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第5回 公益通報者保護専門調査会終了

 10月27日に第5回公益通報者保護専門調査会が開催されました。この専門調査会は、あと3回の開催でとりまとめが行われることになっています。

 配布資料などは以下から
 http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/koueki/101027/shiryou.html

 以下の資料にある審議事項項目について、残りの回で検討します。
 http://www.cao.go.jp/consumer/kabusoshiki/koueki/101027/101027_shiryou4.pdf 

 法改正が必要ということになるかどうかは何とも。ただ、議論に参加していて思うのは、普通の人の目線の議論ではなく、「強者の議論」かなあということです。なんだか葛藤がない。普通の人って、結構葛藤しながらどうしたらいいんだろうと考えるかなと思うし、公益通報を行う場合はなおさらかなと思う。それは法律論は超えたいろんなジレンマの中にいるからなんだと思う。そう思うと、やっぱり普通の人の目線を持った議論が必要だと思うけど、なんかそういう目線が少ないと感じるのは気のせいか?

 公益通報者保護法は、究極的には公益通報をした結果、不利益を受けたことを争う時に通報者を助ける法律ではありますが、法律の最大の問題はこの法律のいう「公益」となるものがなんだか複雑で難しいということなんだけどなあと思う。それに、法律は通報される側(企業や行政機関)の予見可能性はある程度確保しているけど、通報者の予見可能性はというと、結構厳しい。そもそも法律の構成自体が難しいし、では自分の予見可能性を高めるためにとりあえず相談と思っても、外部に相談するとなると外部通報になってしまう可能性も否定できない法律構成。何とも通報者にとってのジレンマが大きい。

 この法律があってよかった、という通報経験者はいるんでしょうか。判例やニュース、そして行政機関での通報受け付けの状況だけでは、この法律が実際にどう機能しているのかがなかなか見えてこない。以前に、イギリスと南アフリカとそれぞれで公益開示法の制定等々にかかわった人たちといろいろ話をしていたときに、この法律が実際にどう機能しているのかは、紛争になってみないとわからない、だから検証が難しいなんて話をしたことがありましたけど、こんなところにも、この法律のジレンマはあるんですよね。
 
by clearinghouse | 2010-10-29 01:42 | 公益通報者保護