改正行政不服審査法案の省庁間協議の記録 中途半端に公開

 
 行政不服審査法の全面改正法案が国会に提出され、6月に衆議院総務委員会で閉会中審査の議決がされているものの、その後、法案は審議されずにここに至っている。現在開会中の臨時国会で総務委員会は2回しか開かれておらず、議案として審議されていないようだ。このまま総選挙となると、いったん廃案となるが、いろいろ気になることもあって、私の周囲でも話題になってはいる。

 今回の法改正は全面改正で、審査請求と異議申立てと2種類あった不服申し立てが審査請求に一元化され、再審査請求の廃止、審理員による庁内での審査手続の導入、行政不服審査会の設置と諮問手続の導入、標準審理期間の設置など、行政不服審査の手続の運用や制度設計で問題となっていた点を踏まえた改正で、おおむね歓迎される内容だ。

 情報公開制度を利用していると、非公開決定等に対する不服申立ては通常の争訟手段であるが、情報公開法関係では、整備法で改正される情報公開法等で審理員にかかる手続などは適用除外になっており、これまでと審査会への諮問前の手続については基本的には変化はないようだ。改正法案では、60条で行政不服審査会の設置等が定められているが、これは情報公開・個人情報保護審査会から行政不服審査会へ改組によるので、「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」で、情報公開・個人情報保護審査会設置法は廃止とされている。廃止に伴い、設置法に定められていた審査会の権限等については、整備法で情報公開法や行政機関個人情報保護法などを改正して規定されることいなっている。設置法は、情報公開審査会が行政機関個人情報保護法などの制定でそれにかかる案件についても諮問を受けるため、従来の情報公開法等で審査会を規定していたものを、独立した設置法としたことに始まるの。改正案で、設置については行政不服審査法に、権限については情報公開法等で規定することになったので、一部、情報公開法制定当時に元に戻ったというところだ。また、現行の情報公開・個人情報保護審査会では諮問対象にならなかった不作為の申し立てについては、今回の整備法での改正に合わせ、情報公開法等で諮問の対象になっており、この辺は改正法案における不作為案件の取り扱いに準じた扱いになっている。

 ただ、情報公開・個人情報保護審査会からの移行とはいっても、内閣府に設置されていたところから、行政不服審査会は改正法案で総務省に設置するとされており、所管庁が変わることでどのような影響が出てくるのか読めない。全省庁にかかる案件を審査会は扱うので、いささか不安がないわけではない。また、行政不服全般について扱うことになるため、審査会への諮問がどの範囲になるのか整備法による改正をよく整理しないとわからないが、整備法による法改正が大量すぎでよくわからない。

 2006年度の行政不服審査法の施行状況については、最近総務省からの発表があったところで、それによると、不服申し立ての件数は、異議申立てが6315件、審査請求は10795件、再審査請求が1664件で、おおよその分類は以下のとおりとなっていた。

 異議申立て  国税通則法…4718件、国税徴収法…446件、情報公開法…441件
          その他…710件

 審査請求  社会保険関係…4298件、国税通則法…2810件
         労働者災害補償保険法…1873件、その他…1814件

 再審査請求  社会保険関係…882件、労働者災害補償保険法…510件
          生活保護法…141件、その他…131件

 申立件数が多いのは、社会保険関係、国税関係、労災関係だ。これらの不服申し立てには、第三者機関が裁決機関として設置されているもの、諮問機関として設置されているものがあり、裁決機関は、再審査請求に対する裁決機関であるものもあるので、改正法案で再審査請求がなくなったことを受けて、所要の措置が整備法で講じられていると思われる。件数が多い分野は、簡易迅速な救済制度とするためにも、基本的にはそれを専門的に扱う第三者機関があるべきだと思うし、改正法案はその方針なので、実際に審査会諮問マターになるのは、現在の申し立て件数の20%弱くらいなのかなあ。ただ、情報公開・個人情報保護審査会は行政不服審査会に改組されるので、専門的な審理機関から不服申し立て一般を扱うジェネラルな第三者機関になる。この位置づけの変更と、総務省の所管になることが、個人的には不安の種。これまでの第三者機関としての蓄積を考えれば、昨今の情報公開・個人情報保護審査会の全般的な答申の内容に大いに不満があるところだが、だからこそ、独立性、第三者性と専門性をもった審査を行う制度整備が肝要のように思う。そうしたところ、行政不服審査会に改組されても、部会制で運営されるので、情報公開・個人情報保護法関係を専門的に扱う部会の設置が必要かと思うところだ。

 こうした種種の不安があったので、改正行政不服審査法案の省庁間協議とその関係関係資料の情報公開請求をして公開を受けているが、なんとも中途半端に文書が特定されて公開された。ざっと目を通して、今回公開された協議以外に、あとどれくらい、関係省庁との間で協議等が行われているのか、おおよそわかったので、追加で公開請求をしないと全容がわからない。が、今回公開されたものも情報価値がないわけではないので、この内容については、後で紹介できればしたいと思う。(たぶん続く…)
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by clearinghouse | 2008-11-01 21:33