公文書検索システムの文書件名に個人名

 電子決裁等のできる文書管理システムを導入する自治体が増えている。このシステムが導入されると、電子決裁・供覧が行われた文書は、紙の添付文書がなければ電子的に保存・管理されることになり、管理上の必要性から文書件名や所管課、作成年月日や保存年限などの基本的なデータが作成されることになる。ここで作成される文書件名等を利用して、インターネット上で公文書検索システムを提供する自治体が徐々に増えている。

 このシステムについては、各自治体のウェブを見ても電子決裁等文書しか検索できないことの説明がないことには大いに不満なのだが、、利便性の向上という点から歓迎している。ただ、電子決裁等文書しか検索できないということは、使う側も十分に理解をして使わないと危ないので、あくまでも補助的な手段と考える必要もある。

 この公文書検索システムで検索できる文書件名に、個人情報が混ざっていたことが三重県内部で発覚したのは、10月5日のことだ。職員が検索していて偶然に見つけたとのことで、検索システムを停止し、翌日には報道発表されているが、この情報に触れて驚いたのが、児童相談所の療育手帳の判定を受けた児童の氏名が、5件の文書件名に記載されていたということだったからだ。

 療育手帳は知的障害児に発行されるもので、これに関わる氏名はきわめてセンシティブなもの。よりによって、というところだが、これを受けて三重県で実施したシステムに入っている公文書件名の点検結果が11月29日に出されて、また驚いた。今回新たに見つかった件名に個人情報が含まれていたのは13件。2002年度前期分の授業料減免措置を受けた県立看護大の学生の姓や、生活保護の受給停止手続き中の個人の姓名、県立高校であしなが育英会の貸与終了に関する書類で個人の姓名が含まれていたからだ。こちらもきわめてセンシティブなもの。他にも用地交渉記録、用地取得の契約文書に個人情報が含まれていた。

 11月29日付で再発防止策として、文書作成事務のチェック体制の徹底により、文書件名保存での誤りを改善するとしている。文書管理システムと公文書検索システムはイコールの情報が記載されているとは限らず、件名から非公開情報を除いて検索システム用のデータが作られるのが通常だ。三重県では、この検索システム用のデータ作成に誤りがあったことが問題の原因なので、ここのチェック体制の強化を対策としているが、今回の問題からは、療育手帳や生活保護というセンシティブ情報の塊を扱う担当部署の感覚の緩さに致命的なものを感じてしまう。

 三重県の対応としては、職員が発見した文書件名への個人名の掲載を発覚後すぐに公表し、その後に調査してフォローし、結果を公表したところはえらい。内部で発見した問題は、こっそりと処理されてもおかしくない。当面は、問題を起こした部署は特に大いに緊張感を持って対応に当るだろう。ただ、「感覚の緩さ」は気になるなあ。

 三重県県ホームページ・公文書検索ページへの個人情報掲載に関する点検結果
 http://www.pref.mie.jp/TOPICS/2006110398.htm
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by clearinghouse | 2006-12-02 01:55