するどい突っ込み


 イギリスに、Public Concern at WorkというNGOがある。イギリスの公益開示法の制定を事実上主導したところで、その法律は、日本の公益通報者保護法の検討に当たっては大いに参考にされた。以前に、公益通報者保護制度に首を突っ込んでいた時期があり、PCaWにも大いにお世話になった。

 そのNGOの創立者で強力なリーダーであった事務局長のGuy Dehn氏から、事務局長をやめるよ~、と突然、メールが来たのが8月のこと。今はすでにPCaWを事務局長として去っており、バリスター(弁護士)であるのでビジネスパートナーとして関わっている。何で!!と思ってメールを返信しようとしたときに、ふと、そういえば私も室長を降りたことを知らせてなかった、と思ってそのことも一緒に伝えたところ、先方からも何で!!というお返事が返ってきた。自分がPCaWの事務局長を降りる以上に、私が室長を降りることは想像できなかったらしい。逆に私もそうなので、まあ、この際、お互いさまということで・・・

 それから、何で辞めたのかとか、これから何をするつもりなのか、何をしているのかなどなどのやり取りをしている中で、するどい突っ込みを入れられてしまった。それは、クリアリングハウスの室長を降りたことは、キャリア形成の中で良いことなのか、ということ。いや~、今の私にとっては最も厳しいご指摘。自分でもうすうす思っていることを、こうもはっきり言われると、見透かされたような気分になります。

 彼は日本に2回来ていて、一度は日本国内旅行の一部を案内したり、メールのやり取りもあったり、私がイギリスに行ったときはご自宅にも招いてもらっているので、いろいろな話をする機会があった。そいう中で、私のクリアリングハウスでの仕事に強い共感を持ってくれていたのは、彼自身もイギリスでの情報公開法制定運動に関わってきたから。

 Campaign for Freedom of InformationというイギリスのNGOは、クリアリングハウスの前身の情報公開法を求める市民運動と本当に良く似た組織でもあり、クリアリングハウスとも似ている。そこの事務局長と彼は長年の友人であり、支援も行っている。以前に私が両方を訪問したときには、事務所もお互い同じ建物の中にあり、日常的な行き来もしていた。この事務局長、法律家でもなく、いわゆる法学部の出身でもない。私もそう。この事務局長を、彼は「いわゆる法律家ではないけど、自分が知ってる中で最も優れた法律家の一人」と言い、私にも同じようなことを言ってくれている。私へのものは明らかに過分な評価だが、一つの分野で続けることが、こういう法律的な分野でも、学問的、学術的なバックグラウンドを超えて、地に足をつけた専門性のある仕事につながること、そしてだからこそできる仕事や役割があるということを、彼は良くわかっているんだよね。

 私といえば、そういう突っ込みの裏側にある言葉がわかる分、メールの返信に困り、改めてしばらく考えた。今の仕事はキャリア形成という点からだけ見れば、キャリアダウンの方向に向かっている。仕事の内容は、7、8年前には卒業をしたようなもの(人にお任せするようになったもの)が半分くらいを占めているし、久しく搾り出すように頭を使うとか、思考を深めるとか、議論をしながら何かをつくりだしていく、ということを仕事でしていない。議論をしながらとか、新しいこと、という触発されることのは、むしろ仕事外のNPOなどに関与している中での方が多い。なので、仕事が変わったことは、意味がないわけではないけど、展望が開けるものではない、むしろ以前のNPOとのかかわりのほうが意味があるような気がするという返事をしたら、容易に予想されることとはいえ、「じゃあ、何で仕事変えたの??」と「それって、すごく残念。」という返事が返ってきた。

 やり取りは、他のことも含めて飛び飛びにまだ続いているが、本当にいろいろ考えた。やっぱり、当たり前のことだけど、自分のためというだけでなく、自分が培ってきたものをどうしたら活かすことができて、自分にとっての成長にもなるかも考えないと。今の仕事は、あまりそういう意味では関係が薄いのかもしれない。するどい突っ込みを入れられて、そういえば自分もきちんと考えていなかったなあ、と安易だった自分に反省です。自分なりに仕切り直しの仕方を考えるきっかけになりました。

 さて、こういうことがあって、いろいろこのところの消極的なマインドから、この際、別に人に行ってもらった方が、と思って少し躊躇していたメキシコシティで行われるセミナーのスピーカーとしてのご招待を受けることにした。スピーカーは世界中から来ていて、知っている人が何人もいる。Campaign for Freedom of Informationの事務局長も来る。Rick Snellというタスマニア大学の仙人のような人も、Article19の人も(この人たちは、ビールを水のように飲む人たちなのだ。特に、最後の人!)。 セミナーの招待状が送られてくる直前にRick Snellから「元気~?」というメールが来ていたので、彼の紹介かと思ったら、すでに彼が紹介する前に私の名前が主催者側に伝えられていたとのこと。どうも残りの二人のどちらかが、主催者に私を紹介してくれたよう。前向きな気持ちになると、他にもいっぱいいろんな人が招かれているので、何が何でも行きたいと思ってしまう。(その前に、期限切れ間近のパスポートの更新をしないと)

 セミナーはメキシコ連邦区政府の機関の主催。のぞいてみたら、英語のサイトもできていました。セミナーは11月中旬の開催で少し先のことなので、今の私はそれまでに体調を整えないとと思うけど、ちょっと元気が出てきたp(^ ^)q

Information and Protection of Personal Data: Opposites Faces of the Same Rights
 
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by clearinghouse | 2008-10-16 00:00