2014年 06月 10日
議事の「記録」から不開示情報を削除するというありがたくない範を示す閣議
パブコメ情報は http://bit.ly/1nHLGLh
4月から閣議や閣僚懇談会の議事の記録の作成と公表が始まりました。このこと自体は大きな前進です。明治の内閣制度発足以来作成されてこなかったので、憲政史上初めての取り組みとされています。これは事実でありますが、これをもってとにかく記録がつくられるようになったのだから、それだけでよいというわけではありません。
すでに情報公開クリアリングハウスでは意見表明をしていますが、閣議等の公表されている記録からは、情報公開法に定める不開示事由に該当する情報が削除されているだけでなく、記録そのものから削除して残さないという運用をしているからです。
しかも、閣議決定や内閣官房長官決定の作成・公表ルールにはこのことは記載されず、実施に当たっての作成手順の中で公表時に不開示情報を削除とのみ書かれているだけです。明文化されたルールからは、不開示情報が記録に残らないとまでは読めず、要は公表されている記録以外にはの残さないため、不開示情報は削除されると残らないということになってしまうわけです。
今回の行政文書管理ガイドラインと、閣議等の記録の作成は大いに関係があります。
ガイドライン改定案は、閣僚会議等と言われる、閣僚の参加する会議体の記録の作成を義務付けるために行われるものですが、それに合わせて、これまで議事録・議事概要・会議録などさまざまな名称でよばれる会議の記録について、従来の「議事録・議事概要」という記載から、「議事の記録」と表記を統一することと、記録とは何かを定義づけるものです。
閣僚会議等の議事録作成の義務化は大きな前進で、このこと自体は歓迎をしています。
問題は、改定案で定義づけられた「議事の記録」です。
今のガイドラインは、審議会等の議事録の作成の必要性を述べ、その議事録とは「発言者名を記載した議事録」としか記載がありません。改訂案は、「議事の記録」の作成を義務付けるもので、「開催日時、開催場所、出席者、議題、発言者名及び発言内容」を記載したものとしています。また、作成義務の範囲は、審議会等だけでなく「国務大臣を構成員とする会議又は省議における議事の作成」を義務付けるものとなっています。
この「記録」という言葉は、ガイドラインで初めて出てきたというよりは、「閣議等の記録の作成及び公表要領」(内閣官房長官決定)の中で改定案と同様の定義がされています。要領には、「記録の記載事項」として、開催日時、開催場所、出席者、議事結果、発言者名および発言内容とあります。「議事結果」というところだけがガイドラインでは「議題」となっているので微妙に違いますが、これは会議体の性質によるものと考えられます。
つまり、「記録」は閣議等の記録と同じ意味をガイドラインにおいても持つことになるわけです。ここで見過ごしてはならないのは、行政府の最高意思決定機関である内閣が、閣議等の記録には不開示情報を記録しないということを、率先して行っているということです。
これまで、議事録や議事概要が省略され過ぎている、肝心の経緯が記録されていない、不開示情報と思われるものが記録されていないということはままありますし、問題とされてきました。問題の背景には、公表できる範囲でしか記録を作成しない、不開示情報も記録する速記録は避けるなどがありました。
不開示情報を削除して、公表できる議事概要を公表すること自体が問題とは言いません。情報公開請求によらずにより多くの情報にアクセスできる機会が保障されることは重要です。しかし、公表できるものしか残さないというのが誤りなのです。不開示情報も含めて記録をしなければ、永遠にアクセスする機会を私達は失います。これが政府のアカウンタビリティの姿であるとすると、それは非常に低レベルの話であります。記録を残す、それは不開示情報や秘密であっても残すということを徹底すべきだと思うのです。
ところが、閣議等が率先して不開示情報は記録として残さないという範を行政機関に対して示している。これでは、行政機関に対して不開示情報を記録しなくても記録であるという間違ったメッセージを発しているにほからないのであります。せっかくガイドラインの改定により前進をしている部分もありながらも、従来と同じような問題を引き起こしかねない構造が、全体の中に埋め込まれている。
このことは、憲政史上初の閣議の記録作成という言葉によってごまかしてよい問題だとは思えないわけであります。せっかく、閣議等の記録の作成・公表や、閣僚会議等の記録の作成の義務化など、手放しで評価したい話なのに、なんでこういう筋の悪いことを混ぜ込んでくるのかと、ぼやきたくもなるわけです。
だから、今の流れが悪いとかそういう問題ではなく、良いことをしていることを、良いことだと素直にみなが認められるような筋をちゃんと通してくださいと思うわけであります。
閣議等の記録の作成・公表を始めるに当たっての政府の資料には、その趣旨を「透明性の向上」「情報公開」「国民への説明責任」とあげられています。不開示情報は記録しないという運用で、これらが徹底されているとはとても言えない。せっかく正しい方向のことをしているのだから、正しさをせめてまっとうしてくれないものでしょうか。
で、ガイドライン改定案との関係ですが、このままだと閣議等の記録作成の運用が範となって行政機関の作成する記録にも影響を与えてはいけませんので、不開示情報でも記録をすることをガイドラインで義務付けるべきだろうと思います。
ちなみに、あまり知られていませんが、内閣そのものは情報公開法や公文書管理法の適用を受けておらず、ただし事務局として存在する内閣官房に資料や業務情報がたまるので、結果的にはほとんどがアクセス可能な情報になっているというものです。閣議・閣僚懇談会には事務方は入っていないので、この記録は、何らかの形で事務方に渡らなればそれまでということでもあります。
いろいろややこしい。
2014年 06月 07日
特定秘密と公益通報、情報漏えい
特定秘密保護法の国会審議に当たっては、外部から特定秘密を取得しようとする行為が一定条件のもとで刑事罰の対象となり得ることに対して批判が集中しました。しかし、情報の流通は送り手と受け手の両方がいて初めて成立するもの。特定秘密保護法の問題は、取得者への処罰とともに、内部からの単純・過失の情報漏えいが処罰の対象になるり得ることにあります。政府が情報漏えい体質であることが良いとは言いませんが、不適当・不適法な政府活動が非公開や特定秘密の壁に阻まれて温存されることは問題であり、こうした情報が流通して是正される仕組みが必要なのは言うまでもありません。
不適当・不適法な政府活動がないことが最も望ましいのは間違いないですが、理想や「頑張ります」という努力だけを語っていても仕方がないところです。だから、いわゆる公益通報(内部告発)によって、問題のある政府活動や公務員の活動に関する情報が、是正させるために必要な場に運ばれることが重要で、その情報を運ぶ人を国外のNGOは「メッセンジャー」と表することがあります。
特定秘密保護法との関係では、公益通報者保護法により十分対応できる可能な政府答弁や説明がされてきて、個人的にはあまりの浅い考えに頭を抱えたところです。というのも秘密保護の仕組みにおける「情報漏えい」とは何かという理解が、極めて怪しいと思うからです。
情報漏えいというと、政府の外部に情報を漏らした場合ばかりが想定されていると思います。日本語では情報漏えいと言いますが、個人的には「Unauthorized Disclosure」とした方がしっくりきます。この間、国外とのやりとりが続いていますが、その時も例外なくみな、この言葉を用いています。内閣官房が公開した英語の特定秘密保護法の概要版も「Unauthorized disclosure」という言葉が翻訳として当たっています。
何が言いたいのかというと、「情報漏えい」とは、ある特定秘密にアクセスする権限のない人に特定秘密そのものを開示する(提供する)、あるは「知得」した内容を話すことそのものも含むものだということです。アクセス権限のない人に、正当なアクセス権限を有した公務員が特定秘密を洩らせば、そのことだけで処罰の対象になり得るということになります。
実際、2007年に明らかになった「イージスシステム情報漏えい事件」は、この自衛隊内部でのアクセス権限のない自衛官に対する情報漏えいが刑事罰の対象となりました。
イージスシステム情報漏えい事件は、三等海佐がイージスシステム情報を、その情報の取扱者の指定を受けていない同僚に送付し、そこからさらに4名に転送されています。最後に転送を受けた同僚(2等海曹)の自宅が、妻の出入国管理等違反で家宅捜索がされた際にイージスシステム情報が発見されたのが発覚の経緯です。お分かりいただける通り、この件では、警察が発見をしていますが、海上自衛隊の中を出ていない情報漏えい事件でした。
刑事罰は、最初に同僚に情報を漏えいした三等海佐が懲役2年6月(執行猶予4年)となり、その後同僚に転送した海上自衛官は書類送検(起訴猶予)で、最後に情報を受けた2等海曹のみ刑事罰には問われていません。
適用された罰則規定は、MDA秘密保護法(日米相互援助協定等に伴う秘密保護法)のものです。規定は以下のようになっています。
(罰則)
第三条 左の各号の一に該当する者は、十年以下の懲役に処する。
一 わが国の安全を害すべき用途に供する目的をもつて、又は不当な方法で、特別防衛秘密を探知し、又は収集した者
二 わが国の安全を害する目的をもつて、特別防衛秘密を他人に漏らした者
三 特別防衛秘密を取り扱うことを業務とする者で、その業務により知得し、又は領有した特別防衛秘密を他人に漏らしたもの
2 前項第二号又は第三号に該当する者を除き、特別防衛秘密を他人に漏らした者は、五年以下の懲役に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
三等海佐は3条1項3号、それ以外は3条2項が適用されたのではないかと思います。
このことを踏まえると、次のことが言えます。
特定秘密については、不適当・不適法な政府活動の秘密指定を禁止していません。さらには、不適法に特定秘密が指定されていた場合についても、通報するシステムを設けていません。国会に同様のことを通報するようなシステムもないわけです。そうすると、特定秘密は、当該特定秘密にアクセスする権限を有する人以外に、その内容も含めて通報すると、条件を整えておかないと、そのことが情報漏えいに該当しうることになります。
特定秘密の範囲であっても、不適当・不適法な政府活動に関する情報があるときは、それを特定秘密保護法にいう情報漏えいに該当しないように安全に通報できるシステムが法的に保障されていないと、誰が適法に通報を受けられるのか、誰に対する通報であれば安全であるのかがはっきりしないということになります。また、不適当・不適法に秘密指定したり、解除が回避されていた場合は、そのことを安全に誰に通報できるのか、ということが法的に整備されていなければ、問題を是正する機会が失われることになります。繰り返しますが、ここでいう情報漏えいとは、文書そのものの漏えい(権限なき開示)だけでなく、「知得」した情報、つまり職務上知った特定秘密の内容を漏らした場合も罰則の対象になり得るわけです。
国会の監視機関も同様の問題があります。たとえ、不適当・不適法な政府活動が特定秘密の範囲で行われている、あるいは不適当・不適法な特定秘密の指定・解除の実態があっても、その問題を公務員から通報を受ければ、公務員の方は情報漏えいで処罰の対象になり得る構造になっています。
公益通報者保護法は、もっぱら刑事罰を伴う違法行為を保護すべき通報範囲としています。そのため、不適法・違法な行為の場合は、一定の条件で特定秘密であっても公益通報者保護法による保護の対象範囲になり得ます。しかし、その場合は、公益通報を受ける部門とその公務員に、特定秘密へのアクセス権限を広く認めておく必要があります。さらに、違法・不適法であることが確定的でなく、通報者がそうであると信じる特定秘密へのアクセスを含める必要があることになります。
そして、問題は公益通報者保護法の保護の範囲外になる、刑事罰を伴わない違法・不適法行為、不適当な政府活動などは、特に別に公益通報を安全にできる仕組みが必要になります。特定秘密保護法は、秘密指定を不適法に行っていても、解除できるのにしていなくても、刑事罰の対象にはなっておらず、こうした問題は不適法か否かだけでなく、適当か否かも問題になる部分です。こうした情報も含めて通報が安全にできる仕組みはできるのでしょうか。
今のところ、国会がそうした情報を安全に通報できる仕組みは設けないことは明確になりました。政府ではどうなるのでしょうか。このままいくと、特定秘密であると「情報漏えい」になることを公務員が覚悟をしないと、違法・不適法、不適当な政府活動を内部でも公益通報できないということが起こりそうです。事は、政府という存在の本質にかかわる問題でもあります。どういう仕組みを整備するのかが、政府の本性をあぶりだす。そういうことになると思います。
2014年 06月 05日
福島第一原発事故 政府事故調の情報公開
今日の官房長官会見では、ヒアリングの記録については本人が同意すれば公開する方針が示されたと報じられています。
事故調の聴取結果 本人の同意あれば開示(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140605/k10014996181000.html
記事によると、「政府は非公開を前提に行ったものだとして聴取結果を公表していません」とあり、さらに、官房長官の「本人の同意がある場合、第三者の権利、利益、国の安全などに関わる部分を除いて開示しても特段の問題はないと考えており、同意が得られたものは情報公開法の規定に基づいて必要な範囲で開示していきたい。本人の意向確認に向けた具体的な段取りを早急に検討するよう事務方に指示している」との会見内容があります。
しかし、個人的にはこの非公開を前提に行ったから、これから同意を得るというのは、事故調の方針からすると本当にそうなのだろうかと疑問を持っています。
それは、政府事故調の2011年7月8日付け「ヒアリング方法等について」には、ヒアリングを非公表で行うとしつつも、以下のような記述があるからです。
「ただし、相手方が公開とすることを了承している場合は、(公開することが不適当な情報(公安上の観点等))に関してヒアリングする場合を除き、適宜の方法(マスコミへの公開又はこれを前提とした録画等)で行うこととする。」
これを素直に受け取るならば、ヒアリングの時点で公開を了承するか否かが確認をされていることになっているのではないかと理解できます。もし行っていないとすれば、「非公開でヒアリングを行います」という以上のことを事故調は確認をせずに、漫然と非公開でヒアリングを行っていたことになります。
いわゆる吉田調書が明らかになってから、当時の細野首相補佐官が朝日新聞のインタビューで、自身の聴取記録を公開してもよいと述べたとされていますが、ヒアリングされた当時どうだったのかと思うのです。それは、過去に私が行った情報公開請求に対して、細野首相補佐官が事故調のヒアリングに応じたか否かも回答しないという、いわゆる「存否応答拒否」決定をしているからです。
事故調のヒアリング記録を公開請求したのではなく、当時の首相補佐官が東電からどのような情報を提供され、どのようなやり取りをしたのかを情報公開請求したところ、事故調のヒアリングでそうした内容を聴取されている可能性は容易に想定される状況だったので、とりあえず請求対象に事故調を念頭におきつつ、聴取の実施の有無は回答しないという決定を行ったわけです(2012年のこと)。
改めて公開について意思確認を行うというのは、実際には公開の意思確認が行われていなかったということの裏返しでもあります。しかも、ヒアリングの聴取書のと、ヒアリングの録音物の扱いについては以下のような記述があります。
「非公開で行ったヒアリングによる聴取書については、必要な範囲で開示するが、供述者の特定につながる部分及び供述者が非開示を希望している部分については開示しないこととする。音声データについては、供述者の特定につながることから、供述者が非開示を希望している限り開示しない」
要は、聴取書については「必要な範囲で開示する」ことともともとなっている。事故調の報告書での言及ができるように、聴取内容全般について秘密にするということではないことを確認しているだけとも言えます。しかし、一方で「必要な範囲で開示する」としているので、もともと個人が特定されないなどの一定の条件を満たせば公開できる情報であるという扱いだったとも言えます。
ヒアリングの記録の情報公開については、①内容の公開、②個人の特定情報の公開、と2つの論点が含まれています。②は、政府的な立場からすると、内容そのものが個人の特定性のあるものなので、②だけでなく①も非公開、公開するなら公表の同意を個人からとるという扱いをこれからしようということであろうことは、容易に推測できます。
ちなみに、国会事故調の記録の公開問題というものもあります。これについては、衆議院原子力問題調査特別委員会でかつて検討され、国会事故調の委員だった野村修也中央大学大学院教授が参考人として出席をし、以下のように述べています。
○野村参考人 私が責任を持って対応してきた部分もございますので、回答させていただきたいと思います。
まず、法解釈の問題でありますけれども、情報公開法の対象外であるということについては、法律上明確であるというふうに私どもは理解しております。したがって、その情報公開法に基づいて一般市民等あるいは取材等の関係からの情報公開を求められても、私どもの方のこの聴取した文書については、これは立法資料の一環ということでもありますので、公開の対象にはならないという整理でございます。
これは、もともとそういう理解のもとで、私どもは、公開されませんということを、情報公開の対象にならないということをその調査対象者に明示した上で調査を行っておりますので、この点の解釈については、一定程度、法制局等にも確認をした上での対応ということになっております。
(略)
私どもの方は既に解散しておりますので、決定の権限は国会の皆様方がお持ちだということだと思いますが、この点、御留意いただきたい点は、聴取をするときに、相手方に対して幾つかの類型を示して、これについては永遠に開示されないものということを前提として聴取しているものがございますので、やはり、これについてはその約束を遵守していただきたいというふうに思っております。
といいますのは、やはりその中には、プライバシーにかかわる情報等を開示しないという条件のもとにお示しいただいたものが多数含まれておりますので、この点についての御留意をいただかなければ、今後このような形での活動が幾ら法律によって設置されたとしても、事実上活動が困難になる可能性がありますので、十分御配慮いただいた上で対応していただくことが必要かというふうに思います。
国会が情報公開法の対象外であることは疑いようのない事実で、言い換えると国会は独自の情報公開法もなく、立法調査文書と言われる文書に市民がアクセスする仕組みもないので、非公開や非公表は簡単に維持できる機関であります。中でも気になるのが、「聴取をするときに、相手方に対して幾つかの類型を示して、これについては永遠に開示されないものということを前提として聴取しているものがございます」と述べている点です。「永遠に開示されない」という約束をしているというのは、いわゆる通常の特定秘密より秘密性が高い類型を国会事故調は提示していたということですね。こういうのも、いったい何がどうなっているのか、この記録はいったい誰のものでどう使っていくべきものなのか、という議論は本当はあるべきだろうと思います。
あれだけの重大事故について、政府の特定のところが情報を独占している、そして国会事故調は倉庫代わりに国立国会図書館が預かっていて、誰も利用できない情報が眠っているということの方が、異常事態だと思います。とりわけ、原子力規制員会がこうした記録を見ていないとすると、何を事故から学んだのかということを考えなければならないでしょう。科学的な知見やデータに依存をしていると、重大事故には対応できないことが今回の事故の大きな教訓ではないかと思います。当時、事故対応にかかわった人の主観も含めて、フルに教訓を学ぶという姿勢に欠けるのは、目先の利益ではなく公益を損なうことになると危惧します。
2014年 05月 03日
社会運動と憲法―「知る権利の保障をめぐって」
憲法というものがさまざまな立場からこれだけ議論の対象になっているのも、これまでにないこと。ものごとは、守勢に回ると、攻勢にある方に主導権が移るので、どうしてもじりじりと押されるもので、この構図は憲法議論でもそれ以外のものでも明確に出てきていると思います。最近、相手の土俵で相手のふんどしで相撲を取っていては、負けても相手のせいにできるから自己防衛・自己保存的にはそれでもいいのかもしれないけど、何か違う。自分の土俵でもちゃんと勝負をしよう、ということを個人的にはよく話をしています。
自分の土俵をつくるのは簡単なことではないけど、その努力をしないとものごとは後ろに押される圧力以上に、前に進む力を生み出せないのではないかとも思います。
そんなわけで、あまり憲法について正面から何かを書いたりとしてきたことはないのですが、最近原稿依頼があり、市民セクター政策機構の『社会運動』という雑誌の「社会運動と憲法」という特集の中で、「知る権利の保障をめぐって」という原稿を書きました。いわゆる学者ではないので、情報公開を求める活動をしてきた中で、「知る権利」をめぐる法的議論を越えて、実質的な知る権利の保障という問題について、何を今考えているのか、ということを書きました。NPOの立場からということでしたが、結構抽象的ではあります。
憲法記念日ということで全文をアップ。3ページもので、大したことは書いていませんが、お時間のある方はご笑覧ください。
2014年 03月 21日
アメリカ、イギリスでの機密指定、情報公開、内部告発者保護の聞き取り調査
今回訪問した先は盛りだくさんなので、どう考えても情報過多です(笑)
ちなみに訪問した先はこんな感じのところ。
<アメリカ編>
・国家安全保障研究センター(Center for Natioonal Security Studies)-NPOです
・Open society Foundation-ご存知ツワネ原則策定のイニシアティブをとったところです
・国家安全保障アーカイブ(National Security Archive)-NPOです
・W・ブッシュ政権下で国立公文書館の情報保全監察局(ISOO)の元局長
・司法省で40年間、情報自由法の担当だった大学教授
・現在のISOOの副局長
・上院情報特別委員会の委員のインテリジェンス担当スタッフ
・上院情報特別委員会のスタッフディレクター
・特別顧問室(連邦政府の内部告発者保護者の救済などをしているところ)の副顧問
・アメリカ自由人権協会(ACLU)のスタッフ弁護士
<イギリス編>
・国立公文書館の情報公開センター
・Article19
・Campaign for Freedom of Information
・Public Concern at Work
・Whistleblowing International Network
・Witness Confidence
イギリスとアメリカの状況は全く違う、ということは制度を見るとわかっていたけどイギリスは機密指定制度というものに対する関心がとても薄い、というのが印象的。むしろ、「公益」というキーワードで物事が語られているが印象に残っています。
これらについて以下の報告会を行うので、それまでに何とかまとめないと…。ご都合のつく方は是非お越しください。
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シンポジウム「国家秘密と情報公開」第5弾
アメリカ・イギリスの秘密保護制度と情報公開
―アメリカ・イギリス調査報告―
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○日 時 2014年3月24日(月)午後6時30分~
○場 所 日比谷図書文化館コンベンションホール
http://hibiyal.jp/hibiya/access.html
○報 告 三木由希子(NPO情報公開クリアリングハウス理事長)
山田 健太(専修大学文学部教授、自由人権協会理事)
○資料代 1000円
○主催 自由人権協会×日本ペンクラブ×情報公開クリアリングハウス
※事前申込優先
お申し込みはこちら⇒https://ssl.kokucheese.com/event/entry/154295/
※ちらしをダウンロード http://bit.ly/1kAqgwZ
秘密の指定や解除の基準、監視・監察機能など、多くの問題を先送りにして成立した「特定秘密保護法」。1年以内の施行が予定されています。
基準作り等のために有識者による情報保全諮問会議が設置されるなど、政府内で準備が進められています。特定秘密法以前から、政府はさまざまな形で「秘密」を持ってきました。
しかし、秘密を持つ政府自身をどのように民主的にコントロールするのかという議論を欠いたまま、今に至っています。
世界各国でも機密指定制度の導入が、さまざまな形態で行われています。アメリカ、イギリスともに異なる仕組みの中で機密指定が行われていますが、過剰な秘密指定、秘密で行われている政府活動への監視機能の問題から、さまざまな問題を抱えつつ、仕組みや制度を変えたり作ったりしてきています。
日本での議論を進めるため、アメリカ、イギリスでの聴き取り調査の結果を報告します。
【お問い合せ】
特定非営利活動法人 情報公開クリアリングハウス
〒160-0008 新宿区三栄町16-4 芝本マンション403
TEL:03-5269-1846/FAX:03-5269-0944
e-mail:icj@clearing-house.org http://clearing-house.org