気づいたら、あっという間に期日でした。2008~2009年に前の自公政権時代に秘密保全法制に関する検討をしていた「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」とその作業グループ。検討チームは内閣官房副長官を座長に、内閣情報調査室や外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁などがメンバーで秘密保全法制を検討。基本的に同じ枠組みで作業グループが実質的な検討を行うという、そういう場でした。

 ◆部分公開された文書類は こちらに掲載

 特定秘密保護法案の政策形成のプロセスは、会議体としてはこの検討チームと作業グループ、その後に2回だけ開催された有識者会議というのが自公政権下、その後民主党政権下での有識者会議と政務中心の「政府における情報保全に関する検討委員会」があります。これらのプロセスを見ると、法制がどういう枠組みや前提で検討がされていったのかがある程度分かるのですが、検討チームと作業グループはほとんど情報公開がされなかった。たとえば、こんな感じ↓。秘密保全法制についてどういう取りまとめが行われたのか、中身は非公開。


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 だから、不服申し立てをして争ったのですが決定は変わらず、仕方がないので訴訟を提起していました。その第1回口頭弁論が、東京地裁で明日あります。

 偶然にも、はかったわけではなく特定秘密保護法案の閣議決定が予定されている25日の前日(笑)。期日は裁判所から指定された日程で、予定が開いていたというか、こんなに忙しくなるとは思わずに入っていたという日程w

 なんでかわかりませんが、こういうことの引きだけは意味もなく強い、本当に。ついでに明日は、これもはかったわけでもなく、単に日程があったからということで、こちらからの持ち込みで24日の夜にはソーシャルジャスティス基金(SJF)のアドボカシーカフェで特定秘密保護法案を取り上げることに。こちらも偶然です。

 それで、なぜ検討チームのとりまとめが非公開になっているかというと、理由は情報公開法でいう5条3号、5号、6号というもの。3号が
三  公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

というもの。外交防衛に関する情報は、相当の理由があれば不開示にするという規定。5号は審議検討過程に関する情報を不開示にするというもの。6号は行政機関の事務事業への支障を理由としたもの。

 簡単に丸めると、公開請求対象文書の中には、外交防衛に支障のある情報が含まれていること、意思形成過程段階の情報なので公開できないということ、公開すると省庁間の協議に支障が出ること、が非公開の理由です。でも、検討チームとしては結論を見た内容が取りまとめられていたり、その後の政策形成過程も含めてプロセス情報はそういう情報だという前提で公開すればよいし、さらにいえば検討チームなどで取りまとめた内容は、おそらくその後の法制化の流れに大きな影響を与えているだろうし。こういうものも検証できないのに、法制化の是非やその内容議論するのはちょっと違うのではないかと思うわけです。

 だいたい、特定秘密保護法案のような秘密指定をする制度は、ルール作りのプロセスを最大限に公開して検証可能な状態に置かなければ、どこで制度としての妥当性が検証するのか?と思うわけです。

 今の特定秘密保護法案で作ると言っている基準などは、こういう中にいろいろヒントなり手がかりとなる情報が含まれているのではないか、とか、そもそも秘密を守るということしか検討せずに秘密指定の解除や文書管理について検討していないのか、とか、そういうことは法案を出す前にちゃんと公開しましょうね、と言いたいところです。特に、人的管理(適性評価)や罰則などは諸外国の例などの資料を公開された資料を見てもせっせと調べているのに、秘密指定の解除や公開のルールなどは一切参考にされていないという、公開された情報から見える断片を見ただけでも情報の取捨選択の仕方がダイナミックで、何ともあれなわけです。

 というわけで、とりあえず裁判では頑張ってみます。本人訴訟でやっているので、よくわからないこともあるんだけど、まあ何とかなるだろう。
 
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by clearinghouse | 2013-10-23 18:38

 ソーシャルジャスティス基金のアドボカシーカフェで、特定秘密保護法案を取り上げます。期せずして特定秘密保護法案の閣議決定が見込まれている前日です。対話型の場で、参加者同士が話し合いながら理解を深めていきます。まだ少し席があるようなので、ご都合のつく方は是非ご参加ください。

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   国家秘密と情報公開
      ―特定秘密保護法案は、秘密のブラックホールか!
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 ちらしのダウンロードは→ http://p.tl/tbNW

 ■日 時:10月24日(木)18:30~21:00 (18:15開場)
    終了後、会場近くにて懇親会を開催します。どうぞご参加ください。

 ■場 所:文京シビックセンター 4Fシルバーホール
      東京都文京区春日1-16-21
      (丸ノ内線・後楽園駅1分、三田線/大江戸線・春日駅1分)    
      会場地図  http://p.tl/emvs
 
 ■資料代: 一般1,000円  学生 500円

 ■登 壇:

 ◇ゲスト;三木 由希子 さん
       NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長。公的機関の情報公開・個人情報保護に
       関する政策づくりや制度利用者の支援・調査研究などに携わり、国立市情報公開・個人
       情報保護審議会会長、内閣府行政透明化検討チーム構成員、内閣府消費者委員会個
       人情報保護専門調査会委員などを務めた。近著に『高校生からわかる 政治のしくみ・
       議員のしごと』(山田健太・三木由希子編、トランスビュー、2013年)

 ◇コメンテーター;瀬畑 源 さん
       都留文科大学ほか非常勤講師。1976年生まれ。一橋大学博士(社会学)。専門は
       日本近現代政治史(象徴天皇制の形成・展開)。公文書管理問題についてブログ
       「源清流清」を通じて発信。著書に『公文書をつかう―公文書管理制度と歴史研
       究』(青弓社、2011年)。

 ◇モデレーター; 辻 利夫( ソーシャル・ジャスティス基金運営委員、
               認定NPO法人まちぽっと事務局長)

 ■人数の把握のため、事前登録にご協力ください。
   https://socialjustice.jp/20131024.html

 10 月 15 日に開会される臨時国会に、「特定秘密保護法案」が提出されます。国の防衛や外交の秘密を守る法律がないのはおかしいという主張がある一方で、国民の知る権利や報道の自由が制限されるという主張もあり、さまざまな考えがせめぎあっています。その議論の賛否を問う前に、そもそも、この法律によって何が秘密とされるのか、秘密とされる場合、その基準や運用のルールはどうなっているのかがまったく明確ではないのが現状です。そして秘密指定されたものが、時間をへて指定解除となるのかどうか、なるとしたらその基準やルールさえも不明なのです。
 そこで、「秘密が影も形も見えないまま、後世の歴史に検証されることなく、闇から闇へと吸い込まれるブラックホールのようになりかねない」と指摘するNPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長をゲストに迎え、特定秘密保護法案とはそもそも何なのか、成立したらどうなるのかを一緒に考えます。
 
■主催: 認定NPO法人まちぽっと  ソーシャル・ジャスティス基金
    (事務局) 〒160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル501 
         メール: info@socialjustice.jp
         電話:03-5941-7948、FAX:03-3200-9250
 
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by clearinghouse | 2013-10-22 18:23

 与党が特定秘密保護法案を基本的に了承したことを受けて、ある種、法案を成立させるための政治的環境整備とも思われるニュースが流れるようになりました。

 まずは、以下の記事。

 「自民、「知る権利」明記なく了承 特定秘密法案」(10/9 共同通信)
 http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013100901001948.html

 そして、「知る権利の明記」をお土産にして公明党の了承を得るという流れ。

 「「知る権利」「報道の自由」明記 公明了承、来週提出へ 特定秘密保護法案」(10/18 産経新聞)
 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/131018/stt13101811080003-n1.htm

 さらには、情報公開法改正法案を民主党が提出するという記事の中に、なぜか「特定秘密についても非公開を争う訴訟でインカメラ審理を行いチェックをする」という記事。

 「情報公開法改正案提出へ=「特定秘密」司法がチェック-民主」(10/17 時事通信)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013101600679

 そしてさらに、閣議等の議事録作成を特定秘密保護とセットでとなぜかこの二つをセットと説明する首相。

 「首相、閣議の議事録作成を明言 特定秘密保護とセット」(10/18 共同通信)
 http://www.47news.jp/CN/201310/CN2013101801001141.html

 特定秘密保護法案と情報公開法改正、閣議の議事録作成は全く関係ないとは言えませんが、基本的には情報公開法改正と閣議議事録を作成したら特定秘密保護法案を通す環境が整うというような類の問題ではないです。情報公開法を改正してインカメラ審理で特定秘密も審理・・・、という話は特にひどい。おそらく、民主党政権時代の情報公開法改正法案を読んだことがない人が、方針を話したとしか思えないです。

 確かに、2011年4月に国会に提出された情報公開法改正法案には、訴訟におけるインカメラ審理についての規定が入っていました。非公開決定に対して、不服申し立てを審査する「情報公開・個人情報保護審査会」は非公開文書を審査会だけが見て審議を行う「インカメラ審査」を行っています。しかし、非公開を争う訴訟になったときは、裁判所が非公開文書を実際に見て審理を行う「インカメラ審理」が行われていません。最高裁が情報公開法に規定がないのでできないと以前に判断したので、情報公開法改正で入れようということになったわけです。

 それで実際に行政透明化検討チームというところで情報公開法改正について検討が行われて、その結果できた改正法案では訴訟におけるインカメラ審理の規定が設けられたわけです。これは画期的なことで、今の日本の裁判の仕組みではインカメラ審理と称するものは、文書提出命令の拒否の妥当性を裁判所が判断する際に裁判所だけが文書を見るという仕組みとしてあるだけで、証拠調べとしてのインカメラ審理はないからです。

 ただ、この訴訟におけるインカメラ審理には例外が設けられています。改正情報公開法案の規定は以下のようになっています。
(口頭弁論の期日外における行政文書の証拠調べ)
第24条 情報公開訴訟においては、裁判所は、事案の内容、審理の状況、前条に規定する資料の提出の有無、当該資料の記載内容その他の事情を考慮し、特に必要があると認めるときは、申立てにより、当事者の同意を得て、口頭弁論の期日外において、当事者を立ち会わせないで、当該情報公開訴訟に係る行政文書を目的とする文書(民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第二百三十一条に規定する物件を含む。)の証拠調べ又は検証(以下この条において「弁論期日外証拠調べ」という。)をすることができる。
2 前項の申立てがあったときは、被告は、当該行政文書を裁判所に提出し、又は提示することにより、国の防衛若しくは外交上の利益又は公共の安全と秩序の維持に重大な支障を及ぼす場合その他の国の重大な利益を害する場合を除き、同項の同意を拒むことができないものとする。

 下線の部分がポイントです。要は、「国の防衛若しくは外交上の利益又は公共の安全と秩序の維持に重大な支障を及ぼす場合その他の国の重大な利益を害する場合」については、国はインカメラ審理を拒否することができる、ということになっているのです。特定秘密保護法案で特定秘密とされるのは、以下のようなもの。
(特定秘密の指定)
第3条 行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定するものとする。

 情報公開法改正法案でインカメラを拒否する場合は「重大な支障」「重大な利害を害する」で、特定秘密は「著しい支障」となっているわけです。

 この「重大」と「著しい」がどう違うのかと言えば、「過失」の要件では「重大」>「著しい」で「重大」の方が要件が重い、ということのようです。そうすると、廃案になった情報公開法改正法案でインカメラを拒否できる場合は、特定秘密保護法案の領域よりも少し狭いということは言えるのかもしれません。

 でも、情報公開訴訟におけるインカメラ審理は、特定秘密とされる外交・防衛・治安維持分野を中心に拒否できる規定になっていることに違いはありません。情報公開・個人情報保護審査会ではこうした拒否ができないのと対照的です。行政透明化検討チームで外務省、防衛省、警察庁を呼んでヒアリングを行った際、検討チームのメンバーだった私は、それぞれに審査会でインカメラしているんだから裁判でもいいんじゃないの~というような質問をしてみましたが、審査会は事務局が各省庁からの出向者が占め、審査会も行政内部の組織なので抵抗はないけど、裁判所はよそ様でさらには守秘義務が怪しいから大事なものは出したくない、というような趣旨のことを各省庁言っておられたのであります。

 こういう経過をへて、結局は外交・防衛・治安維持分野についてのインカメラ審理拒否可能規定が入ったわけで、それにも関わらず
「行政機関による公文書の非開示決定の是非を裁判所がチェックできる仕組みを盛り込んだ情報公開法改正案を今国会に提出する方針を決めた。今国会の焦点の一つの特定秘密保護法案によって政府が指定する「特定秘密」の妥当性についても、チェック対象とする。」

というようなことが民主党の部門会議で決まったというのは何ともはや・・・。民主党政権下での改正情報公開法案でも、特定秘密に該当するものはインカメラ拒否ができますから!と誰か教えてあげてください。本当に。おそらく、特定秘密保護法案の審議入りをする環境整備なんて感じで安易に何かしたのではないか、と邪推。情報公開法の改正を特定秘密保護法案の前提とするならば、改正内容はもっとダイナミックに変えないと。民主党政権下の改正情報公開法案の内容で行くのであれば、特定秘密保護法案とは別にやらないとおかしな話になってしまうのであります。

 そして別の変化球が、首相の参議院での以下の明言。
「安倍晋三首相は18日午前の参院本会議で、閣議の議事録を作成する方針を明言した。行政文書の適切管理を定める公文書管理法の改正案を国会に提出する。機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案の成立に理解を得るため、セットで議事録の作成と保存が必要と判断した。」

 閣議や閣僚会議等の議事録作成についての議論は、東日本大震災・原発事故対応の政府会議の議事録未作成問題に端を発した公文書管理委員会ので検証、議論の中で、政府の重大な意思決定に関する会議の議事録作成についても検討されることになり、「政府の重要な意思決定にかかわる会議に関する議事概要・議事録作成の在り方<論点整理>」が示されました。これを受けて内閣官房にできたのが「閣議議事録等作成・公開検討チーム」。そして「閣議等議事録の作成・公開制度の方向性について」と「閣僚会議等の議事録等の作成・公開について」が取りまとめられたわけです。

 大雑把にいえば、閣議・閣僚会議の議事録はこれまで未作成だったけど作成を法で義務付けるということを提言しています。そして、作成をするには環境整備が必要ということで、公文書管理法を改正して、

①閣議・閣僚懇談会の議事録を作成を義務付ける
②作成から30年間は秘密として保持し情報公開法に基づく公開請求の対象から除外する
③30年後に原則として国立公文書館に移管をして公開をする

という特別ルールを作ることにしましょうということになっていました。一方、「閣僚会議等の議事録作成」については特に法改正をせずに、議事録・議事概要を作成しましょうということで、法的には作成を義務付けないとしました。そして、作成された議事録・議事概要は原則として10年後に国立公文書館等に移管をすることとし、これらはガイドラインの改訂などで対応しようということになっていたわけです。

 ただ、こちらも例外があり、特定秘密保護法案と一緒に審議されるNSC関連法案で強化されるNSCはこの閣僚会議等に含まれますが、NSCような会議体の議事概要などは10年では移管されずに30年とか50年寝かされることが想定されていることが取りまとめを読むと分かります。この「閣僚会議等」のうちで外交・防衛・治安維持に関する分野に関しては、秘密保全法制の検討の動向を踏まえ、「その中でも必要な検討を行い、安全保障のような政府の重要な意思決定に至る過程の記録が作成されるようにすべきである。」と書かれていました。だから、「閣僚会議等」の一部の分野は特定秘密保護法案と直接かかわる問題、ということは言えます。

 しかし、閣議等は別問題。閣議等の議事録が作成されてこなかったのは、「閣僚同士の議論は自由に忌憚なく行われる必要があること、また、内閣の連帯責任の帰結として、対外的な一体性、統一性の確保が要請されていることから、これを作成し公開することは適当でないとされてきた。」という理由で説明されています。でも、公文書管理法の趣旨を踏まえれば閣議や閣僚懇談会の記録がないのは、適当とは言えないので環境整備を公文書管理法でしましょう」という話です。だから、閣議等の議事録作成・公開のために公文書管理法の改正をすることは必要ですが、それをもって特定秘密保護法案を通すための環境整備というものにはならないわけです。

 一部、情報公開法改正法案や公文書管理法の改正による閣議等の議事録作成・公開ルールが先という主張がされています。市民の知る権利の強化、政府のアカウンタビリティ体制の強化は必要なので、これは絶対的に必要です。しかし、あくまでも今の法制の枠組みで情報公開法や公文書管理法を考えるのであれば、これらの改正が特定秘密保護法案の前提条件ではないわけです。むしろ特定秘密保護法案との関係で公文書管理法を改正するならば、特定秘密の管理(ライフサイクル)について、法案は何も書いていないわけですから、体系的な文書管理という観点から、特定秘密のライフサイクルを公文書管理法に規定すればよい、と思うわけです。こういう本質的なところではない部分で、情報公開法の改正や公文書管理法、閣議等の議事録作成・公開のことを表面的に言葉触りのいいものとして言うのは、これもいわば利敵行為的なこと。

 なんだか、木を見て森を見ていないか、森を見て木を見ていないという主張が多い気がします。いずれも、「こうだ」という自分の主観が錯覚的に客観化されたと思うと、視点が固定化されて「森」で固定された人はそれしか見えないし、「木」で固定された人はそれしか見えなくなってしまうという感じなのかと思います。木も、森も、両方見るのが大事です。木も全体の構造の中でとらえることが必要ですし、森も木の多様性をとらえてみることが大切でしょうと思うのですけど。
 
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by clearinghouse | 2013-10-18 23:06

「秘密」と「非公開」

 特定秘密保護法案の議論でちょっと気になっていることがあります。

 それは、この法案でいう「秘密」と「非公開」が混在して問題点の指摘がされているということです。

 日本語としてだけ考えれば「秘密」=「非公開」で正しいです。秘密も非公開も公開しないことという意味だからです。だから、情報公開制度に基づく公開請求が非公開になれば、政府を「秘密主義」と批判するのは当たり前です。でも、特定秘密保護法案という法制度としての議論では、「秘密」と「非公開」は異なる意味を持つものであると思います。

 「非公開」の領域は、秘密指定と同じではない。というより、違わなければならないものです。非公開の領域すべてが「特定秘密」のような秘密指定の領域となるようであれば、それこそ民主制という観点からすれば悲劇以外の何物でもありません。法案も、作り方としては非公開の領域の一部が秘密指定されるという形をとっています。こういうところで、「非公開」=「秘密指定」とする事例や議論を数多く展開してしまうことは、一見わかりやすいのですが、利敵行為的な側面があることも認識する必要があるのではないかと思います。

 なぜなら、この間の法案をめぐる意見や立場の対立を見ていると、「こんなに非公開がある、あるいは非公開にされていて後からわかったことがある→だから特定秘密保護法案だと秘密が増える」という議論や意見に対して、「非公開の事例に出しているようなことを秘密指定する法案ではないし、実際にそれは秘密指定されるものではないでしょう」という意見や議論が出てくる。確かに、「秘密指定」ではなく、情報非公開=情報統制的な情報の出し方によって明らかにされてこなかったことが、「秘密指定される」と主張されている例も結構あるわけです。

 非公開や秘密指定対象ではないけど情報統制的な情報の出し方がされることはとても問題です。非公開体質の上に秘密指定制度が拡充されるわけですから、秘密の領域の抑制的に指定されるなんて思いません。しかし、この問題は特定秘密保護法案があってもなくても起こる問題でもあるので、別に情報公開を進める、非公開の領域を狭める、そして必要な情報が必要な時に公開され政策を実現させるための努力が必要です。だから、非公開となってきた情報を例にこれも秘密指定されるということよりも、非公開領域を広く確保している外交、防衛、治安維持分野にさらに秘密指定という仕組みが拡充されるということと、この法案がなくても情報公開が全く進まないこれらの分野の情報公開をどう進めるのかということを、もっと構造的に真剣に考えなければならない、と思うわけです。

 という議論になると途端に抽象度が高くなるので、すぐに「難しい」という一言で片づけられて、苦言と苦情をいただいてしまうのが悲しいところで・・・。個人的には、知る権利を具体的に保障するためにどういう議論や問題提起をすべきか、ということをもう少し追求していきたいとは思います。
  
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by clearinghouse | 2013-10-16 23:14

 10月4日の公明党の特定秘密保護法案に関する検討PTで内閣情報調査室が、PTから出されていた追加質問について書面で回答しています。公明党のPT座長大口議員のHPにその回答が載っています。

 特定秘密保護法案に関する検討PTでの論議(報告3)
 
 追加質問は①公文書管理法との関係、②閣議等・NSCの議事録作成、③秘密指定の更新に制限の設定、④国会法との関係、⑤国会との関係、⑥適性評価、⑦罰則、に関するものです。全部触れると長くなるので、目下の私の関心である公文書管理法との関係を拾ってみます。

 自衛隊法に基づく防衛秘密が公文書管理法の適用除外だったという現状に対し、内調も公文書管理法を適用する方向で調整するとこれまでしてきたところです。今回の回答では、具体的にどう適用するのかを説明しています。回答に添付されている資料を見ると、

 1 秘密指定文書の保存期間内に秘密指定が解除されると一般の行政文書と同じ扱いになる
 2 歴史的文書として移管する必要があると秘密指定文書をした場合は、文書の保存期間が
  満了しても秘密指定解除ができないときはそのまま秘密指定が解除されるまで行政機関が
  保存期間を延長する(要は、秘密指定解除とともに国立公文書館に移管となる)
 3 歴史的文書に該当しない秘密指定文書は保存期間満了とともに
    ①秘密指定解除
    ②廃棄(内閣総理大臣の同意)
 
ということになります。今の公文書管理法や特定秘密保護法案を読めば、ここまでは既存の枠組みや法案の枠組みを変えたくなければこうするだろうと、わかることなんですけどね。要は、公文書管理法を変えず、特定秘密保護法案の中で秘密指定文書のライフサイクルの法的枠組みをはめて、秘密指定の解除などをスケジュール化していくような形をとらなければ、こうするしかないということなのだと思います。

 この仕組み、秘密指定文書のうち歴史的に重要と判断されたものは、文書の保存期間が過ぎても秘密指定が解除されるまでひたすら当該文書を持ち続けることになります。文書の保存期間が満了している=行政機関としては不要になった文書、をそのまま秘密指定文書だから抱え込むというのは、行政組織としては当然と思うのでしょうか、そもそもいつまでも抱え込める構造になってしまうと、もはやいったん行政機関が秘密指定すると、そのまま行政機関の中で死蔵させ続けることもできてしまう、ということになってしまいます。

 秘密指定については、法案では有効期限を5年、更新は制限なく可能という仕組みとされていますが、やはり文書の作成から20年とか30年という区切りで、秘密指定の延長ではなく、原則解除を審査する、審査を経てもなお秘密指定延長をすべきものについては例外的に延長するというような、自動的な解除審査の仕組みを入れるべきではないかと思います。今回の内調からの回答には、「特定秘密の指定の更新に制限を設けること」について、「有識者のご意見をうかがいながら統一基準を策定し、適切な行進が行われるよう指針を示したいと考えています」と回答をしていますが、有識者や統一基準という言葉が躍っている感が否めないところです。もっと合理的かつ効果的に秘密指定の解除が進むようなタイムフレームのわかるものにならない者kと思います。
 
 また、別の問題もあるように思います。歴史的に重要として国立公文書館等に移管する基準としては、行政文書管理ガイドラインでは、以下のように書かれています。

 ①国の機関の政策の検討過程、決定に関する重要な情報が記録された文書
 ②国民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書
 ③国民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書
 ④国の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書

 これらの範囲をどのように解釈するかはそれぞれの行政機関が判断することになりますが、もともと「何が重要か」というテーマで作られた基準です。例えば、非公開や秘密指定されている文書は、現用文書の段階で知る権利の保障やアカウンタビリティを果たされていないものです。このような文書は、文書の保存期間満了後などの一定の時間を経れば公開可能になるものも多くあると考えられ、そうすると実際の歴史的文書としての移管の必要性は、①~④に加えて、本来であれば非公開や秘密指定されていた文書群を重点的に審査、検討すべきものではないかとも思うのです。

 特定秘密保護法案のことをさまざまな人と話して多くの人が口にするのは、「秘密指定されているのであれば、そのことでその文書の重要性や明らかなのだから、基本的には歴史的に残して秘密指定解除すべき」というものです。私自身もそう思います。非公開・秘密指定されたものをすべて残すべきとは言いませんが、こうした文書が廃棄されるときはそれを重点的に審査すべきではないかとも思うのです。特定秘密保護法案では、特定秘密である、ということが認識された上で廃棄等の審査が行われることになるとは思いますが、少なくとも①~④の基準に加えて、特定秘密として指定されていたという来歴そのものに重大さの価値を置くべきではないか、そういう判断がされるように仕組みを作るべきだろうと思います。

 ここまで、特定秘密についても、公文書管理法の適用となっていった流れはそれは前向きの前進であり、今の防衛秘密を考えれば、なんぼもまし、というところです。特定秘密のライフサイクルは、出口部分は当初考えられてたものよりは、だいぶましになってきているとは思います。ただ、出口をふさいで正しても、全体が民主的なプロセスになっていないといけないわけで、特定秘密の指定や罰則の適用などの問題は残っているわけです。この二つの問題については、反対運動を続けている人たちが最も危機感を持っているところで、何とかよいアジェンダセッティングをして事態を動かす知恵が出せないものなのかと思います。
 
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by clearinghouse | 2013-10-07 22:55

 特定秘密保護法案に関連して、自衛隊法に基づく防衛秘密の実態について、今日のNHKの19時からのニュースが報じました。私も取材に協力させてもらいました。

 「防衛秘密」の多くが廃棄
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131003/k10015015101000.html

 上記の記事を見ると分かりますが、平成19(2007)年から平成23(2011年)までの5年間の防衛秘密指定文書は約55,000件。この間の廃棄は約34,300件。一方、防衛秘密の指定を解除されたのは1件のみ。指定解除率0.0029%!

 多分解除実績はほとんどないのではないかと予想をしていましたが、結構衝撃です。防衛秘密は、特定秘密保護法案ができると自衛隊法が改正され、特定秘密保護制度にで一本化されます。この防衛秘密の構造が、特定秘密保護法案にも持ち込まれようとしているということですから、ただ事ではない、という問題です。

 先週、私も防衛省防衛政策局から秘密指定解除の実績が過去1件しかないとは聞いていましたが、廃棄件数がわからないとこの解除がどういう意味なのか位置づけがしにくく、廃棄件数についても再照会をしていました。が、今日防衛政策局に電話をしたら、「今週中に回答します」とのこと。今週中って、明日しかないじゃん、と思いつつ、でも金曜日に夕方くらいのいろいろ対応しにくい時間帯に電話があるんだろうなと思っていましたが、NHKにはきちんとお答えになっていたようで。この扱いの違いはなんでしょう(笑)

 これまで防衛秘密については、①秘密の指定基準が実質的にない、②公文書管理法の適用外になっていた、ことまでは私たちの調査でもわかってきて、報道にもなってきたところ。さらに秘密指定文書のライフサイクルについて調べていて、解除が機能せず廃棄がどんどんされていることについて、ようやく実態が見えました。こうした実態なしに、知る権利の議論をしても、ほとんど予定調和的な対立構造にしかならないので、政府のこれまで行ってきた秘密指定のための秘密保護法制が一体何だったのかを全部総ざらいしたうえで、中身の議論がなされることは良いことだと思います。

 2年前に、セミクローズドの勉強会を情報公開クリアリングハウスで行い、安全保障について情報公開という面からも研究をしている知人の研究者を呼んで話を聞いた際、「防衛秘密は秘密の指定解除=廃棄という運用らしい」という話を聞き、以来、ある種の執着をもって情報公開請求をしたりして調べてきたけど、なかなかクリアに問題を示せずにきました。個人的には、ミッシングピースがある、何か足りない感じがしていましたが、最終的には秘密指定文書のライフサイクルの洗い出しが欠けていたことに8月の終わりになって気づいたのはラッキーでした。いろいろ調べたら、ミッシングピースが見事に埋まったというところで、天は見放していなかった、なんて心境になったところです。

 ただ、特定秘密保護法案はではどうするのかと言えば、実はとても悩ましい問題を提示していることになります。というのは、秘密指定文書のライフサイクルとそれとしてきっちり入れ込もうと思うと、秘密指定という外縁がはっきりしなければ、それを前提にシステムをどう機能させるのかを別に考えるか、あるいは秘密を民主的に管理する仕組みをきっちり入れた上で、秘密指定のような仕組みを入れていくのか、という選択肢が出てきてしまうからです。個人的には、秘密や非公開を民主的に管理し、重要なものは歴史的に残され情報公開されていく道を示さないまま、秘密保護法制について議論をすることにはくみしたくない、とは考えています。
 
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by clearinghouse | 2013-10-03 21:32

 公明党「特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチーム」の座長である大口善徳議員が、法案に関する内閣情報調査室とのやり取りなどをHPで公表していることを、知人から教えてもらいました。すっかり見落としていました。

  特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチームでの論議(報告1)
  特定秘密保護法案に関する検討プロジェクトチームでの論議(報告2)
  「知る権利」明記を検討―特定秘密の指定基準で―有識者会議の設置も―秘密保護法案党PTで政府

 9月27日付の内閣情報調査室からの質問事項に対する回答を見ると、特定秘密のマネジメントに関連する部分の現状としては

①特定秘密について統一基準を策定し、策定に当たっては有識者からの意見を聞くことを検討
②公文書管理法の適用については、現在検討を行っている
③特定秘密の保護とともに閣議等の議事録を作成し30年保存して、保存期間満了後に国立公文書館に移管すべきという指摘に対しては、関係当局と協議すべき事項
④情報公開法を改正してインカメラ審理手続きを導入することへの見解として、関係当局と協議すべき事項

となっています。また、罰則等については

①取得行為について「特定秘密の保有者の管理を害する行為」に関する罰則は、不正競争防止法やマイナンバー法でも「管理侵害行為」の罰則があるので、構成要件の明確さは欠くことはない
②「違法行為を伴う取材ではない」という基準は、西山事件の最高裁判決「取材対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する」ような態様であるものの場合には、正当な取材の範囲を著しく逸脱するものは、処罰はあり得る
③特定秘密の漏えいの結果の重大性が量刑に影響を及ぼすことがあると考えられるが、漏えいの結果が及ぼす重大性については、外形立証によってこれを立証することはできる

とのこと。また、国会との関係については、

①国会に特定秘密を提供する場合は秘密会・秘密会議を想定。議事録の取扱いは各議院規則等で定められるものと考えている
②特定秘密を知る議員が本来は知りえない議員に相談をすることについては、特定秘密を提供すると漏えいになるが、国会において講じられる保護措置の具体的な内容等については国会の手続及び規律に関する事項

と書面で回答しています。この書面での回答を受けて、口頭で確認したものの記録が「報告2」です。それによると、

①特定秘密の統一基準は、有識者会議を設置し、議事要旨等も公表する
②特定秘密文書の管理については、「廃棄につき特別の定めをしない方向」
③公文書管理法に基づく廃棄に当たっての総理大臣の同意を要件として国立公文書館への移管をすることについては、「そういった方向で関係省庁と調整している」

ことが確認されたようです。

 特定秘密については、現行の防衛秘密が公文書管理法の適用を受けず、秘密指定されたまま公文書館へ移管する仕組みもなく、どんどん廃棄されている可能性がある状況に対して、何らかの対応をするようではあります。防衛秘密が野放図な仕組みとして作られ、運用されていたことは大きな問題ですが、特定秘密保護法案という段階でそれが秘密を管理する方向に議論を向かわせたことは、一つの収穫になるのかもしれません。

 ただ、公文書管理法の適用をどのようにするのかはかなり微妙な問題。公文書管理法の改正を本来はすべき話であるのかもしれません。というのも、公文書管理法は確かに、行政文書の廃棄に当たっては総理大臣の同意を必要とし、歴史的に重要な文書が廃棄されないようにする一種のゲートキーパーの役割を持たせています。しかし、実際に廃棄文書のチェックは、私たちもインターネット上で検索することのできる「行政文書ファイル管理簿」のファイル名等によって行われています。そうすると、今の公文書管理法の仕組みだと特定秘密もファイル管理簿に搭載をすることになるのか?という問題と、廃棄を認めるか否かの審査段階でそれが特定秘密か否かという情報までは行かないので、特定秘密という重大性を考慮する仕組みには、公文書管理法を素直に読むとなっていないのです。

 気になるのは、口頭での質問に対する回答で、「廃棄につき特別の定めをしない」「廃棄・移管は公文書管理法のルールに則る方向で調整をしている」と内閣情報調査室が説明をしている点です。要は、公文書管理法のうち、管理の基本的な部分は適用除外とし、廃棄については特別秘密保護法案として特別なルールを設けないので、公文書管理法の適用を受けます、と言っているのだと思います。そうすると、行政文書ファイル管理簿に特定秘密は搭載せず、特別秘密を管理する今の防衛省が行っているような管理システムは作ることになるのかなと思います。そして、特別秘密としての廃棄・移管の審査ができるプロセスを別途設けるということになるのだろうかと思います。

 ただ、気になるのは礒崎陽輔首相補佐官が自身のHPで今日、特定秘密保護法案についての記事を更新していますが、その中の以下の記載。

 秘密保護法案の疑問に答える
 5年の期限があることで指定について再考させる機会を与えることになります。特定秘密の指定解除後、文書保存期間が満了すれば、歴史的価値のある文書については、国立公文書館に引き継いで、供覧されることになります。

 個人的な見解としていますが、公文書館への移管は秘密指定が解除され、かつ文書の保存期間が満了したものは移管をすると言っています。移管されるのは秘密指定解除がされてからということになるということです。そうすると、秘密指定をされたまま保存期間をむかえたものは、内閣情報調査室の説明だと廃棄か否かの審査を経て、歴史的に残すべきものは公文書館に移管をするとしていますが、これは秘密指定解除ができるのものだけ移管をし、解除できないものは廃棄を認めず各行政機関にずっと抱えさせるつもり、と解釈することも可能です。

 特定秘密文書のライフサイクルを客観的に検証できるようにしないと、普通は特定秘密の中身に触れることのできないわけですから、お話にならないということになります。ここをもっと明確にはっきりとさせてほしいと思います。特定秘密保護法案が問題になっていますが、自衛隊法に基づく防錆秘密、MDA法、特別管理秘密、省秘などさまざまな秘密が政府には残念ながらあります。秘密や非公開がないのが一番いいのですが、現実は秘密や非公開の領域の検証がルールとしても運用としても実態としても検証ができない状況にあり、これを放置したまま秘密が問題だというのは、どうかと思います。特定秘密保護法案という問題とともに、秘密は民主的に管理をされ、時間軸を長くとってアカウンタビリティを果たす仕組みや、情報公開を広げる仕組みについてもっと議論をしてもよいのではないかと思います。
 
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by clearinghouse | 2013-10-01 21:18