人気ブログランキング | 話題のタグを見る

行政救済制度検討チームがはじまっていました

 8月31日に、行政救済制度検討チームの第1回会合が開かれていました。行政透明化検討チームと似た感じのもので、今回は、仙石官房長官が顧問、蓮舫行政刷新担当大臣と原口総務大臣が共同座長で、政務と有識者で構成されています。

 行政救済制度検討チーム
 http://www.cao.go.jp/sasshin/shokuin/gyosei-kyusai/index.html

 行政不服審査法の改正が検討されていますが、さかのぼると2006年~2007年にかけて総務省に行政不服審査制度検討会が設けられて、抜本的改正が検討され、2008年通常国会に改正法案が提出されていましたが、諸事情によりつるされ、総選挙に突入して廃案となっていました。

 行政不服審査制度検討会
  http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/gyoukan/kanri/gyouseifufuku/index.html

 2008年行政不服審査法案
  概要 http://www.soumu.go.jp/menu_hourei/pdf/169_080411_1_01.pdf
  要綱 http://www.soumu.go.jp/menu_hourei/pdf/169_080411_1_02.pdf
  法案 http://www.soumu.go.jp/menu_hourei/pdf/169_080411_1_02.pdf

 この時点でも抜本改正でしたが、改めて今の政権で改正内容について検討となったようです。

 過去の案は、情報公開審査会を行政不服審査会に衣替えして、専門店ではなく百貨店になります、というような改正内容も含まれていました。その是非についてももちろん議論があったところでありました。ただ、おおむね、これまで分かりにくかった行政救済制度が少しわかりやすくなる内容ではありました。

 第1回会合で、情報公開法のときと同じように「行政不服審査法の改正の方向性について」が出されており、これについていろいろ意見・論点を出していくことになるのだと思います。

 ざっと見たところで、過去の改正法案と改正の方向性の大きな違いは、改正法案が審理員(処分に関与した者以外の者から大臣等が指名)による審理手続の導入であったのに対し、改正の方向性では、審理官(行政に関する高度の専門的な知識と十分な経験を有する者を任命。職権行使の独立及び身分保障を行う)による審理手続の導入となっているところです。改正の方向性の方が、より独立性の高い地位を考えているようです。こうした方向性を受けてか、改正法案ではあった不服申し立てを審査する第三者機関である行政不服審査会の設置が、改正の方向性では設置しないとされています。

 また、改正の方向性では新たな仕組みとして、審査請求人の補助体制の整備が図られるよう。手続や技術的な助言を行うスタッフの確保等体制整備を行うとのこと。

 改正の方向性では、行政事件訴訟法の場合などを念頭に不服申立人適格の拡大、自治体における不服審査は、審理官制度と審査請求人補助体制については任意の選択によることなども出されています。

 情報公開制度の情報公開審査会など、個別の制度で第三者機関を設けているものは、こうした審理官制度が入った場合に、手続的には並存するとするとどうなるんだろうとちょっと疑問。今でも、行政不服審査法の手続と審査会制度が並存しているので、ときどきややこしい問題があったりするし。

 でも、とにかく情報公開・個人情報保護制度の関係で不服申し立てをする場合、そもそも行政不服審査法も分かりにくいし、審査会制度との関係もわかりにくいしと、とても説明が大変だったりしたところが、既定路線ではありますが少しシンプルになるのと、さらに申立人の機会保障強化の方向に行きそうなことは歓迎であります。

 しばらくこの動きにも注目です。
 
by clearinghouse | 2010-09-09 00:52