政府における情報保全に関する検討委員会

 12月9日に、「政府における情報保全に関する検討委員会」の第1回会合が開かれたと各紙報道が。12月7日付に開催についての内閣総理大臣決裁が行われていたようで、尖閣問題のビデオ流出事件以来、加速度的にいわゆる「情報保全」に対する政府の対策が行われようとしています。

「政府における情報保全に関する検討委員会の開催について」
http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201012/__icsFiles/afieldfile/2010/12/07/101207kaisai.pdf
 

 検討委員会の委員長を務める仙谷官房長官は、記者会見で以下のような発言をしています。
 本日、政府における情報保全に関する検討委員会の第1回委員会が開催され、委員長として出席いたしました。本検討委員会は秘密保全に関する法制の在り方や、特に機密性の高い情報を取り扱う政府機関の情報保全システムにおいて必要と考えられる措置について検討をするものでありますが、私(官房長官)から各委員に対しては、単に検討の器を作ったということにならないよう、入念に準備した上で深い議論をしていただきたいということ。法制面もシステム面も重要な問題でありますので、真に効果的な方策の構築に向けて、真剣かつ迅速に取り組んでいただきたいということを指示したところでございます。

 また、検討委員会には、「法制」と「情報保全システム」の二つの有識者会議がおかれるとのこと。
「半年かけ統一基準=情報保全検討委が初会合」(2010.12.9 時事通信)
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010120900056
 検討委は、仙谷長官のほか、官房副長官、外務、防衛、警察など関係省庁の局長級らで構成。初会合では、検討委の下に「法制」と「情報保全システム」の2つの有識者会議を置き、併せて関係省庁の実務者による検討部会も設置することを決めた。

 Wikileaksのこともあって、どんな方向に議論が行くのか非常に心配。政権交代前に「情報保全の在り方に関する有識者会議」が2回開かれ、政権交代とともに立ち消えていた「情報保全」に対する検討の動きが、この間の諸所の問題を受けて再燃したということだと思います。日本では、主に防衛にかかわる部分に「秘密保全」に関する規定がありますが、全体的な保護性度がないことは問題、という議論は大昔からあります。

 自衛隊法には防衛秘密に関する規定が設けられましたが、防衛秘密の指定に関する手続などをみると、指定はするけど秘密指定解除の手続は明示されず、文書は廃棄されるというフローになっています。秘密指定は永久にブラックボックスに入れて市民から遠ざけるという意味ではないはずなのですが、公文書管理法の施行等にあわせて秘密指定文書のライフサイクルの議論がされている気配はないです

 そもそも、秘密指定手続は政府のためのものであって、市民のためのものではない。誰の利益を代弁あるいは代表して秘密とするのかは、実に微妙な問題です。そもそも、政府が開かれたものであるという大きな前提と実践がないと、政府に対する信頼性は低下しますし、市民に対して開かれていないということは政府の組織の中のオープンさも低いことになるので、情報漏えいなどのリスクは高まることになると、大きくいえば考えられると思っています。だから、情報保全を強化し、罰則も強化することで組織内部の規制を強めることが、今の現実の問題への解決策とはとても考えられないのであります。

 一方で、過去の「情報保全の在り方に関する有識者会議」の第1回会合の議事概要を見ると、以下のような発言をされたメンバーがいます。
「情報や秘密を制限することにアレルギーがあった時代から、情報に対する感覚は大きく変わってきている。情報を国民から見えないところに置くのはとんでもないと言われていたのが、「国民の利益のために重要な情報を保全する」ということも理解されるようになってきている。」
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/hozen/090810/gijiyousi.pdf

 ちなみにこの有識者会議の委員は以下の方々。
  寺島実郎/多摩大学学長
  永野秀雄法/政大学教授
  西修/駒澤大学教授【座長】
  前田雅英/首都大学東京大学院教授

 有識者会議として、会議は非公開、発言者名のない議事概要と公表と決めているので、上記の発言はこの委員全員のものとして受け止めるしかない。発言者名のない議事録は、それを作ると決めた人全員で議事内容として公表される発言について責任を取ってもらうしかない。自分の発言ではないという言い訳は、何ら論拠のないものであるので、そういうものなのですよ。

 今の世論の空気がどの辺にあるのかはわかりません。この間の、尖閣問題のビデオ流出事件では、本来であれが秘密保護法制推進の立場ではないかと考えられる志向性を持っているであろう人々が、それを賞賛をしている姿を見ていると、とてもご都合主義的に大きな方向性が動いていく社会になっているのかもしれないと思うから。

 Wikileaksについても、どう思いますかというメールや電話がいくつかあったり、今回の政府の動きもあるので、改めて別に何か書いてみようと思います。
 
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by clearinghouse | 2010-12-11 13:59