NPO法人の合併

 来週、リリースを予定していたプロジェクトのリリースが延期になり、予定外の時間ができた。それでも、今日、当のプロジェクトについての以下の先行報道が出てしまい、ちょっと困った…。信義則を守ってくれていた他紙の記者の皆さんに申し訳ないと思うところ。

http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/seitou/news/20070222k0000e040073000c.html

 さて、今日のお題はこれとは関係ない。クリアリングハウスは合併することはまずない、というより相手がいないので不可能と思うが、私が理事をしている別のNPO法人は合併を控えている。先日、合併前の最後の総会があったが、NPO法人の合併手続はなかなか大変だ。

 このNPO法人は合併の相手方ともども東京都の所管だが、どうも東京都でも合併が過去になかったかような感じで、いまいち手続などについてはっきりしないところが多い。質問しても充分な回答が返ってこないことも多いよう。そのため、当初想定していたものよりもどんどん踏むべき手続が増え、当初見込んでいた合併NPO法人の登記が2ヶ月近く遅れることとなった。合併に当っては、それぞれの法人間で合併法人におけるミッション等を検討し、それぞれ合併についての合意形成をしなければならないのは言うまでもなく、これもなかなか法人間のすりあわせ等は大変だが、認証等の手続も結構大変。

 合併するには、合併の受け皿になる法人の設立をしなければならないため、その定款、事業計画等の作成をし、総会を行った上で合併認証申請を行い、2ヶ月の公告・縦覧、2ヶ月の審査をへて合併新法人の認証が降りることになる。その前に、合併する法人間で、合併契約書の締結も必要になる。認証が降りてからも手続があって、通常は新設法人の場合は認証から確か10日以内に登記を行うことになるが、合併の場合、債権者への催告・公告を2ヶ月しなければならず、この間、合併前の法人はそれぞれ存続することとなる。この債権者への公告は、官報によることができるが、この公告をするための費用も馬鹿にならない。催告・公告間が過ぎてようやく、合併の受け皿となる新法人の登記ができ、登記をもって旧法人は自動的に解散となる。

 細かい手続は、事務局に任せっぱなしなので事務局が大変だと思うが、次々出てくる手続に、理事会としてもおおわらわだ。なにより、債権者への催告・公告期間の活動をどうするのか、予算立てなどを含めて頭も痛い。これについては、まだ整理ができておらず、具体的な詰めをしなければならない。

 この合併してなくなるNPO法人は、NPO法の法制化に向けての研究会を早くから行なってきたところで、理事の間でもなくなるのを惜しむ声はある。合併しても名称の一部は残るし、発展的な合併であると信じているが、それでもミッションを存在基盤とするNPO法人の合併は、それぞれの背景などを考えると非常に難しい。似たような活動をしてきたようでも、アイデンティティが別々にあったものが、一緒になるということは、それだけのエネルギーと統合に向けての長い努力が必要になる。得がたい経験をしていると思うが、重い課題を背負ってしまった感が、個人的にはある。
# by clearinghouse | 2007-02-23 00:05

 情報公開クリアリングハウスが、東京自治研究センターと共同で実施してきた、パブリックコメント条例検討プロジェクトの報告書がまとまりましたので、以下のような報告会を行ないますので、そのご案内です。報告書は、有償頒布で1部1,000円。A4版で124ページです。目次は、下記のとおり。ご購入を希望される方は、情報公開クリアリングハウス事務局までご連絡ください。

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 「パブリックコメント条例検討プロジェクト」研究報告会のご案内
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 東京自治研究センターと情報公開クリアリングハウスが共同で実施してきた、パブリックコメント条例検討プロジェクトが、このたび報告書をとりまとめました。この成果について、報告する会を以下の予定で行ないます。
 日程が迫っておりますが、ぜひご参加ください。

日時:平成19年2月19日(月) 18時30分~21時程度まで
会場:(社)東京自治研究センター 会議室
   〒161-0034 東京都新宿区上落合2-28-7 落合高山ビル4階
   tel 03-5338-9022 fax 03-5338-9023 tokyojic@jca.apc.org
   http://www.jca.apc.org/tokyojic/welcome/image/map.gif
会費:資料代として1,000円

※なお、会場の都合により、ご参加の際は、できるだけご連絡頂ければと思います

■研究会の趣旨
 パブリックコメントを法制化するための行政手続法が改正され、自治体にも条例化を進めるよう努力義務が課されました。すでに自治基本条例や市民参加条例、単独条例などが進められていますが、今後どのように条例化を図るべきかを追求します。

■調査研究体制(敬称略)
研究主査:三木 由希子(情報公開クリアリングハウス室長)
研究委員:佐々木 貴子(NPO法人東京ランポ理事長)/島田 恵司(大東文化大学専任講師)/水 昭仁(東京自治研究センター研究員)/三野 靖(地方自治総合研究所研究員)
事務局:伊藤 久雄(東京自治研究センター事務局長)

■報告書
「パブリックコメント手続の検証と条例化に向けて-パブリックコメント条例検討プロジェクト報告書」

目次
 はじめに
 第1章 パブリックコメント手続制度と市民参加
 第2章 パブリックコメント手続の制度化に向けて
 第3章 都道府県パブリックコメント制度と行政手続法改正への対応
 第4章 市区町村におけるパブリックコメント制度
 第5章 都道府県公式webサイトに見る国民保護計画についてのパブリックコメントの状況
 第6章 ケーススタディ 横須賀市のパブリック・コメント条例
 資料編
# by clearinghouse | 2007-02-15 14:18

 今週発売のサンデー毎日が、東京都知事交際費や知事の出勤状況、そして四男がらみのトーキョーワンダーサイトの会計文書を取り上げている。サンデー毎日は4年前に、東京都知事交際費と知事の日程表、海外視察に係る公費支出などを、「石原慎太郎研究」として6回シリーズで報道しており、今回は4年を経て知事交際費等々の情報公開請求をして再び取り上げている。

 4年前の報道の際、取材を受け、週に2、3回しか都庁に出勤していない事実を示す知事の日程表や、一回の接遇で数十万円の高額な飲食を交際費を使って繰り返していることを示す会計文書を見せられ、わが目を疑ったものだが、今回も記者が取材に来た際に、相変わらずの交際費と日程表を見せられ、正直、失笑してしまった。今週に入ってもう一度取材を受けたが、その際に別の文書を見せられ、こちらも失笑ものだった。おそらく、来週号のサンデー毎日に記事が掲載されるだろうが、懲りてないとしか評しようがない。

 それにしても、最近の知事の日程表を見ると「庁外」と記載されている日も多く、この「庁外」とは知事の日程を職員が把握していないということのようで、週のうち行方不明が半分、残りの半分もおおよそ午後から登庁してくる知事が、今どきいるというのもすごいし、報道を受けて4年前に批判されてもなお、それを続けているもいろんな意味ですごい。それに、交際費で1回に数十万円という高額の飲食接待が、4年前にいろいろと批判されたのに継続しているのも、いろんな意味ですごい。一般的には、首長の交際費は慶弔や儀礼的なものに支出され、飲食接待に使われることはない。というか、過去にいろいろな自治体の交際費を見てきたが、ここのところ飲食接待と思われる支出は見たことがない。東京都の1999年施行で今も生きている交際費支出基準には、接遇への支出が可とされているが、他自治体の基準はどうなっているのだろうか?

 ところで、4年前のサンデー毎日の報道がきっかけで、知事のガラパゴス諸島への千数百万円という高額な旅費支出と、知事交際費の高額支出に対して、それぞれ支出を違法として別々の原告により住民訴訟が起こされていた。すでに旅費については昨年中に判決が出され、一部の支出が違法とされ、知事交際費については1月30日に東京地裁で判決があり、やはり一部の支出について違法とされたところだ。原告、被告ともに控訴しているため、判決は確定していないが、一部の支出に違法性が認められたことは、それなりに意味があるのだろう。

 判決文は本文が97ページあり、60ページから裁判所の判断が示されているが、多くの部分が、各交際費での接遇に関する支出について、なぜ高額になったのか、その接遇の必要性等々について詳細に都側が主張をした内容と、それに対する裁判所判断で占められている。ところが、実際の支出文書を見てもそんなことはまったくわからないし、接遇の場への出席者の氏名ですら全員明らかでない文書ばかり。裁判になれば詳細に主張をして支出について説明と思しきことをするが、実際の公文書にはそのような記録がないというのは、なんともお粗末。記録のないところでは、意味ある情報公開は成立しない。個人的には、接遇に絶対に使うなとは言わないが、使うならそれなりの筋を通し、それなりの責任を果たせと言いたいところ。

 判決を受けて、2月2日になって、東京都は知事交際費の執行状況についてホームページで2月から公表することを発表し、支出の相手方すべてを記録しない決裁文書も見直すことも表明している。事態は少し前進したが、過去のツケは重く、また監査請求がありそうな予感。それに、登庁しないで週の半分は行方不明という状況は、いかんともしがたい気がするところ。いっそのこと、知事の給与に対する監査請求でもしろということなのかなあ。
# by clearinghouse | 2007-02-09 23:52

 昨年後半、依頼を受けて戸籍・住民票の添付を要する申請事務の実態調査を、深谷市と和光市の協力を得て行っていた。この報告書、依頼主への情報公開クリアリングハウスからの報告と思っていたところ、途中からそのまま有償頒布をするということになり、こちらが作成した報告書が、表紙と冒頭あいさつを加えてそのまま印刷物になった。目次は、こんな感じ。

 Ⅰ 調査の対象等
  1 調査対象
  2 調査の実施
  3 分析・評価等
 Ⅱ 調査結果と分析
  1 申請事務の件数等
   (1)申請事務の件数   (2)申請の実績
  2 申請事務の種類等
   (1)申請事務の種類   (2)住民票等の添付の根拠
  3 住民票等により確認できる事項
  4 深谷市・和光市における申請事務の検討
   (1)国民年金関係   (2)市議会議員共済年金関係
   (3)農業年金関係   (4)戦没者の遺族に対する特別弔慰金等
   (5)心身障害者扶養共済年金受給権者現況届
   (6)ひとり親家庭等医療費受給者交付申請
   (7)児童扶養手当関係   (8)生活保護申請
   (9)介護給付費、訓練等給付費支給申請書兼利用者負担額減額・免除等申請
   (10)貸付制度   (11)個人情報保護条例(法定代理人による開示請求等)
   (12)農地関係   (13)一般廃棄物処理業許可(変更)申請等
   (14)開発行為関係   (15)下水・排水・給水工事等に関する申請
   (16)資格証明の交付に関する申請事務   (17)公営住宅関係
   (18)境界確認申請   (19)入札関係等   (20)用地買収関係
   (21)深谷市花植木公設地方卸売市場買受人承認申請
   (22)消防賞じゅつ上申書   (23)水洗便所改善資金の貸付事務
   (24)里親申込書   (25)職員採用関係
  5 評価

 調査ではヒアリングを各市役所に対して行なったが、それだけではやはり住民票等の添付の妥当性について評価・分析はできないので、結局、各申請事務の諾否の要件や申請事務の趣旨などを洗い出し、整理して分析することに。おかげさまで、妙に自治体の申請事務に詳しくなってしまった。この仕事をしている、情報公開制度、個人情報保護制度だけ知っていても仕事にならないので、個別の問題の関連制度や仕組みを常に調べることになり、妙な知識ばかり増える。肝心の常識は、・・・という感じなところなので、この状況、悩ましい。

 頒布価格は45ページで1000円と高めですが、ご関心があれば情報公開クリアリングハウス(icj@clearing-house.org)までお問い合わせください。
# by clearinghouse | 2007-02-01 23:18

 クリアリングハウスの仕事と4月以降の仕事と、現在2つの仕事が並行して進んでいるので、なかなか時間のやりくりが難しくなってきていて、ブログの更新もままならない。自分の置かれている状況が想像していたよりもいろいろな意味で良くないと思うときは、自分自身にそれをあえて納得させることも必要だけど、いろいろとストレスがたまりますわね。

 さて、少し時間がたってしまったが、22日に徳島地裁で情報公開訴訟の判決がだされた。私は、判決について取材を読売新聞から受けたので知ったもので、記事は地方版にしか掲載されておらず有料のデータベースにしか収録されていなかったので、ここで記事の引用は控える。

 争われていたのは、徳島市が住居表示台帳と住居表示案内図の公開請求対し、全部非公開とした決定だ。徳島市は、住居表示台帳には個人情報が記載されていて非公開情報に該当するが、台帳は543枚にのぼり大量の個人情報が記載されているため、個人情報部分を分離して部分公開するには、多大な時間と費用がかかることから容易に分離できないことを理由に、部分公開も拒み、全部非公開としていた。判決は、個人情報を除いて部分公開をせよと徳島市に命じており、判決の内容としてはきわめて妥当。文書が大量で、かつ黒塗りする箇所が大量であることを理由に部分公開できる文書が全部非公開とされてはかなわない。特に、住居表示台帳の場合、公開部分と非公開部分を分離することは容易なはず。このような場合の全部非公開を認めていたら、内容ではなく分量で部分公開できるものを全部非公開とされかねない。徳島市の決定は、この点で情報公開条例の運用としてはきわめて問題があるもので、それを覆した判決は、きわめて妥当ということになる。

 ところが、この徳島市の全部非公開の決定の背景は推測するしかないが、これまで私が知りえている情報を総合すると、この全部非公開の決定には別の問題が透けて見える。徳島市に対して請求をしていたのは、全国各地で地図に作成のために「閲覧」情報を情報公開条例を使って請求をしている業者だ。地図作成のための情報公開請求で、紙の文書や電子データが大量に請求されるため、各地の自治体で対応に苦慮している。また、この業者に限るものではないが、建築計画概要書の大量請求が各地で出されるなど、事業者による大量の情報公開請求を受けて、一部の自治体では情報公開条例の改正などが検討される状況になっている。

 これらの問題、もとをただすと各法律で「閲覧」とされている情報のコピーが、情報公開条例を利用して請求されているケースが多い。例えば、徳島市のケースで争われた住居表示台帳の作成根拠である住居表示法は、台帳の関係人から請求に対し閲覧させなければならないとしているが、コピーの規定がない。建築計画概要書も建築基準法で概要書の閲覧を定めてるが、コピーの規定がない。一部の情報公開条例は、法令等に閲覧規定のある文書の公開請求を認めていないが、情報公開法をはじめ情報公開条例にも、法令等に閲覧規定がある場合、閲覧はその法令等により、コピーについては情報公開制度を適用している。政治資金収支報告書が、かつて政治資金規正法で閲覧しか規定していなかったため、コピーが認められなかったが、このような個別の法律の不備により閲覧できてもコピーができないという問題に対し、個別法を改正するのではなく、情報公開制度を並行適用することでコピー問題を解消したといって良い。

 しかし、政治資金収支報告書のように、国民による監視を目的とするような仕組みの場合、広く何人にも公開することが法の目的にかなうものもあるが、「閲覧」できると個別の法律で定められている情報の、閲覧と定めた目的はそれぞれ異なるし、その目的からコピーを認める範囲も異なってくるだろう。ところが、情報公開制度はそのような目的等を踏まえてコピーを認める仕組みではないため、各自治体が対応に苦慮したり、本来の情報公開制度の使われ方と違うと考えたり、そして公開することに抵抗したりと、現場レベルでの迷走が続いている。情報公開制度の並行適用が問題とは思わない。しかし、各法令等で閲覧情報の扱いを整理し、閲覧制度の目的に照らしてコピーの規定を整備する必要はあるのではないかと思う。
# by clearinghouse | 2007-01-28 01:32