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原発事故の情報公開―福島原子力発電所事故対策統合本部

 原発事故関係の公表情報を見ていて、ふと思った。「福島原子力発電所事故対策統合本部」が立ち上がり、ここ主催で官邸・原子力安全保安院・原子力安全委員会・東京電力の共同記者会見が行われているけど、この「統合本部」って公的機関なのか?ということを。

 統合本部は本部長が総理大臣。政府と東京電力が「一体」となって危機対応をするということだけど、これは行政機関と行ってよいのだろうか、ということ。設置根拠は何かと探していたら、5月6日の官房長官記者会見で以下のような言及がありました。
 事実上の組織である「福島原子力発電所事故対策統合本部」については、「政府・東京電力統合対策室」に改組して、政府における位置付けを明確にいたします。
 http://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/201105/6_a.html

 これ以前は、政府の位置づけは明確ではなかったということですね。そうすると、統合本部は公文書管理法の適用を受けて、公文書の管理が適正に行われていたのか、作成からその整理、廃棄等についてどういうルールに基づいて行っていたのかなど、非常に疑問です。非常時とはいえ、政府の位置づけがはっきりしない組織が、事実上の司令塔として動いていたとなると、前代未聞とも言うべきでしょうか。

 統合本部も「政府・東京電力統合対策室」も、情報を集約して市民に提供していくことはしていないし、記者会見関係の情報も政府のHPにはなし。少なくとも、私は見つけられなかった。そもそも、原発事故に関しては、さまざまな官庁がそれぞれの所掌事務の範囲でいろいろな仕事をしていて、それぞれ発表をしている。加えて、東京電力、自治体、国際機関、外国政府などさまざまな情報が乱れ飛ぶ世界。もはや、普通の人には、自力でどうこうというレベルではないのではと。

 非常時、危機においてどう政府が普通の人にわかるように情報公開を行っていくのかを真剣に考えないと、情報の公開や発表、会見を通じて拡散されるのは前に言ったことや別の機関の情報と違う、矛盾するという不信感のみ。どこが信頼に足りる役割を果たしているのかがわからない今、それぞれがばらばらと会見をしたり情報公開をしていることで、その矛盾等々から正確性が高まるという側面もあるので、一概にばらばら公開が悪いとは言えないところではありますが・・・

 でも、せめてもっと集約的に情報を一覧できるような情報提供ができないのかと思う。そうしないと本当はいけないけど、それを政府ができるか、政府のいう「情報公開」とは一体何なのかということが私たちの前に現れているということなのだと思うのであります。
by clearinghouse | 2011-06-14 23:28