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福島県県民健康管理調査 甲状腺検査結果と二次検査実施状況の市町村別情報が情報公開請求で今度は非公開に

 6月5日に開催された福島県県民健康管理調査検討委員会は、委員から福島県立医大の関係者が抜け、人がかなり入れ替わりました。甲状腺検査の実施状況も、一次検査の市町村別一覧だけでなく、二次検査の実施状況も市町村別のものが資料として配布され、以前の情報公開請求をしないと一次検査の市町村別結果も公開されなかった状況とは彼我の感があります。情報が公開され、共有されることで議論の前提となる共通基盤が一つできてきたということであると思いますので、ここからどういう議論が進むのかを注意してみていきたいところです。

 福島県県民健康管理調査検討委員会の資料は こちらから

 情報公開は進みましたが、変な矛盾も発生しています。県民健康管理調査検討委員会では、甲状腺検査結果の市町村別一覧と二次検査の実施状況が資料として配布され、福島県のホームページでも公表されています。この検討会の開催からさかのぼること1カ月ほど前、甲状腺検査の市町村別一覧を含む情報を情報公開請求をしていました。ちょうど、検討委員会が開催されたその日に、一部公開された文書が手元に届きましたが、見てびっくり。情報公開請求をして公開された文書では、2012年度の甲状腺検査結果の市町村別の結果と二次検査の実施状況が非公開になっていたからです。

○2012年度中の甲状腺検査の一次検査結果の市町村別一覧

 検討委員会での配布資料
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 情報公開請求で公開された資料
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○甲状腺検査の二次検査実施状況

 検討委員会での配布資料
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 情報公開請求で公開された資料
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 なんでこんなことが起こっているのか。それは、情報公開制度がもつ、理屈がつけば非公開という判断もできるというある種の性質が出ているからであろうと思います。非公開になった市町村別の結果は、検討委員会で配布された資料の作成時点とずれています。甲状腺検査結果の集計は、情報公開請求して特定されているのは2013年4月17日現在のもので、3月15日検査分までの結果確定という記載があります。一方、検討委員会で配布された資料は、2013年3月31日現在。二次検査の実施状況は、情報公開請求で特定されたのは2013年4月8日現在のもの。一方検討委員会では5月27日現在のものが資料として出されています。時点の違う資料なので、情報公開請求でも公開されている合計だけ見ても、数字が異なっているのがわかります。

 おそらく、このことを受けて、「途中経過の状態で情報を開示することは、検査結果について誤った判断や認識により無用の不安を招き、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため」とう理由で、非公開決定をしたのではないかと思います。ただ、時点が違うことは資料から見てはっきりしているので、数字が検討委員会の資料と異なっても何も不安を招くことにはならないと思うので、県立医大が不開示理由に該当すると判断するのは裁量的な判断なので勝手ですが、そもそもこういう理由で非公開とすること自体、明らかに変です。

 さらに言えば、こういう普通の感覚から見れば明らかに変だと思うことを、条例の規定が適用できると裁量的に判断して情報公開請求に対しては非公開とするという対応自体が、そういう判断をした県立医大の情報公開に対する姿勢に疑問を抱かせ、信頼や信用を貶めることになります。そのことを考えると、こういう決定をすることにどれだけのデメリットがあり、メリットがあるのかという比較をすれば、結果はおのずと変わってくると思うのですが、そういう感覚はないのでしょうか。

 ただ、個人的には適用された非公開理由は、なかなか解釈上争いがいのあるものなので、早々に不服申し立てをしておこうと思います。申立てをすれば、決定変更なんてこともあり得るのかなとも思いますが、放っておいてよい話ではないので、ここはきちんと争う意思は示しておかないといけないところです。

 また、個人的には、検討委員会で甲状腺検査結果の資料の公開範囲が大幅に拡大したのは、検討委員会から県立医大関係者が抜けて、県民健康管理調査のデータに日常的にアクセスし、フォローをしていない委員を中心に構成されたことが響いていると言えるのではないかと考えています。秘密会問題があきらかになり、公の場以外でデータの共有などがしにくくなったことによって、いやでも検討委員会に健康管理調査関係のデータをある程度出さなければならなくなったのではないか。そうだとすると、この間、県民健康管理調査のさまざまなプロセスに関わる問題が明らかになったことは、甲状腺検査結果に限らず、大きな意味を持ってくるのではないか。そういう期待感も個人的にはあります。
by clearinghouse | 2013-06-06 23:13