結果を明らかにしないということだとすると、情報公開条例に定める不開示規定の法令秘情報に該当してしまう可能性があるからです。選挙における投票用紙の情報公開とは明らかに文脈が違う議論が想定される場面ではないかと思います。

 そういうわけで、情報公開請求はしたらいいなんて簡単に考えていましたが、実際は情報公開条例ではなく住民投票条例や住民投票そのものの問題から見ないと、情報公開の成否は何とも言えないなというのが今のところの結論です。住民投票条例で成立要件が入ってしまった時点で、勝負があったという話なのか、それとも少し違った住民投票条例と情報公開条例解釈論が成立するのか、もう少し頭の体操が必要だと思った次第です。
 
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by clearinghouse | 2013-05-27 22:36

 ソーシャルジャスティス基金主催のアドボカシーカフェ「国会事故調は何を問いかけているのか~原発賛否の前に見つめなければならないことは」に、コメンテーターとして登場することになりました。明日の開催ですが、お時間の都合のつく方は是非。

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 国会事故調は何を問いかけているのか
  ~原発賛否の前に見つめなければならないことは~
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  申込み→http://socialjustice.jp/20130521.html

■日 時:5月21日(火)18:30~21:00 (18:15開場)
■場 所:文京シビックセンター 5階区民会議室
     東京都文京区春日1-16-21(丸ノ内線・後楽園駅1分、三田線/大江戸線・春日駅1分)
      http://www.city.bunkyo.lg.jp/sosiki_busyo_shisetsukanri_shisetsu_civic.html

■ゲスト:石橋 哲さん
1964年和歌山県生まれ、87年東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行入行。2003年5月産業再生機構参加、2006年12月クロト・パートナーズ設立。主に事業会社における事業・組織再構築にかかる計画策定・意思決定工程の支援面で活動中。東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(国会事故調)に調査統括補佐として参加、プロジェクトマネジメントなどを担当した。現在「わかりやすい国会事故調プロジェクト」を推進している。

◆コメンテーター: NPO法人情報公開クリアリングハウス 三木由希子さん

■資料代: 一般1,000円  学生 500円
■主 催:ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)
     〒160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル501 認定NPO法人まちぽっと

 「福島原子力発電所事故は終わっていない。不断の改革の努力を尽くすことこそが国民から未来を託された国会議員、国民 一人ひとりの使命であると当委員会は確信する。」

 国会事故調は、日本の憲政史上初めて国権の最高機関である国会が政府からも事業者からも独立した調査を行うために、衆参両院全会一致の東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法により2011年12月8日に設置されました。委員会委員や事務局員は、電力事業者や行政から独立した民間人と国会職員で構成され、国政調査権を背景に強い調査権限を駆使、事故の直接間接の原因、被害の状況を事実に基づいて調査検証し、7ヶ月間に渡る綿密な調査活動の末に、2012年7月5日に報告と7つの提言を国会に提出し解散しました。

 海外ではその内容が高く評価されています。事故後2年、報告書提出から10か月が過ぎ、福島原発事故を日本という国がどう受け止めるのか世界が注視しています。一方、国内では原発事故は過去のものと認識されつつあり、国会事故調の提言もどう生かされるのか依然不透明です。

 今回のアドボカシーカフェでは、国会事故調事務局メンバーであった石橋哲さんにお話を伺います。

 ほとんどの人が原発事故の実態を、知らない、知ろうとしない、あるいは福島に限局された問題と考えているという現状をどう捉えるのか、皆様と一緒に考えて行きたいと思います。
 
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by clearinghouse | 2013-05-20 16:19