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特定秘密保護法案と公文書管理法の関係

 10月4日の公明党の特定秘密保護法案に関する検討PTで内閣情報調査室が、PTから出されていた追加質問について書面で回答しています。公明党のPT座長大口議員のHPにその回答が載っています。

 特定秘密保護法案に関する検討PTでの論議(報告3)
 
 追加質問は①公文書管理法との関係、②閣議等・NSCの議事録作成、③秘密指定の更新に制限の設定、④国会法との関係、⑤国会との関係、⑥適性評価、⑦罰則、に関するものです。全部触れると長くなるので、目下の私の関心である公文書管理法との関係を拾ってみます。

 自衛隊法に基づく防衛秘密が公文書管理法の適用除外だったという現状に対し、内調も公文書管理法を適用する方向で調整するとこれまでしてきたところです。今回の回答では、具体的にどう適用するのかを説明しています。回答に添付されている資料を見ると、

 1 秘密指定文書の保存期間内に秘密指定が解除されると一般の行政文書と同じ扱いになる
 2 歴史的文書として移管する必要があると秘密指定文書をした場合は、文書の保存期間が
  満了しても秘密指定解除ができないときはそのまま秘密指定が解除されるまで行政機関が
  保存期間を延長する(要は、秘密指定解除とともに国立公文書館に移管となる)
 3 歴史的文書に該当しない秘密指定文書は保存期間満了とともに
    ①秘密指定解除
    ②廃棄(内閣総理大臣の同意)
 
ということになります。今の公文書管理法や特定秘密保護法案を読めば、ここまでは既存の枠組みや法案の枠組みを変えたくなければこうするだろうと、わかることなんですけどね。要は、公文書管理法を変えず、特定秘密保護法案の中で秘密指定文書のライフサイクルの法的枠組みをはめて、秘密指定の解除などをスケジュール化していくような形をとらなければ、こうするしかないということなのだと思います。

 この仕組み、秘密指定文書のうち歴史的に重要と判断されたものは、文書の保存期間が過ぎても秘密指定が解除されるまでひたすら当該文書を持ち続けることになります。文書の保存期間が満了している=行政機関としては不要になった文書、をそのまま秘密指定文書だから抱え込むというのは、行政組織としては当然と思うのでしょうか、そもそもいつまでも抱え込める構造になってしまうと、もはやいったん行政機関が秘密指定すると、そのまま行政機関の中で死蔵させ続けることもできてしまう、ということになってしまいます。

 秘密指定については、法案では有効期限を5年、更新は制限なく可能という仕組みとされていますが、やはり文書の作成から20年とか30年という区切りで、秘密指定の延長ではなく、原則解除を審査する、審査を経てもなお秘密指定延長をすべきものについては例外的に延長するというような、自動的な解除審査の仕組みを入れるべきではないかと思います。今回の内調からの回答には、「特定秘密の指定の更新に制限を設けること」について、「有識者のご意見をうかがいながら統一基準を策定し、適切な行進が行われるよう指針を示したいと考えています」と回答をしていますが、有識者や統一基準という言葉が躍っている感が否めないところです。もっと合理的かつ効果的に秘密指定の解除が進むようなタイムフレームのわかるものにならない者kと思います。
 
 また、別の問題もあるように思います。歴史的に重要として国立公文書館等に移管する基準としては、行政文書管理ガイドラインでは、以下のように書かれています。

 ①国の機関の政策の検討過程、決定に関する重要な情報が記録された文書
 ②国民の権利及び義務に関する重要な情報が記録された文書
 ③国民を取り巻く社会環境、自然環境等に関する重要な情報が記録された文書
 ④国の歴史、文化、学術、事件等に関する重要な情報が記録された文書

 これらの範囲をどのように解釈するかはそれぞれの行政機関が判断することになりますが、もともと「何が重要か」というテーマで作られた基準です。例えば、非公開や秘密指定されている文書は、現用文書の段階で知る権利の保障やアカウンタビリティを果たされていないものです。このような文書は、文書の保存期間満了後などの一定の時間を経れば公開可能になるものも多くあると考えられ、そうすると実際の歴史的文書としての移管の必要性は、①~④に加えて、本来であれば非公開や秘密指定されていた文書群を重点的に審査、検討すべきものではないかとも思うのです。

 特定秘密保護法案のことをさまざまな人と話して多くの人が口にするのは、「秘密指定されているのであれば、そのことでその文書の重要性や明らかなのだから、基本的には歴史的に残して秘密指定解除すべき」というものです。私自身もそう思います。非公開・秘密指定されたものをすべて残すべきとは言いませんが、こうした文書が廃棄されるときはそれを重点的に審査すべきではないかとも思うのです。特定秘密保護法案では、特定秘密である、ということが認識された上で廃棄等の審査が行われることになるとは思いますが、少なくとも①~④の基準に加えて、特定秘密として指定されていたという来歴そのものに重大さの価値を置くべきではないか、そういう判断がされるように仕組みを作るべきだろうと思います。

 ここまで、特定秘密についても、公文書管理法の適用となっていった流れはそれは前向きの前進であり、今の防衛秘密を考えれば、なんぼもまし、というところです。特定秘密のライフサイクルは、出口部分は当初考えられてたものよりは、だいぶましになってきているとは思います。ただ、出口をふさいで正しても、全体が民主的なプロセスになっていないといけないわけで、特定秘密の指定や罰則の適用などの問題は残っているわけです。この二つの問題については、反対運動を続けている人たちが最も危機感を持っているところで、何とかよいアジェンダセッティングをして事態を動かす知恵が出せないものなのかと思います。
 
by clearinghouse | 2013-10-07 22:55