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廃棄をまぬがれた公文書リストを見てめまいがしてきた

 公文書管理法が2011年4月に施行され、これ以降は内閣総理大臣(実質は内閣府)の同意なしには公文書の廃棄ができなくなった。各省庁が行政文書を廃棄する場合は、行政文書ファイル管理簿に搭載されているファイル等の名称などが提出され、それが歴史文書としての移基準に照らして廃棄妥当かどうかが審査されることになっている。

 2011年度、2012年度の運用状況を見ると、数百件が廃棄が不同意となり、国立公文書館などへの移管となっているほか、そもそも保存期間が満了していないものが混ざり込んでいて、差し戻されたりしている。どんな文書が該当しているのか調べようと思い、関連文書を情報公開請求してみた。

 廃棄をまぬがれた文書類を見ていると、審議会等のいわゆる第三者機関の資料などが相当含まれていることがわかる。そして、法令等の作成過程、過去の首脳会談や条約関係の国際交渉や協議、予算関係、60年以上保管されていた文書類、「歴史的資料」とファイル名がついているものなどが結構含まれている。

 見ていてめまいがしてきた。これらには、2011年度、2012年度中に保存期間満了を迎えたものが少なくない。ということは、公文書管理法施行以前は、類似のものはどんどん捨てていたということね、ということだからだ。道理で、国立公文書館がスカスカと言われてきたわけだと改めて思う。

 廃棄審査が十分かどうかは何とも言えない。実態が見えないし、廃棄対象になった行政文書ファイル等のリストをすべて確認するにはリストを入手するしかないが、分量を考えるとコピー代が相当かわいくない金額になると思われるので、ちょっと無理。でも、廃棄をまぬがれた行政文書たちを見て、せめてこれだけでも救われた(過去は救いようがなかったけど)ということは、一歩前進と言うべきだろうとも思う。

 とにかく、廃棄をまぬがれた行政文書たちを見ていて、過去の扱いを思うとめまいがする、気分が悪くなるのは請け合い。失われたものは戻らない。深くため息をつきつつ、やはり公文書管理法は育てていかないといけないと思う。
 
by clearinghouse | 2015-06-11 22:54