衆議院 議院行政文書を情報公開へ

 知人が寄稿したという冊子を1週間ほど前にもらい、見ていてふと目に止まったのが、衆議院で今年の4月からいわゆる行政文書を原則公開とするという方針、という記事。昨年11月に何かがあったことが分かる記事だった。仕事としては情報公開の世界から離れているので情報の感度は確実に落ちているが、それにしてもこういう大事なことを見落としていたのはいくらなんでもまずいということで、状況を確認しなければと思いつつ1週間が過ぎる。そろそろ確認しないと何かまずい気がするということで、今日(6日)の昼間、時間を見つけて衆議院議員の事務所と、国会担当になった知人の新聞記者に、情報収集をお願いする電話をしてみた。そうしたところ、偶然にも電話をしたころに衆議院の議運で衆議院の行政文書についての情報公開の規程が了承されたという。電話を入れたお二方ともから、「知っていたの?」と聞かれてしまったよ、単なる偶然なんだけど…。いわゆる虫の知らせというヤツでしょうか。こういう、なんだかよくわからないけど引きだけは強い。だからといって何もできないけど…。自己分析的には、自分の頭の中は直感と妄想で8割くらいを占めているように思うので、その通りの展開と言えば、そうかも。

 さて、衆議院の議運で何が了承されたのかというと、それは「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」。衆議院事務局の職員が行政事務の遂行上作成・取得した文書を対象としたものだ。規程の第1条で趣旨を定め、行政機関情報公開法の趣旨を踏まえたものとしているが、基本的には情報公開法の枠組みを踏まえ、衆議院としていくつか独自の規定が入っている。目についたのは、以下の部分。

(1)「議院行政文書」から「衆議院の立法及び調査に係る文書」が含まれない

(2)不開示事由に、情報公開法の不開示事由に加え、①法令等に別段の定めがあるとき、②当該議院行政文書に、会派又は議員の活動に関する情報であって、公にすることにより、これらの活動に支障を及ぼすおそれのあるものが記録されているとき、が追加されている。また、情報公開法の不開示規定についても括弧書きで「衆議院の立法及び調査に係る事務の性質上、公にすることにより、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれのある情報を含む」が追加されている。

(3)不開示等の場合の理由付記については「開示しない理由を簡潔に付記するものとすること」とされている。

(4)開示請求手数料、開示実施手数料についての定めがない

(5)開示決定期限の延長の定めがなく、「原則として30日以内に行うものとする」となっている。

(6)不開示決定等の場合については苦情の申出が認められ、事務総長の諮問に基づき苦情を審査する「衆議院事務局情報公開苦情審査会」が設置される。3名の学識経験者が議長の同意を得て事務総長により任命される。苦情の申出に対する審査会答申後、40日以内の決定を原則とする。

 (1)は、この規程で対処すべきというよりは、立法経過や議会活動そのものにかかわる情報が除外されているので、これについては別に文書の保存・管理と公開のルールが必要のように思う。リアルタイムでの公開などは難しいことはあっても、一定期間経過後や歴史的文書としての公開はあり得るだろう。今、政府・与党は文書管理法制定の方向で動いているが、内閣官房に設けられている関係省庁連絡会議に衆議院事務局もオブ参加しているので、こうした中で進展があればとも思う。

 (2)は、②の範囲が気になるところ。(3)は、国会が行政手続法が適用されないこともあり、理由付記がどうなるか、気になるところ。「簡潔に」というのは、どのようなものが想定されているのだろうか。ちなみに、情報公開法の理由付記に関する解釈は、コンメンタールである『詳解 情報公開法』では以下のようになっている。請求者からすると妥当なところだが、衆議院の規程の運用ではどうなるだろうか。
 このうち、理由の提示については、単に法律上の根拠条項を示すだけでは足りず、申請者が拒否の理由を明確に認識しうるものであることが必要であると解されており、不開示情報の内容が明らかにならない限度において、どのような類型の情報が記録されているかを示すことになると考えられる。
 また、開示請求に係る行政文書に複数の不開示情報が記録されている場合や一の情報が複数の不開示情報に該当する場合には、そのそれぞれについて、理由の提示が必要である。なお、不開示情報が多くかつ散在しており、それぞれについて個別に理由を提示することが困難な場合には、理由の提示の趣旨が損なわれない範囲で、同種・類似の事項をまとめて理由を記載することはあり得る。

 (4)は単に定めがないだけ。開示請求手数料を取らないということであれば、それは議会としての見識を示したものであり、大いに歓迎だが、いまいち取扱いが分からないので、不安材料でもある。(5)は、原則が守れない場合の取り扱いについて、どのように運用するのかが少し懸念材料。

 (6)はなかなか工夫されているので、基本的には歓迎だ。審査会の答申後の決定について原則40日の期限を設けているのは、一定の見識とも受け取れる。情報公開法、自治体の情報公開条例も、基本的には答申後の実施機関の決定については期限を設けていない。問題のある運用だと、答申が出てから1年以上も決定されないこともある。これは、情報公開制度の運用上の問題とされているもので、こうした問題を踏まえて期限を定めたのであれば、一定の見識と言えると思うところ。

 これは2008年4月1日から実施される。こうした規程が策定された背景には、2006年に明らかになった衆議院事務局の国勢調査活動費や備品の購入費を流用した飲食が、会計検査院に保管されている文書の公開請求から明らかになったことがある。以来、国会が情報公開の仕組みの対象とならない聖域となっていることは問題とされてきた。今日(6日)、聞いた話では昨年11月に衆議院事務局から議運に最初の案が提出されたが、その時はアイディアは良いが不開示の場合についてはもっとアイディアが必要ではないかということでいったん事務局に差し戻されたとのこと。私が見た記事は、このときのことを書いたものと思われる。その後、事務局で検討され、6日の議運に再度提出され、了承されたという。国会の情報公開では、参議院が参議院改革の中で以前に検討していたことがあり、今でも課題として認識されていると思うし、これまでは一歩先んじていた感があったが、衆議院事務局は自らの不祥事を受けてこうして仕組みを導入することとしたのは、一定の前進と思う。参議院でも早急に対応する必要があろう。

 これについて、コメントを求められたので某新聞で上記に記したような話をしたが、肝心の、立法府なのだから「規程」ではなく、「立法化」を目指してほしいということを言い忘れてしまった(´_`||) 掲載されるかどうかはわからないが、我ながら相変わらず詰めが甘いなあ・・・

追記
 コメントが掲載されていました。ちょっと省略されすぎてしまったかなあ…
 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080207k0000m010162000c.html
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by clearinghouse | 2008-02-07 01:53