鳥取県改正情報公開条例の成立

 12月18日に鳥取県議会で改正情報公開条例が成立。

 年末は何かと忙しい時期で(年明けでもよいと思うことが詰まってくるのはなぜでしょう…)、十分に対応できなかったことが心残りで、条例を運用する側の個別の都合で情報公開制度の原則をゆがめる改正が行われ得ることは、今回の改正の大きな教訓。特に、先進的な取り組みとして勢いよく政策作りをしているところは、良い面があるのはもちろんだけど、行政側の都合で原則がゆがめられるときは、ブレーキがきかないことが、よ~くわかったような気がする。

 くどいようだけど、やっぱり以下の今回の改正はやってはいけないことをやっている。
(全国学力調査情報の使用に当たっての配慮)
第18条の2 全国学力調査情報(第9条第2項第7号に規定する調査のうち全国的な児童等の学力の実態を把握するため実施されるものの調査結果に関する情報であって、特定の学校又は学級を識別することができるものをいう。以下同じ。)の開示決定を受けた者は、この条例の目的及び第4条の規定の趣旨を踏まえ、成長段階にある児童等の心情に配慮し、特定の学校又は学級が識別されることにより学校の序列化、過度の競争等が生じることのないように当該全国学力調査情報を使用しなければならない。
 この条文の意味するところは、要は学校別、学級別の情報は、そもそも開示することによる支障があるので、情報の開示を受けた者は使用について配慮せよということ。情報公開制度では、特定個人に対する開示が可能であるものであっても、一般に公開することにより不開示事由に該当すれば、この制度のもとでは非公開になる。だからこそ、利害関係者であっても一般と同じように開示・不開示が判断されているし、本人の個人情報だから開示せよというのは、個人情報保護制度のもとで別に請求権として保障する仕組みと取っている。利害関係のある情報の利害関係者への開示は、一般制度である情報公開制度ではなく、別に権利保障する仕組みが必要ということになる。

 ところが、新たに追加された上記の条文は、請求権を行使した者は、請求対象文書に権利行使の対象物として特別の利害関係を有するので、その人には見せますよ、だけどこういう支障のある情報で、その支障はこういう支障だから使い方に責任を持ちなさい、ということを言っている。この考え方だと、情報の開示を受けた請求者が序列化や過度の競争を生じさせることを意図せずに結果の公表や提供を行ったとしても、それによって情報を入手した人たちがそのように使えば、請求者の意図とは関係なく序列化や競争の原因とされることもあることになる。要は、請求者の意図や目的は関係なく、それを受け取った他人の情報の利用方法にも責任をもてと言っているに等しい。

 情報は受け取った人によってさまざまな見方、使い方がされるものであって、またその人のリテラシーによっても持つ意味が変わってくるもの。そうすると、開示を受けた請求者は自身の意図・目的に関係なく、一般的にどのような影響が考えうるのかという可能性を考えて、自主規制を行わざるを得ない。結局は、一般に公開することの支障・影響を請求者が改めて判断することになり、行政が開示・不開示を判断するのではなく、請求者にその責を負わせることになる。

 やっぱり、どう考えても変だ。学力テストの結果の開示について、何をしたいのか、政策として何を目指しているのかもさっぱりわからない。開示することが目的化していることがおかしい。よく、請求者が情報公開することを目的化しているのではないか、何に使っているかわからないという話を、情報公開に消極的な自治体、積極的な自治体の関係者双方から聞くことがある。この疑問は、個人的には正しいと思っている。というのは、ずっと、情報の公開はそれが最終目的ではなく、公開された情報を利用することで何らかの目的を達成するために不可欠な基本的な権利であると思っているからだ。だから、請求者に対して開示を行うことを目的化するような考えは、そもそも条例の目的にも反するだろう。しかし、上記の追加された規定は、請求者への開示を目的化するもので、その結果、原則から逸脱はなはだしいものになったのではないかと思う。

 この見方が正しいかどうかはわからない。だけど、そういうふうにしか見えないんだよね。私には。
 
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by clearinghouse | 2008-12-26 00:00